■FOMC通過であく抜け感で一時3万回復も週末失速



今週の日経平均は週末にやや失速したものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過したことで概ね堅調な動きとなった。米長期金利(10年物国債)が再び上昇したことで週初はグロース(成長)株が売られたが、景気敏感株などは堅調で日経平均も49円高と底堅さを見せた。16日は米長期金利の上昇一服とともにFOMCを前とした売り方の買い戻しなどもあって日経平均は一時3万円に乗せる場面も見られた。17日はFOMCの公表結果とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見を見極めたいとする思惑から方向感に欠ける展開に。18日は、少なくとも2023年いっぱいは政策金利がゼロ付近で維持されるとの見通しが示されたFOMCの結果を受けて安心感が高まり、一時は30485.00円まで上値を伸ばし、終値でも3万円を保持した。19日は、FRBの緩和政策の継続によりインフレ期待が高まったことでかえって米長期金利が1.75%まで上昇するなど警戒感が再燃したことで、ハイテク株などが再び売りに押された。また、日銀金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の「原則年6兆円増」の買い入れ枠が撤廃されたほか、買い入れ対象が東証株価指数(TOPIX)連動型のETFのみで、日経平均型は外れると決まったことが伝わると、後場からは下げ幅を拡げる展開となった。結局、週末の日経平均は424円安の29792.05円まで下げて終えた。ただ、東証株価指数(TOPIX)は3.70pt高の2012.21ptで終えており、1991年5月以来となる大台2000pt台乗せに成功している。



■警戒感くすぶるも過度な悲観は不要



来週の日経平均はもみ合いか。注目だったFOMCでは23年末までのゼロ金利据え置きのほか、量的緩和についても現行の資産購入ペースの維持が示された。しかし、その後は一転して緩和政策の継続が景気回復を更に強めるとの予想から期待インフレ率が一層上昇し、かえって米長期金利が上昇するという動きに変わった。これを受けて、週末には再びハイテク株などが売られる展開になった。本来、景気回復期待による良い金利上昇と株高は長期的には共存できる。ただ、あまりに速いスピードでの金利上昇は市場の警戒感を強め、短期的な株価調整の要因となりかねない。FRBは政策により短期金利を誘導することはできるが、長期金利の水準は主として市場が決めるものだ。市場が先走る形でインフレ懸念が一層強まり、米長期金利が更に上昇する可能性もあろう。その場合、FRBも現在の緩和政策の変更を迫られるかもしれない。もともとインフレ懸念で長期金利が上昇していることを背景に、インフレ抑制のための早期利上げ見通しが示されるのではないかという警戒があったわけだが、結局、緩和政策を強調しても景気回復を強めるとの見方から「インフレ期待→長期金利上昇」という動きが続いたわけで、皮肉な話だ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)による3月のグローバルファンドマネジャー調査では、いまや最大のテールリスクは「インフレ」と「長期金利の上昇」であり、新型コロナウイルスに取って代わっている。今後も期待インフレ率と米長期金利の動きを注視する必要があろう。週次イベントとしては、米長期金利の上昇のきっかけにもなった米7年国債入札が25日(木)に予定されており、債券需給が注目される。ここまでネガティブなことを書いてきたが、株式市場の先行きが暗いわけではない。米長期金利が上昇しているとはいっても、期待インフレ率を差し引いた実質金利はいまだマイナスで、これは当面保たれる見込み。実質金利がマイナスである限りは、株式益回りと債券利回りの差であるイールドスプレッドの縮小もある程度は許容できると思われる。FRBの政策スタンスが現状のままである限りは、各種アセットクラスの中での株式の相対的な魅力は劣らないだろう。実際、米長期金利が1.75%まで上昇した直後の東京市場は大きくは崩れなかった。TOPIXに至ってはバブル崩壊後の最高値だ。過度な悲観は不要だろう。ただ、留意が必要なのは、日銀がETFの買い入れ対象から日経平均型を外したことだ。ファーストリテ<9983>などの値がさ株がこれまで需給要因主体で買われていたのだとすれば、週末の同社株の急落に伴う日経平均の軟調ぶりも続く可能性がある。TOPIXは堅調でも日経平均は軟調という二極化の動きを想定しておく必要があろう。



■インフレ下に強い景気敏感株を選好



物色対象としては金利動向に敏感なグロース株は避けた方が無難だろう。有望なのは、バリュエーション面での割高感も薄い景気敏感株と考える。今年の株式市場での最大のテーマは「景気回復」だからだ。実際、昨年秋以降しばらくの間は日経平均の上昇が目立っていたが、最近はTOPIXの上昇ぶりが顕著だ。中でも、足元で最大の懸念要素であるインフレリスクをヘッジできるセクターが好ましいだろう。具体的には、鉱業、鉄鋼、化学、金融あたりが相対的に他をアウトパフォームしそうだ。そのほか、3月の終わりに近づいてきたことで、配当や株主優待の権利取りを狙った動きも活発化すると予想されよう。



■米国2月耐久財受注、米国2月個人消費所得・個人支出など



来週の主な国内外スケジュールは、22日に米国2月中古住宅販売、23日に米国2月新築住宅販売、24日に日銀金融政策決定会合議事要旨(1月20-21日開催分)、米国2月耐久財受注、25日にEU首脳会議、米国10-12月期GDP確報値、米国7年国債入札、26日に独3月Ifo景況感指数、米国2月個人消費所得・個人支出などが予定されている。