【今週の概況】

■日本経済の悪化を警戒して円売り強まる



今週のドル・円は強含み。米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長が「今後数回の会合で資産購入ペースの縮小について議論を開始できる状況になるだろう」との見方を伝えたことや、日本政府が5月26日した5月月例経済報告で景気の総括判断が下方修正されたことを受けて、ドル買い・円売りが活発となった。2022会計年度における米連邦政府の歳出額は6兆ドル規模になるため、米長期金利の上昇につながる可能性があることもドル買い材料となった。



28日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時110円20銭まで上昇した。この日発表された米国の4月コアPCE価格指数(インフレ指標)は前年比+3.1%と市場予想を上回ったことから、ドル買いが優勢となった。ただ、110円近辺で利益確定を狙ったドル売り・円買いが増えたことから、ドル上昇は一服。109円84銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:108円56銭−110円20銭。



【来週の見通し】

■ドルは下げ渋りか、米量的緩和策縮小観測が支援材料に



来週のドル・円は下げ渋りか。直近で発表された米国の5月フィラデルフィア連銀景況指数(製造業景気指数)、5月CB消費者信頼感指数は市場予想を下回る内容となるなど、景気回復に一服感が示された。個人消費の伸び悩みを警戒して米長期金利が反落した場合、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性は残されている。



ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)による大規模な金融緩和策はいずれ縮小に向かうとの見方は変わっていないため、ドルは下げづらい見通し。ワクチン接種の拡大によって対面型のサービス業の業況が改善していることもドル買い材料となりそうだ。来週発表される5月ISM製造業景況指数や5月雇用統計は、底堅い内容と予想される。5月ISM製造業景況指数は好不況の境目である50を大きく上回ることが確実視されており、リスク回避的なドル売りは限定的となろう。5月雇用統計については、非農業部門雇用者数が前回大幅減の反動で持ち直し、失業率は若干低下すると予想されている。5月雇用統計が市場予想に沿った内容だった場合、ドルは下げ渋る可能性が高いとみられる。



【米・5月ISM製造業景況指数】(6月1日発表予定)

6月1日時発表の5月米ISM製造業景況指数は61.0と、前回の60.7をやや上回る見通し。雇用指数が改善すれば、5月雇用統計は良好な内容となる可能性があり、ドル買い材料となりそうだ。



【米・5月雇用統計】(6月4日発表予定)

6月4日発表の米5月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+66.3万人、失業率は5.9%と予想されている。非農業部門雇用者数は大きく持ち直す見通し。失業率の低下も予想されることから、市場予想と一致した場合、ドル買い材料となる可能性がある。



予想レンジ:108円80銭−111円00銭