【今週の概況】

■ドル伸び悩み、5月非農業部門雇用者数は市場予想を下回る



今週のドル・円は伸び悩み。6月1日発表の5月ISM製造業景況指数は市場予想を上回ったことや、3日発表の5月ADP雇用統計(民間雇用者数)の伸びは市場予想を大幅に上回ったことからドル買い・円売りが活発となり、米長期金利は上昇し、ドル・円は110円台前半まで一段高となった。



しかし、4日発表の5月雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったことから、米長期金利は低下した。金融緩和策の早期縮小観測は後退したことから、同日のニューヨーク市場ではドル売り・円買いが活発となり、ドル・円は109円台前半まで反落。109円53銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円33銭−110円33銭。



【来週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、110円台で顧客筋などのドル売り増加も



来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は大規模な金融緩和策を長期間維持する方針を変えていないようだ。ただ、米国経済の正常化によってインフレ進行の可能性は残されている。5月の非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったものの、失業率と不完全雇用率は低下し、平均時給は市場予想を上回った。米国の雇用情勢は改善しつつあることから、資産買入れ規模の段階的縮小(テーパリング)に対する市場の期待は根強い。欧州中央銀行(ECB)は現行の金融緩和策を長期間維持する可能性が高いことから、ユーロ買い・米ドル売りがただちに拡大する可能性は低いとみられており、ドル・円の取引にも影響を与えそうだ。



ただ1ドル=110円台では顧客筋などのドル売りが増えるとの見方が多く、短期筋による利益確定のドル売りも増えると予想されていることから、ドル・円相場の一段の上昇は想定しにくい。「米国のインフレ率がある程度上昇することは織り込み済み」との声が聞かれており、新たなドル買い材料が提供されない場合、ドル・円は主に110円を挟んだ水準で推移し、やや上げ渋る状態が続く可能性がある。



【米・5月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)

10日発表の米5月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+3.4%で上昇率は4月実績の3.0%を上回る見込み。市場予想を上回った場合、インフレ進行の懸念はくすぶり、ドルは下げづらい見通し。



【米・6月ミシガン大学消費者信頼感指数】(11日発表予定)

11日発表の米6月ミシガン大学消費者信頼感指数は83.0と、5月実績の82.9をやや上回る見込み。新型コロナウイルスの感染縮小が進むなか、個人消費の伸びが確認されれば株高・金利高・ドル高の要因となろう。



予想レンジ:108円00銭−111円00銭