【今週の概況】

■ドル下げ渋り、米長期金利低下も景気回復への期待残る



今週のドル・円は下げ渋り。6月8日発表の4月JOLT(求人労働移動調査)求人件数は過去最高を記録した。また、10日発表の5月消費者物価コア指数は市場予想を上回っており、雇用、インフレ関連の指標はいずれも改善したが、米長期金利は低下したことから、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小した。前年比ベースの物価上昇率は6月以降、鈍化するとの見方が強まり、市場参加者の間では「米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は、インフレ圧力の高まりは経済活動の再開に伴う一過性のものとの見方を変えないだろう」との見方が広がった。



11日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時、109円84銭まで上昇した。ロシア中央銀行総裁が「ドル保有を完全になくす計画はない」と発言したことや、11日発表の6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を上回り、米国の景気回復への期待は持続してることから、リスク回避的なドル売りは縮小。ドル・円は109円68銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円19銭−109円84銭。



【来週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、米金融緩和策長期化の思惑残る



来週のドル・円は伸び悩みか。6月15-16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産買入れ規模の段階的縮小(テーパリング)について議論されるとみられている。ただ、金融政策の早期変更の可能性は低いとみられており、現行の金融緩和政策の長期化が意識されることでリスク選好的なドル買い・円売りは縮小しそうだ。



5月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を下回ったものの、失業率や不完全雇用率は低下し、平均時給は市場予想を上回っており、雇用情勢の改善は続いている。5月消費者物価コア指数(CPI)は市場予想を上回った。米長期金利は低下したが、市場のインフレ期待は失われていないことから、米連邦準備制度理事会(FRB)はFOMCで前回の会合に続いて緩和縮小について議論する見通し。



ただ、FRB当局者の間では、インフレ高進は一時的な現象との見方が支配的であり、金融緩和策を早い時期に見直すことに慎重な政策方針に変わりはない。テーパリングや政策金利の引き上げを実施するとしても、長い時間を要するとみられる。そのため長期金利の上昇は抑制され、ドル買いは小幅にとどまりそうだ。世界経済は新型コロナウイルスの感染拡大による打撃から立ち直りつつあるものの、景気回復に一服感もみられ、市場のリスク選好ムードはやや縮小する見通し。そのため株高・円安は限定的となり、ドル・円は110円台を回復しても、一段の上昇は阻止される可能性があろう。



【米・5月小売売上高】(15日発表予定)

15日発表の5月小売売上高は前月比-0.4%と、4月の0.0%から伸びは大きく鈍化する見通し。マイナスへの転落が嫌気され、GDPの下方修正への思惑から株売り・ドル買いの要因となりそうだ。



【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(15-16日開催)

FRBは15-16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、現行の政策を維持する公算。資産買入れの段階的縮小(テーパリング)への言及が注目されるが、早期実施は困難でドル買いは限定的の見通し。



予想レンジ:108円00銭−111円00銭