【今週の概況】

■米長期金利上げ渋りで円売り縮小



今週のドル・円は伸び悩み。中国の不動産開発大手、中国恒大集団が債務不履行に陥るとの懸念は消えていないものの、米連邦準備制度理事会(FRB)は11月に債券買い入れ額の段階的な縮小に着手するとの見方が強まり、9月29日のニューヨーク市場でドル・円は112円台前半まで買われた。日米金利差が再び拡大するとの見方もドル買い材料となった。しかしながら、30日のニューヨーク市場で米国の主要株価指数はいずれも下落し、長期債利回りは低下したことから、主要通貨に対する米ドル売りが活発となった。連邦政府の債務上限引き上げを巡って与野党の対立が続いていることや、新規失業保険申請件数の増加も嫌気され、ドル・円は111円台前半まで反落した。



10月1日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時110円91銭まで続落した。この日発表された9月ISM製造業景況指数は市場予想に反して上昇し、米国株式は総じて強い動きを見せたものの、米長期金利は上げ渋ったことから、リスク選好的なドル買いは抑制された。ドル・円は111円04銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:110円54銭−112円08銭。



【来週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、112円近辺で利食い売りが増える可能性



来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策の早期縮小観測は後退していない。10月8日発表の9月雇用統計が注目されており、雇用情勢の改善が示された場合、ドル買いに振れる展開となりそうだ。良好な経済指標を受けて地区連銀総裁などFRB関係者が量的緩和策の早期縮小を支持する見解を伝える可能性があることも、ドル買いの支援要因となろう。



ただ、中国恒大集団が債務不履行に陥るとの懸念は消えていないこと、米国株式は、インフレ率の高止まりや債務上限の引き上げを巡って与野党の対立は解消されていないことから、持続的な株高への期待は高まっていない。目先的にリスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。ドル・円は一時112円台前半まで上昇したが、その後111円台前半まで下げている。112円近辺では利益確定を狙ったドル売りが観測されたが、新たなドル買い材料が提供されない場合、利益確定を狙ったドル売り・円買いは継続し、112円近辺の抵抗感は一段と強まる可能性がある。



【米・9月ISM非製造業景況指数】(5日発表予定)

10月5日発表の米9月ISM非製造業景況指数は59.8と、前月の61.7を下回る見通し。ただ、新型コロナウイルスの打撃からの回復で高水準が維持され、雇用指数が持ち直せばドル売り材料にはなりにくい。



【米・9月雇用統計】(8日発表予定)

10月8日発表の米9月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+50.0万人、失業率は5.1%の見通し。雇用者数は50万人程度の増加が見込まれており、失業率は低下傾向にあることから、雇用統計内容が市場予想と一致した場合、量的緩和策の早期縮小観測が強まりそうだ。



予想レンジ:110円00銭−112円00銭