【今週の概況】

■米経済指標改善でドル・円は年初来高値更新



今週のドル・円は、やや強含み。米国の10月小売売上高が市場予想を上回り、10年債利回りが上昇したことから、ドル買い・円売りが強まり、11月17日に114円97銭までドル高・円安が進行し、ドルは年初来高値を更新した。ただ、115円近辺では利益確定を狙ったドル売りや輸出企業などの顧客筋のドル売り・円買いが観測されており、ドル・円は114円を下回った。米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に利上げに慎重とされるブレイナード理事が指名されるとの思惑が浮上したことも、ドル売りにつながった。



19日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時113円59銭まで下落した。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「金融引き締めを急がない」と発言したことや、欧州で新型コロナウイルスの感染再拡大が報告されており、オーストリアは22日から再び全国的な都市封鎖(ロックダウン)に入ることから、ユーロ売り・円買いが活発となり、この影響でドル・円の取引でも一時ドル売りが優勢となった。ただ、ウォラーFRB理事が量的緩和の縮小ペースを速めることを支持したことから、ドル売りは一服し、ドル・円は114円01銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:113円59銭−114円97銭。



【来週の見通し】

■ドルは伸び悩みか、115円台での売りを意識



来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測は後退したが、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和策は長期化すると見られており、安全逃避的なドル買いが継続しそうだ。欧州中央銀行(ECB)が来年のインフレ上昇に懐疑的な見方を示していること、豪準備銀行は2024年まで利上げを見合わせるとの方針を崩していない。他の主要中央銀行が金融緩和策の縮小に慎重な姿勢を維持していることも、ドル買いを誘発する要因となっている。来週発表の米経済指標のうち、国内総生産(GDP)改定値や個人消費支出コアPCEなどが良好な内容ならFRBの早期利上げへの思惑が再び広がり、ドル高の基調は強まりそうだ。



ただ、1ドル=115円台は2017年3月以来の高値圏であることから、顧客筋などからのドル売りは継続する可能性がある。また、11月24日には今月2-3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。FRBは資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の開始に踏み切ったが、その後の利上げに関するトーンが想定ほどタカ派寄りではなかった場合、リスク選好的なドル買いは縮小するとみられる。



なお、市場関係者の間では、来年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長が再指名されるとの見方が多いようだが、その場合も2022年における利上げは2回にとどまるとの見方が増えている。また、可能性は低いものの、利上げに慎重とされるハト派のブレイナード理事がFRB議長に昇格した場合、利上げ先送りの思惑が強まり、リスク回避的なドル売り・円買いが活発となる可能性があるため、次期FRB議長人事にも注目が集まりそうだ。



【米・11月製造業・サービス業PMI】(23日発表予定)

23日発表の11月PMIは、製造業が59.0、サービス業は59.0といずれも10月実績を上回る見込み。市場予想を上回った場合は、ドル買い材料になる。



【米・7-9月期国内総生産(GDP)改定値】(24日発表予定)

24日発表の米7-9月期国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率+2.2%と、わずかに上方修正される見込み。ただし、市場予想を下回った場合、経済成長の減速を警戒してドルは伸び悩む可能性がある。



予想レンジ:113円00銭−115円00銭