年末年始休暇には「フラッシュクラッシュ」など不安定な相場が懸念されたものの、外為市場は無難に通過。その安心感もあって、ドル・円は2017年以来の高値圏に浮上しています。ただ、米利上げ前倒し観測が高まるなか、目先は上値が重くなりそうです。





2022年最初の取引となった1月3日、ドル・円は 115円前半で取引開始。翌4日は大発会の日経平均株価が強含み、円売り優勢に。ドルは昨年11月高値の115円半ばをあっさり上抜けると弾みがつき、さらに上値を切り上げました。ペースの速さから節目の116円付近で利益確定売りが強まるとの市場予想をよそに一段高となり、2017年1月以来5年ぶりの高値となる116円33銭まで一時上昇しています。





その後もドルは上昇基調を強めています。買い要因となったのは、12月14-15日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨です。米国経済が力強さを増しインフレを押し上げれば政策金利を早期かつ迅速に引き上げる可能性が示されました。時期については明言していないものの、年半ばとの想定より前倒しする見通しです。また、その後のバランスシート縮小にも言及し、タカ派姿勢を強めました。





年明け以降はサプライマネジメント協会(ISM)製造業・非製造業景況指数、それに新規失業保険申請件数やADP雇用統計などの雇用関連指標が底堅い内容となり、持続的な成長が鮮明です。来週発表のインフレ指標がいずれも高水準を維持すれば、1月25-26日開催のFOMCで利上げ時期の前倒しを明言する可能性もあります。連邦準備理事会(FRB)の利上げに関しては、3月のFOMCで決定後、年内に最低3回が市場筋のメーンシナリオになっています。





一方、欧州中央銀行(ECB)や英中銀など他の主要中銀と比べてもFRBの金融正常化は際立ち、当面のドル買いを支援しそうです。特に、日銀は一部の物価上昇圧力を認めながらも、前年比+2.0%の目標達成は困難との見解を変えていません。世界の主要中銀が金融正常化に舵を切っているのとは対照的に、日銀は緩和政策を堅持。金利差拡大でドル買い・円売りは今後も進むと予想されます。





ドル・円は2018年以降、114円台で上昇を抑制されてきたため、次の上値メドは2017年の海外高値116円80銭付近、節目の117円などがターゲットとされています。ただ、5年ぶりの高値圏で売りから入る参加者も多くみられ、116円台は上値の重さが目立ちます。また、米国内での新型コロナウイルス感染再拡大も警戒されるため、当局者が慎重姿勢に傾けばドルの上昇ペースは鈍りそうです。



(吉池 威)



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