■株式相場見通し



予想レンジ:上限27500円-下限26000円





来週の東京株式市場は神経質な展開か。週末10日は6月限先物・オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出日に当たり、またその晩には米5月消費者物価指数(CPI)が発表される。メジャーSQと米CPIが近づくにつれ、徐々に警戒感が高まりそうだ。





今週の日経平均は週間で1000円近くも大幅に上昇した。しかし、今週は米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が「インフレ率が当局の目標である2%に近づくまでは、0.5ptの利上げは常に選択肢にある」と発言したほか、ブレイナード副議長は9月の利上げ停止について「(現時点では)その可能性は非常に低い」と発言。5月下旬にかけて一部で高まっていたFRBのハト派転換への期待をけん制するかのような発言が相次いでいる。





5月前後をピークに低下基調にあった米10年物の名目利回りと期待インフレ率も足元で再び上昇基調に転じている。特に、米10年債利回りは5月27日に2.74%だったのが、連休明けから大きく上昇し、2.9%台半ばまで上昇してきている。





また、6月2日には石油輸出国機構(OPEC)プラスが原油増産幅の拡大で合意したものの、原油先物価格は続伸している。今週末にはWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、7月物)は1バレル=120ドル台に乗せてきている。欧州連合(EU)によりロシア産石油の一部禁輸などの追加制裁が科されるなか、この程度の増産幅では焼け石に水と思われているようだ。





さらに、ドイツとヨーロッパ圏で発表された5月CPIは予想を大幅に上回り、前年比の伸びとして共に過去最高を記録。これを受け、エネルギー生産・輸入状況に違いはあるとはいえ、米国でも本当に3月でインフレはピークアウトしたのかという疑念を抱く投資家が増えている。少なくとも伸び率がピークアウトしても、最高値圏での伸びが維持されれば、FRBの金融引き締めペースの鈍化は期待できない。





このように、今週は株式市場にとってネガティブな材料が多くあったにもかかわらず、相場は大きく上昇した。ただ実際は、短期筋によるプット(売る権利)の売却など、デリバティブ絡みのポジション解消の動きが、薄商いのなかで株価指数の上昇率を実体以上に強く見せているに過ぎない可能性が高い(特に米国市場)。





こうした実体を無視した需給要因主導での上昇は危うさを伴っているといえる。日経平均で言えば、28000円を明確に超える材料があるとは言えず、売り方の買い戻しによる上昇もそろそろ一服する頃合いといえる。そのため、来週末の米5月CPIが近づくタイミングで、相場は再び神経質な展開が想定され、翌週には米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えていることを踏まえれば、調整が入る可能性にも留意したい。日経平均のチャートは改善してきているが、足元の動きをもってして過度に楽観的になるのは危ういと思われ、まだまだ警戒感を持って臨むべき局面と考える。





今週末に発表された米5月雇用統計では、平均賃金の伸びが市場予想を小幅に下回った一方、雇用者数の伸びは39万人増と市場予想(31万人増)を大幅に上回った。FRBの金融引き締めが警戒される形で、週末の米株市場ではハイテク・グロース(成長)株を中心に大きく反落した。インフレを沈静化させたいFRBは逆資産効果を狙っているのか、相場を過度に上昇させたくないと考えているようで、相場が急落した際には高官からハト派発言が出る一方、大きく反発して上昇が続くと、再びタカ派発言が出るような展開になっている。当面はこうした緩和と緊張の繰り返しが続くと見られ、安心してハイテク・グロース株を買える局面の到来には時間がかかりそうだ。インフレを巡る議論が長期化する限り、インフレ耐性のある市況関連株などに相対的な買い安心感があるといえよう。





■為替市場見通し





来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融正常化に向けて6月、7月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合でそれぞれ0.5ポイントの追加利上げを計画しており、金利先高観を背景にドル買い・円売りが続く可能性が高いとみられる。バイデン米大統領はイエレン財務長官とともにパウエルFRB議長と会談し、金融当局としての独立性を改めて強調したが、その一方で、約40年ぶりの高水準に達したインフレを抑止する必要があるとの考えも伝えている。FRBはバイデン大統領の意向に沿って金融引き締めの姿勢を堅持することになりそうだ。





来週発表される経済指標では、6月10日発表の5月消費者物価コア指数に対する関心が高い。インフレのピークは過ぎた可能性があるものの、5月のコアインフレ率が市場予想と一致した場合、長期金利高・ドル高の地合いとなろう。ドル・円は5月9日に付けた131円35銭が意識され、131円台前半の水準ではドル売り・円買いが強まるとの見方が多いようだ。ただ、何らかの要因で直近高値を超えた場合、1ドル=132円台に切り上げる展開も予想される。





■来週の注目スケジュール



6月6日(月):中・財新サービス業PMI(5月)、米・アップルの世界開発者会議(WWDC)(10日まで)など

6月7日(火):日・家計支出(4月)、日・毎月勤労統計(4月)、景気動向指数(4月)、骨太方針、新しい資本主義実行計画が閣議決定、 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、世界銀行グループ(世銀)が世界経済見通し(GEP)発表など

6月8日(水):日・GDP改定値(1-3月)、景気ウォッチャー調査(5月)、ANYCOLORが東証グロースに新規上場、米・10年債入札など

6月9日(木):日・工作機械受注(5月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、中・貿易収支(5月)など

6月10日(金):日・国内企業物価指数(5月)、中・消費者物価指数(5月)、米・消費者物価コア指数(5月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(6月)など