【今週の概況】

■早期利下げ観測後退でドル買い強まる



今週のドル・円は強含み。週前半に137円71銭まで買われた後、経済指標の悪化を嫌気して一時136円を下回ったものの、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言を受けて早期利下げ観測は後退し、週末前に137円台後半まで戻す展開となった。8月23日発表のS&Pグローバル8月製造業PMI速報値が市場予想を下回ったこと、同サービス業PMI速報値も予想外に悪化したことから、米国経済の減速懸念が再び強まり、米長期金利が低下したことから、ドル・円は一時135円82銭まで売られたが、24日発表の7月耐久財受注統計でコア資本財の受注や出荷が予想を上回る伸びとなり、リスク回避のドル売りは縮小。25日の取引では利益確定を狙ったドル売りが観測されたが、136円台前半で下げ渋った。



26日のニューヨーク外為市場でドル・円は、137円65銭まで買われた。パウエルFRB議長はカンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムで講演を行い、「物価の安定を回復するには、景気抑制的な政策スタンスを一定期間維持することが必要となる可能性が高い」と指摘したことから、早期利下げ観測は後退し、長期金利は反発したことから、リスク選好的なドル買いが優勢となった。ドル・円は137円64銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:135円82銭−137円71銭。



【来週の見通し】

■底堅い値動きか、8月米雇用統計などを見極める展開に



来週のドル・円は底堅い値動きか。2023年も利上げ継続の可能性は残されており、目先的には雇用関連などの経済指標を注視する展開となりそうだ。政策金利の先高観を背景に、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小する見通し。9月20-21日に開催される次回連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ポイント幅の追加利上げが決定される可能性は高いとみられているが、その点について9月2日発表の8月米雇用統計が注目されそうだ。



8月雇用統計では、失業率が3.5%と7月実績と同水準になると予想されているが、非農業部門雇用者数は前月比+29.5万人と増加数は7月実績を大幅に下回る見通し。ただ、7月の雇用者数は市場予想を大幅に上回っていたため、8月はその反動で30万人程度の増加にとどまる可能性がある。

一方、ユーロ圏諸国向けの天然ガス価格は高騰しており、経済の先行き不透明感が深まっている。この影響でユーロ圏の消費者物価指数は引き続き高水準とみられ、インフレ進行と経済成長の停滞を懸念したユーロ売り・米ドル買いは継続する可能性があり、ドル・円の取引にも影響を与えそうだ。



【米・8月ISM製造業景況指数】(9月1日発表予定)

9月1日発表の米8月ISM製造業景況指数は52.2と、7月実績の52.8を下回る見込み。製造業の減速傾向が鮮明になった場合、金利安・ドル安要因となりそうだ。



【米・8月雇用統計】(9月2日発表予定)

9月2日発表の米8月雇用統計は、失業率が3.5%と横ばいだが、非農業部門雇用者数は前月比+29.5万人と7月実績を大幅に下回る見通し。ただ、7月が予想外に強い内容だったことから、市場予想と一致してもリスク回避のドル売りが拡大する可能性は低いとみられる。



予想レンジ:136円50銭−139円00銭