■株式相場見通し



予想レンジ:上限28500円-下限27500円





来週の東京株式市場は軟調か。ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を受けて市場の利下げ転換期待ははく落した。今週末の米株式市場の大幅下落を受けて東京市場も週明けから下落を強いられるだろう。パウエル議長はインフレ抑制のために高金利を維持する方針を示し、過去の経験則から、早急な金融緩和への転換にはリスクが伴うと指摘。市場の利下げ転換期待を諫めた。インフレ抑制策が短期的には景気に悪影響を及ぼしても、長期的な経済成長には必要なことだと痛みを受け入れる姿勢も見せた。





株式市場は7月半ば以降、ファンダメンタルズが悪化方向にある中でも大幅な上昇を続けてきた。FRBの利下げ転換を期待したPER(株価収益率)主導の上昇だったといえ、こうした期待がはく落したとなると、調整は深いものになる可能性があろう。





来週末は米8月雇用統計の発表が控えていることで、相場はより神経質になりそうだ。前回の米7月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を2倍以上回ったほか、平均賃金の伸びは前年比と前月比のどちらでみても、減速の予想とは対照的に加速した。下方硬直性のある賃金の伸びはインフレ抑制にとっては大きな悩みの種であり、8月分でも賃金の伸びに減速の兆しが見られなければ、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅拡大への警戒感が高まるだろう。週初の下落の流れがそのまま週後半まで引き継がれる可能性に注意したい。





来週は中国で8月のPMIが発表予定のほか、米国ではサプライマネジメント協会(ISM)による8月の製造業景気指数が発表される。従来、欧米が景気後退へと向かう一方、対照的に中国が4月をボトムに景気回復へと向かうことで世界経済の下支えが期待されていたが、中国では行動制限の長期化や不動産市況の悪化で景気低迷が長引いている。7月に続き、指標が前月から悪化すると景気後退がより意識され、7-9月期以降の業績悪化懸念が強まることになるだろう。ISM製造業景気指数も7月は52.8だったが、活動の拡大・縮小の境界を示す50割れが近づいており、株式市場のリバウンドが一服しつつある中、指標の悪化は素直に嫌気される可能性があるため、注意したい。





需給面での追い風が止みつつあることにも注意したい。24日、東京証券取引所が公表した裁定取引に係わる現物ポジションでは、8月19日時点での買い残から売り残を差し引いたネットの裁定買い残は1兆1895億円と、前週から1338億円増加、2021年9月27日以来の高水準を記録した。買い残のみでは1兆4617億円で、2021年3月22日及び9月20日の水準を上回り、2019年以降では最高水準となる。日経平均は、買い残がピークを付けた上述の昨年3月と9月以降、下落傾向となっており、今回も同様の流れが警戒される





■為替市場見通し





来週のドル・円は底堅い値動きか。2023年も利上げ継続の可能性は残されており、目先的には雇用関連などの経済指標を注視する展開となりそうだ。政策金利の先高観を背景に、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小する見通し。9月20-21日に開催される次回連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ポイント幅の追加利上げが決定される可能性は高いとみられているが、その点について9月2日発表の8月米雇用統計が注目されそうだ。





8月雇用統計では、失業率が3.5%と7月実績と同水準になると予想されているが、非農業部門雇用者数は前月比+29.5万人と増加数は7月実績を大幅に下回る見通し。7月の雇用者数は市場予想を大幅に上回っていたため、8月はその反動で30万人程度の増加にとどまるとの見通し。





一方、ユーロ圏諸国向けの天然ガス価格は高騰しており、経済の先行き不透明感が深まっている。この影響でユーロ圏の消費者物価指数は引き続き高水準とみられ、インフレ進行と経済成長の停滞を懸念したユーロ売り・米ドル買いは継続する可能性があり、ドル・円の取引にも影響を与えそうだ。





■来週の注目スケジュール



8月29日(月):日・景気動向指数(6月)など



8月30日(火):日・有効求人倍率/失業率(7月)、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(6月)、米・JOLT求人件数(7月)、米・消費者信頼感指数(8月)、など



8月31日(水):日・小売売上高(7月)、日・鉱工業生産指数(7月)、日・住宅着工件数(7月)、中・製造業/非製造業PMI(8月)、米・ADP全米雇用報告(8月)、米・クリーブランド連銀総裁が講演、米・アトランタ連銀総裁が講演、露・ガスプロム、パイプライン「ノルドストリーム」停止(9月2日まで)など



9月1日(木):日・4-6月法人企業統計、中・財新製造業PMI(8月)、欧・米・製造業PMI(8月)、米・ISM製造業景況指数(8月)など



9月2日(金):欧・ユーロ圏生産者物価指数(7月)、米・製造業受注(7月)など