【今週の概況】

■日本政府・日銀の円安けん制でドル高一服



今週のドル・円は堅調推移。週初に140円近辺まで下げたものの、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅追加利上げ観測が広がったことから、9月7日の欧米市場で1998年8月以来となる144円99銭までドル高円安が進行した。ただ、財務省と金融庁、日本銀行は8日、幹部による情報交換会合を開き、神田財務官は会合後に「あらゆる措置を排除せず準備している」と述べたことから、リスク選好的なドル買い・円売りは一服。同日の欧米市場でドル・円は144円台前半まで反発したが、日本銀行の黒田総裁が9日に岸田首相と会談したことを受けてドル売り・円買いが活発となり、ロンドン市場で一時142円を下回る場面があった。



9日のニューヨーク外為市場でドル・円は、142円82銭まで買われた。米セントルイス連銀のブラード総裁やウォラーFRB理事が9月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で大幅な追加利上げを支持する姿勢を表明したため、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小。ドル・円は142円55銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:140円01銭−144円99銭。



【来週の見通し】

■もみ合いか、米金融政策見極めでドル買い抑制も



来週のドル・円はもみ合いか。米インフレ高進を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め長期化を見込んだドル買いが継続する可能性がある。ただ、日本銀行の黒田総裁は9日、岸田首相と会談し、「急激な為替レートの変動は好ましくなく、市場の動向を今後とも十分注視していきたい」、「為替が1日に2円も3円も動くのは急激な変化だ」と語っており、急激な円安をけん制した。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を今月20−21日に控えており、今後の米金融政策を見極める必要があることから、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いと予想される。



注目は13日発表の8月消費者物価コア指数(CPI)か。7月実績は前年比+5.9%にとどまったが、8月は同+6.1%と再び上昇の見通し。市場予想と一致した場合、長期金利の上昇やドル高につながる可能性がある。一方、15日発表の8月小売売上高は前月比横ばいとなる見込み。7月実績の0.0%との比較で改善しなかった場合、リスク回避的なドル売りが強まる可能性がある。



なお、欧州中央銀行(ECB)は9月8日開催の理事会で0.75ポイントの大幅利上げを決定したが、ユーロ圏経済への先行き不透明感は消えていない。ECBは追加利上げを計画しているようだが、ユーロ売り・米ドル買いが続いた場合、米ドル・円の取引でも米ドル買い・円売りが優勢となる可能性がある。



【米・8月消費者物価コア指数(CPI)】(13日発表予定)

9月13日発表の米8月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.1%と予想されており、上昇率は7月実績を上回る可能性がある。市場予想と一致した場合、大幅追加利上げを織り込む材料となろう。



【米・7月小売売上高】(15日発表予定)

9月15日の米8月小売売上高は前月比+0.0%にとどまる見通し。市場予想と一致した場合、さえない個人消費を嫌気してドル売り材料となる可能性がある。



予想レンジ:141円00銭−144円00銭