米中間選挙を約1カ月後に控え、バイデン大統領の支持率回復により民主党大敗のシナリオはやや後退しているようです。ただ、野党共和党は「トランプ旋風」で善戦が予想され、民主党の大勝は想定しにくい状況。市場は選挙結果をどう受け止めるでしょうか。





直近の世論調査によると、バイデン大統領の支持率はおおむね40%台に持ち直し、不支持率は50%付近で伸び悩んでいます。バイデン政権は昨年のアフガニスタンからの米軍撤退やインフレにより人気が低迷。春先には支持率が30%台に低下し、不支持率は50%に上昇していました。ところが、ここへきて政権への評価はやや見直され、11月8日の中間選挙は民主党大敗の予想が徐々に後退しているもようです。





バイデン氏の不支持の主要因であるインフレに関しては、ピークアウトへの期待感が高まっています。NY原油先物(WTI)は夏場まで1バレル=100ドルを上回っていましたが、足元は80ドル台で安定、先週末にかけては80ドルを割り込んでいます。世界的な景気減速で資源価格への下押し余地が見込まれます。また、賃金インフレは当面続くものの、供給面の制約やサプライチェーンの障害は解消されつつあり、物価上昇圧力は更に弱まるかもしれません。





中間選挙までの間、9月消費者物価指数や同PCEコアデフレータなどのインフレ指標は低下を示す可能性があります。また、7-9月期国内総生産(GDP)速報値でテクニカルリセッションから脱却できれば、バイデン政権の大きな得点になるでしょう。物価指標の改善により連邦準備制度理事会(FRB)が引き締め姿勢を少しでも緩めるなら、それも民主党の支持を後押ししそうです。





中間選挙は上院(100議席)の約3分の1、下院(435議席)の全議席の争い。現在は民主党が上院で副大統領決裁票の1議席、下院で9議席、それぞれ共和党を上回っています。取るに足らないネガティブな材料によって情勢は大きく変わり、上下院のどちらか、あるいはどちらも与野党の逆転はありえます。ただ、主に経済に関するカードが多い分、民主党はリードを守り切るのではないでしょうか。





一方で、中間選挙はバイデン政権に対する審判であると同時に、2年後の大統領選の先行指標でもあります。民主党の得票が共和党を下回ればバイデン大統領の求心力は低下し、再選の道は相当に険しくなるでしょう。今度こそ「トランプ共和党」の息の根を止めるため、民主党が2024年に向けバイデン政権をテコ入れするのか、ハリス副大統領にすげ替えて党勢を拡大するのか、焦点は早くも次期大統領選に移ることになります。





民主党が僅差の勝利にとどまればバイデン政権のレームダック化が警戒され、選挙翌日の「ご祝儀」相場は期待できそうにありません。

(吉池 威)

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