■FRBハト派転換期待は剥落



今週の日経平均は週間で94.54円高(+0.35%)と続伸。3週連続で26週移動平均線を上回る局面があったが、終値では7週連続で同線下で終了。ローソク足は2週連続で陰線を引いた。



日経平均は週明け10月31日、482.26円高と大幅反発。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げがピークに接近したとの見方が台頭したとの見方から、前の週末の米国株が大幅高となっていたことが追い風として働いた。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を目前に控える中、その後は週半ばまで日経平均はこう着感の強い展開。この間、「ゼロコロナ」政策の緩和を巡る憶測を背景に中国・香港株が大きく上昇したものの、米9月雇用動態調査(JOLTS)の予想外の上振れが金融引き締め懸念を強めるなど材料は強弱入り混じった。



一方、祝日明けの週末11月4日は一転して日経平均は463.65円安と大幅に下落。FOMCでは予想通り4会合連続での0.75ptの利上げが決定され、また、想定通り今後の利上げペース減速を示唆する文言も声明文に盛り込まれた。ただ、パウエルFRB議長は記者会見で「利上げ停止の検討は時期尚早」などとタカ派的なコメントを多く発した。金利の一段の上昇は避けられないとの見方から、米株式市場では連日でハイテク株を中心に売りが膨らんだ。こうした流れを受けて東京市場でも売りが広がった。ただ、米10月雇用統計を見極めたいとの思惑もあり、心理的な節目の27000円手前からは下げ渋る展開となった。



■国内7−9月期企業決算はピーク迎える



来週の東京株式市場は軟調か。米10月雇用統計では、非農業部門雇用者数が26.1万人と市場予想(+19.3万人)を大きく上回ったうえ、9月分は26.3万人から31.5万人へと上方修正された。また、平均賃金の伸びは前年同月比では+4.7%と市場予想に一致し、9月の+5.0%から減速したものの、前月比では+0.4%と市場予想(+0.3%)を上回った。失業率が3.7%と市場予想(3.6%)を超えて9月(3.5%)から大きく上昇したことはデータの解釈を難しくするが、労働参加率が62.2%と9月(62.3%)からの横ばいを見込んでいた市場予想から下振れたことも踏まえると、労働市場の逼迫は依然強いようだ。



また、3日に発表された米10月ISM非製造業景況指数は54.4と、市場予想(55.2)を下回ったものの、項目別にみると、支払価格が70.7と9月(68.7)から上昇し、入荷遅延も56.2と9月(53.9)から上昇している。雇用統計と合わせて考えると、サービス分野のインフレ沈静化が一筋縄ではいかない様子が伝わってくる。



11月1−2日に開催されたFOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長は「政策金利の最終到達点は従来の想定よりも高くなる」などと発言。これを受けて、市場が抱いていたFRBのハト派転換期待は剥落。米10年債利回りは4日、4.16%まで再び上昇してきた。ただ、10月下旬に一時上回った4.3%台にまではまだ距離があり、上述のインフレに関するデータを踏まえると、金利の上昇余地はまだ残されていると考えられる。FOMC後には、米リッチモンド連銀のバーキン総裁や米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁らが政策金利の5%越えを示唆する発言をしている。景気後退懸念が長期金利の低下圧力として働くため、米10年債利回りの上昇余地はさほど残っていないとも考えられるが、今後のデータ次第では4.5%程度までの上昇余地は想定しておいた方がよいだろう。



中国で「ゼロコロナ」政策が緩和されるとの憶測が広がっている。当局はまだ明確なメッセージを発していないが、旅行便の一部は規制緩和されるようだ。中国の経済再開への思惑から、週末にかけてWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物価格(12月物)は1バレル=92ドル台まで上昇した。10日には米10月消費者物価指数(CPI)が発表予定で、総合指数の前年比の伸びは+7.9%と9月(+8.2%)からの減速が見込まれている。ただ、足元の原油市況の強含みが続くと、11月分以降のCPIは再び総合で前年比+8.0%に乗せてくる可能性があり、サービス分野に目線が移っているインフレ問題については再びエネルギーコスト増加を通じた形で再燃する可能性があろう。



このほか、8日には米中間選挙が予定されている。中間選挙では下院で野党・共和党が過半数の議席を獲得することが見込まれており、上院は接戦の予想となっている。仮に、共和党が上下の両院で過半数を獲得すると、財政政策を通じたインフレ懸念は後退する一方、債務上限問題などが想起され、足元の不安定さを考慮すると、相場はネガティブに反応する可能性がある。一方、中間選挙の結果がどうであれ、選挙が実施される11月から翌年4月までのS&P500指数の株価パフォーマンスは良好という経験則が市場では知られている。こうしたアノマリーが意識される形で、相場が底堅く推移する可能性も残されていよう。ただ、米CPIを前に中間選挙を通過してもあく抜け感は強まりにくく、相場は良くてせいぜいレンジ相場と考えておいた方がよいだろう。



国内では7−9月期決算の発表がピークを迎える。全体相場の上値の重さが意識される中、決算を受けた個別株物色が活発化しそうだ。7日の味の素<2802>の決算では、ブランド力を背景とした値上げ浸透を背景に調味料・食品セグメントの健闘が見込まれるほか、医薬品製造受託(CDMO)や電子材料の成長で好調なヘルスケア等セグメントの業績けん引に期待がかかる。ほか、10日の東京エレクトロン<8035>では内容よりも決算後の株価反応を見極めたい。世界半導体売上高の前年同月比の伸びや、国内鉱工業生産における電子・部品デバイス工業の出荷・在庫バランスなどとの関連株価の関係性からは、逆バリの好機と捉える声も聞かれる。あく抜け感が強まるかに注目したい。



■10月工作機械受注、米ミシガン大学消費者信頼感指数など



来週は7日に中国10月貿易収支、8日に日銀金融政策決定会合の主な意見(10/27〜28開催分)、9月家計調査、9月景気動向指数、米中間選挙、9日に10月景気ウォッチャー調査、中国10月CPI、10日に10月工作機械受注、米10月CPI、11日にオプションSQ、10月企業物価指数、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。