【今週の概況】

■米インフレ緩和でドル・円は138円47銭まで急落



今週のドル・円は大幅下落。週初に147円57銭まで買われたが、米利上げペース減速の見方が強まり、11月9日に145円台前半まで下落した。10日発表の10月米消費者物価指数を巡る思惑や、8日に行われた米議会中間選挙結果が最終的に判明するのは12月以降になるとの報道もドル売り材料となった。



10日に発表された10月米消費者物価指数は、前年比+7.7%、同コア指数は+6.3%といずれも市場予想を下回る結果となった。インフレ緩和を意識して米長期金利は急低下し、主要通貨に対するドル売りが急速に広がった。ドル・円は節目の145円を下回り、一時140円21銭まで一段安となった。



11日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時138円47銭まで続落した。この日発表された11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)は12月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で利上げ幅を0.50ポイントにとどめる可能性が一段と高まったことがドル売りにつながった。ドル・円は138円81銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:138円47銭−147円57銭。



【来週の見通し】

■ドルは戻りの鈍い展開か、米インフレ鈍化の思惑強まる



来週のドル・円は戻りの鈍い値動きとなりそうだ。11月10日に発表された米10月消費者物価指数(CPI)と同コア指数は市場予想を下回った。連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利上げへの期待は大幅に後退し、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。年末に向け消費の低迷が予想され、景気減速への懸念は消えていないこともドル買いを抑制する一因となりそうだ。



来週発表の米経済指標のうち、10月小売売上高、11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数はいずれも前月から小幅に改善する見通し。米金融当局は金融引き締めの方針を早い時期に見直すことには慎重であるため、10月小売売上高などの経済指標が市場予想を上回った場合、ドル買い・円売りがやや強まる可能性は残されている。



なお、8日に行われた米議会中間選挙で下院は共和党が多数党となりそうだが、民主党の議席数は事前予想を上回るもよう。バイデン大統領は2年後の大統領選に再選の意欲を示しているが、党内から金融引き締め政策に批判が向かう可能性がある。また、15日にはトランプ前大統領が2024年大統領選挙への出馬を表明するとの見方が出ており、米国の政治情勢は混沌としていることもドル売りを誘発する可能性があろう。



【米・10月小売売上高】(16日発表予定)

16日発表の米10月小売売上高は前月比+0.9%と、前月の0.0%から改善が予想される。ただ、金融引き締め長期化の思惑で市場予想を下回った場合、景気への懸念が浮上し、ドルの下押し要因となりそうだ。



【米・11月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)】(17日発表予定)

17日発表の11月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は、-5.0と、前月の-8.7から改善が予想される。ただ、マイナスは続くとみられ、製造業の低迷を嫌気した金利安・ドル安の要因になりやすい。



予想レンジ:137円00銭−141円00銭