東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、2023年4月の取引数量が前月比43.3%減の189万7088枚、1日の平均取引数量は9万4854枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は4593.91億円と前月比で7.38億円減少した。取引通貨量では、米ドル、メキシコペソ、豪ドル、トルコリラ、南アフリカランドの順となった。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、4月の取引数量が前月比52.6%減の388万4775枚、1日の平均取引数量は19万4740枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は778.79億円となり、前月比で35.73億円の増加となった。



取引数量トップは米ドル・円で60万9648枚(前月比53.9%減)だった。5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げ見送りの可能性をにらみ、おおむね1ドル=130〜134円台を推移する方向感のない展開が続いた。ただ、4月28日での日銀金融政策決定会合にて政策の現状維持が発表されると円売りが加速し、1ドル=136円台まで上昇した。トルコリラ・円は取引数量13万4924枚(前月比16.7%増)だった。引き続きドル・円の動きに追随するような展開となり、1トルコリラ=6円台後半での小動きが続いた。5月14日に実施される大統領・議会選挙を経て、経済政策の転換が期待されている。ただし、与党が政権を維持した場合、基本的には現状維持となるため、トルコリラ相場もじり安傾向を継続すると見込まれているようだ。一方で、野党勝利の場合における経済・金融政策の「正常化」への期待感によるリラ相場反発の可能性もあろうが、新たな経済的混乱を招きかねない点を不安視する声が聞かれている。



5月のドル・円は方向性を探る展開か。5月2-3日に開催された米FOMCでは連邦準備制度理事会(FRB)が市場の予想通り0.25ポイントの利上げを決定した。声明では前会合まで記載していた追加利上げの可能性を示唆する文言を削除したため利上げ停止の観測が強まった。ただ、パウエル議長が会見で、FRBの見通しに基づくと利下げは想定されないとすると利下げ期待が後退。また、インフレが高止まりすれば利下げはしないと言明しており、10日に発表される4月消費者物価指数や11日の4月卸売物価指数などのインフレ指標で今後の方向性を探る展開となりそうだ。ユーロ・円はじり高か。4日に欧州中央銀行(ECB)は市場予想通り0.25ポイントの利上げを決定した。ただ、ラガルド総裁は会見の中で依然高インフレを警戒する姿勢を示しており、少なくとも年内あと2回の利上げを見込むと示唆した。日銀の金融政策は現状維持方針であり、日欧金利差拡大を意識したユーロ高・円安基調が続きそうだ。