主要小売り企業の決算や4月小売売上高の結果に注目だ。物価高騰や金利の上昇を受けた消費者信頼感の悪化に伴い、各社需要の鈍化に警戒だ。また、地銀パックウェストの存続性にも引き続き疑念が残る。金融システム全体への影響はいまだ不透明感が強く、早期に混乱が収束する可能性は小さいと見られる。根強い金融不安が引き続き上値を抑制するだろう。加えて、債務上限問題への懸念も上値抑制要因になりそうだ。6月1日にも連邦債務が上限に達するとイエレン財務長官が警告する中、バイデン大統領はG7首脳会談出席のため訪日する予定となっており、共和党との交渉が遅れ政府機関閉鎖や債務不履行懸念がくすぶればさらなる重しになりそうだ。



インフレや金融政策にも不透明感が強く、もみ合い相場が継続しそうだ。最新4月のCPIや卸売物価指数(PPI)で国内インフレの鈍化基調を再確認したため利上げ停止の思惑が強まり、金利先高観の後退がハイテクセクターの上昇をけん引してきた。しかし、5月のミシガン大学消費者調査の長期期待インフレ率が予想外に上昇し、追加利上げの可能性も残る。金利が高止まりする可能性が強まり、ハイテクの上昇も抑制される可能性がありそうだ。



来週発表が予定されている4月小売売上高速報は3カ月ぶりの前月比プラス改善が予想されている。3月初旬の中堅行破綻をきっかけとした金融市場の混乱を受けた消費への影響は今のところ限定的と見られているようだ。



経済指標では、5月NY連銀製造業景気指数、3月対米証券投資(15日)、4月小売売上高速報、4月鉱工業生産・設備稼働率、5月NAHB住宅市場指数(16日)、4月住宅着工件数・建設許可件数(17日)、週次新規失業保険申請件数、5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月中古住宅販売件数(18日)、などが予定されている。



主要企業決算では、小売り関連でホームセンター運営会社のホーム・デポ(16日)、ディスカウント小売りのターゲット、TJX(17日)、ウォルマート、廉価アパレルや家庭装飾品のフランドストアを経営するロス・ストアーズ(18日)、履物販売会社のフットロッカー(19日)、そのほか、ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ(17日)や重機メーカーのディア(19日)が予定されている。



小売り決算ではインフレ高進や金利高に起因するマクロ経済の悪化で需要鈍化に警戒したい。住宅市場は警戒されていたほど悪化が見られずホーム・デポの決算には期待できそうだ。ソフトウェアメーカーのマイクロソフトによるビデオゲーム開発会社のアクティビジョンブリザード買収を巡る欧州委員会承認の是非の判断が15日に発表される。承認されなかった場合、両社の売り材料になるだろう。



(Horiko Capital Management LLC)