【先週・今週の概況】

■金融不安再燃でドルは伸び悩む



先週・今週のドル・円は弱含み。米国の追加利上げを想定したドル買い・円売りが一時強まり、5月2日に137円77銭まで買われた。2-3日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で市場の予想通り、0.25ポイントの追加利上げが決定されたが、FOMCの声明で追加利上げを示唆する文言が削除されたため、ドル・円は133円台半ばまで下落する場面があった。5日に発表された4月雇用統計は市場予想を上回る内容となり、長期金利は下げ渋ったものの、金融不安が再燃し、年内利下げ観測が再浮上したことから、リスク選好的なドル買い・円売りは拡大せず、ドル・円は135円を挟んだ水準でもみ合う状態がしばらく続いた。



12日のニューヨーク外為市場でドル・円は、134円台後半から135円76銭まで反発。この日発表された5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回ったものの、同指数の5-10年期待インフレ率は上昇し、追加利上げの可能性があることから、リスク選好的なドル買いが優勢となった。ドル・円は135円72銭でこの週の取引を終えた。先週・今週のドル・円は133円50銭から137円77銭で推移した。ドル・円の取引レンジ:133円50銭−137円77銭。



【来週の見通し】

■ドルは下げ渋りか、米金融引き締め継続の思惑残る



来週のドル・円は下げ渋りか。5月10日に発表された4月消費者物価総合指数(CPI)は前年比+4.9%、同コア指数は前年比+5.5%と前回を小幅に下回った。ただ、前月比の上昇率は鈍化していないため、インフレ高止まりが意識された。インフレ持続の結果を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が早い時期に金融緩和に転換する可能性は低下し、金利高・ドル高に振れやすい。一方、米国経済の景気後退懸念がくすぶっており、4月小売売上高など経済指標の軟化が確認された場合には、ドルには下落圧力がかかりそうだ。



他方、1-3月期決算で中堅以下の地銀の業績悪化が確認され、金融株の不安定な値動きが目立つ。大幅な資金流出も不安材料。金融機関の貸出基準厳格化は企業活動の縮小につながりかねず、引き続き景気後退が意識されやすい。米債務上限問題について、ホワイトハウスと議会との協議が難航していることもドル売り材料となるだろう。



【米・4月小売売上高】(16日発表予定)

16日発表の米4月小売売上高は前月比+0.7%と、改善する見通し。3カ月ぶりのプラスなら景気減速懸念は一服し、FRBの引き締め長期化の思惑につながる可能性があろう。



【米・5月フィラデルフィア連銀景況調査】(18日発表予定)

18日発表の5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は-21.1と、前月の-31.3から改善が予想される。ただ、大幅なマイナスは続くと予想され、市場予想を下回った場合、製造業を中心とした景気減速を警戒した金利安・ドル安の要因になりやすい。



予想レンジ:134円00銭−137円00銭