■日米長期金利低下で続伸



今週の新興市場は続伸。米国の10月消費者物価指数・生産者物価指数は総合ベース・コアベースともにインフレ率の低下基調が確認された。その他の米経済指標も弱めのものが多く、米労働需給緩和への期待も強まる方向に。市場は米国の金融引き締め政策が長期化しないことに自信を深め、米長期金利が低下した。日本国内においても7-9月国内総生産(GDP)速報値が予想以上のマイナス成長で長期金利は大幅に低下し、日銀の早期の金融緩和政策転換の観測は縮小した。日米で長期金利が低下したため日本の新興市場は上昇した。ただ、11月に入ってからの株価上昇は海外投資家の「買い」がけん引しており、海外投資家の物色の対象は主力銘柄となることから新興市場の上値は日経平均に比べてやや重かった。今週の騰落率は、日経平均が+3.12%だったのに対し、東証グロース市場指数は+1.60%、東証グロース市場250指数は+2.24%だった。



個別では、スズケン<9987>と資本業務提携を発表したWelby<4438>、レッドハットのパートナーに認定されたと発表したヘッドウォーターズ<4011>などが週間騰落率値上がり上位に入った。その一方、株主優待制度の一部内容変更が嫌気されたアマガサ<3070>、上半期営業赤字が嫌気されたイオレ<2334>、24年3月期業績予想の下方修正を発表したNexTone<7094>が週間騰落率値下がり上位となった。週間売買代金上位にはカバー<5253>とジーエヌアイグループ<2160>が引き続き入った。



■米利上げ打ち止め期待が高まるなか引き続き続伸か、IPOは1社



来週の新興市場は続伸か。来週発表される11月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では参加者が米インフレ率の低下基調に自信を持てていないことが確認されるだろう。しかし、追加利上げの可能性について、FOMC参加者が今後の米経済指標のデータ次第というスタンスを維持する中、米国の10月消費者物価指数をはじめとした経済指標発表について弱めの結果が続いているため、米利上げ打ち止めに自信を深めつつある市場の見方に変わりはないだろう。



11月16日には米小売最大手のウォールマートが決算発表を行い、レイニー最高財務責任者(CFO)は「10月最後の2週間に売上の減少は加速した」と語り今後の「米個人消費の見方についてより慎重になった」と話した。米国では23日に感謝祭の祝日、24日にブラックフライデーを迎え、個人消費に注目が集まるシーズンとなる。個人消費の陰りが確認されるようになると、長期金利は一段と下落傾向を強める可能性もある。中東情勢については、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで地上作戦を進めているが、中東の産油国を巻き込むリスクは限定的とみられ株式市場への影響は大きくないだろう。米金融引き締め政策の終わりを見据え、来週の新興市場は続伸が期待される。



ただ、来週も相場の続伸基調が見込まれるものの、投資家は引き続きリスク選好一辺倒の姿勢に傾くことはできないとみられる。そうした中、業績が順調な拡大基調にあるが、今週株価が下落した銘柄に押し目買いが入りやすくなることを見込む。個別ではパーキンソン病専門の老人ホームを拡大中のサンウェルズ<9229>、介護・看護・保育の人材紹介・派遣を行うトライト<9164>などに注目しておきたい。なお、来週はバリュークリエーション<9238>がグロースへ上場する。