■株式相場見通し



予想レンジ:上限34400円−下限33400円





来週の日経平均は日米経済指標発表の結果をにらみつつ、年末上昇局面を見据えた展開が予想される。





祝日明け短縮取引となった24日のNYダウは続伸、ナスダック総合指数は反落とマチマチの展開だった。注目された21日発表の米半導体大手エヌビディアの8-10月期決算は、生成AI(人工知能)向け半導体需要が拡大し前年同月比で売上高が約3倍、純利益が約14倍という市場予想を上回る結果だったにも関わらず、事前期待が大き過ぎたためかサプライズとはならずに、決算発表後の時間外取引で同社株価は下落した。やや肩透かしとなり翌22日の東京市場は売り先行でスタートしたものの、押し目狙いの買いが入りすぐに切り返した。その背景材料となっているのが、3月期決算企業の中間配当金の支払いが始まったことによる配当再投資への期待だ。その配当金総額は昨年の6.5兆円規模から今年は7.7兆円規模に膨らんでいるとの観測があり、配当再投資による需給改善期待が相場を下支えている。日経平均やTOPIXが3日ぶりの反発となった22日の東京市場の主要株価指標で、無配株が多い東証グロース250指数がマイナスだったことも興味深い。





ただし、勤労感謝の日の休場を挟んだ週の翌週は昨年まで2年連続で日経平均がマイナスパフォーマンスとなっていることは気掛かりだ。この配当再投資の動きと並行して、年末とクリスマス休暇を控えた機関投資家のポジション整理の売りが一時的に高まる傾向がある。11月30日はMSCI日本株指数に絡む機関投資家の銘柄入れ換えの売買による一時的な波乱が生じる可能性もあることには留意が必要だ。





一方、22日発表の米新規失業保険申請件数が労働市場の底堅さを示したことや、ミシガン大消費者信頼感指数の確報値が上方修正されたことをきっかけにドルの買い戻しが強まっている。一時、1ドル147円台中盤まで進行した為替が円安傾向に転じることで、下値抵抗感も増してくることが想定される。





翌週8日のメジャーSQと11月雇用統計発表を控えて、週後半にかけては神経質な展開となり、引き続き日経平均は、33500円を基調の分岐点として、下で推移するか、上で推移するかが騰勢判断のポイントとなってこよう。





日米金利の低下を受けた金融株上昇一服、およびバルチック海運指数上げ一服からの大手海運株調整に加えて、自動車中心の輸出関連も為替動向次第と、バリュー株物色の方向性は定まりにくくなっている。ただ、年初から好パフォーマンスとなっている日本株に海外投資家を含めた注目が集まる可能性は十分にあり、先高期待は依然根強い。手掛かり難の中、引き続き半導体関連株が物色人気の中心となりそうだ。「半導体受託生産最大手の台湾TSMCが第3半導体工場の建設を検討」、「SBIホールディングス<8473>が台湾のPSMCと協力、宮城県に半導体工場を新設」、「クラボウ<3106>は熊本に半導体製造装置向け高機能樹脂の新工場を建設」と、国内での半導体投資に関連するニュースが今月に入り、再び増えてきている。製造装置や設備投資関連、技術者派遣といった半導体周辺株に循環物色の輪が広がりそうだ。また、この循環物色の輪にはエヌビディアの決算を受けて東証グロースにも関連株が多い「生成AI」関連も加わることになりそうで、中小型株物色も高まる期待が膨らむ。





このほか、季節的にクリスマス、年末商戦に向けたニュースフローが出やすい時期でもあり、小売り・百貨店、外食、ホテル、レジャー関連も物色されやすいだろう。





■為替市場見通し





来週のドル・円は上げ渋りか。米インフレ率が低下すれば連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ期待は後退し、ドルは失速するとの見方が多い。直近の連邦公開市場委員会(FOMC)ではインフレ抑制に前向きなスタンスを堅持しながらも、一段の利上げには慎重だったことが議事要旨で明らかになった。直近の米消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)は低下し、インフレ緩和傾向が鮮明。FRBは今後の政策決定についてデータ次第とするものの、市場は金融緩和へのシフトを織り込みつつある。11月30日発表予定の10月コアPCE価格指数は前回実績の前年比+3.7%から一段の低下が予想される。想定に沿った内容なら次回12月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利の据え置きは確実視され、ドル売り材料となりそうだ。





ただ、日本銀行による金融緩和策の継続によって日米金利差は維持されることから、リスク回避的なドル売り・円買いが一段と拡大する可能性は低いとみられる。また、中東情勢が大幅に改善した場合、ユーロ、英ポンド、豪ドルなどに対する円売りが強まり、この影響でドル・円の取引でもドル買い・円売りが優勢となる可能性は残されている。





■来週の注目スケジュール



11月27日(月):企業向けサービス価格指数(10月)、米・新築住宅販売件数(10月)、など



11月28日(火):基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日本銀行)、豪・小売売上高(10月)、米・消費者信頼感指数(11月)、米・ウォラー連邦準備制度理事会(FRB)理事が講演、など



11月29日(水):安達日銀審議委員が講演、同記者会見、欧・ユーロ圏景況感指数(11月)、独・消費者物価指数(11月)、米・GDP改定値(7-9月)、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表、など



11月30日(木):鉱工業生産指数(10月)、小売売上高(10月)、中・製造業PMI(11月)、欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(11月)、米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(10月)、など



12月1日(金):有効求人倍率(10月)、失業率(10月)、中・財新製造業PMI(11月)、米・ISM製造業景況指数(11月)、など