■会社概要



1. 会社沿革

Hamee<3134>は現代表取締役の樋口敦士(ひぐちあつし)氏がインターネット市場の将来性に着目し、モバイル周辺アクセサリーの企画及びインターネット通販を目的に1997年に創業したのが始まりとなる。当時は携帯電話にストラップを付けるのが流行っていた時代で、同社も天然石を付けたストラップを企画し、自社サイトでの販売や実店舗への卸販売から開始、販売量が拡大してきたことから事業規模をさらに拡大するため2000年以降、「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などマーケットプレイスに多店舗出店を展開していった。



ECサイトの多店舗展開により取扱高が順調に拡大するなかで、出店店舗の受注・在庫確認や商品の発送指示、顧客への連絡メールなどバックヤード業務も煩雑さを増していくことになる。また、当時は複数のEC店舗の在庫連携ができなかったため、販売機会ロスが生じてしまうなどの課題もあった。2000年より、パッケージソフト導入や、外注による開発によってIT化を進めたが、満足のいくレベルに達しなかったため、2005年に自社開発することを決断。システムエンジニアの採用を開始し、開発体制を整えた。こうして開発したシステムが「ネクストエンジン」(複数店舗の受発注・売上・在庫の一元管理と顧客管理システム)となる。2007年に自社のECサイトで稼働を開始し順調に立ち上がったことから、2008年より他のEC事業者への外販も開始、現在は国内で2,600社を超える企業が利用するEC事業者向けバックヤードシステムとしてトップシェアを獲得するまでになっている。



また、コマース事業(モバイル周辺アクセサリーの企画販売)について海外展開も進めている。2001年にグローバル対応ECサイトとして「StrapyaWorld」を立ち上げたのが始まりだが、本格的には2011年に「AmazonUS」へ出店、また、韓国に子会社を設立してからとなる。その後も、2013年に米国、2015年に台湾、中国、インドにそれぞれ子会社を設立し海外ネットワークを構築している(中国、インドは非連結子会社)。なお、インドについては将来的に「ネクストエンジン」の英語圏版を開発する役割を担わせる予定となっている。



株式の上場は2015年4月で、東証マザーズに上場後、2016年7月には東証第1部に上場を果たしている。また、同社は経済産業省・東京証券取引所が選ぶ「攻めのIT経営銘柄」に2016年以降、2年連続で選定されるなど、IT業界の成長企業の1つとして注目されている。なお、同社の社名「Hamee(ハミィ)」の由来は、事業ドメインである「happy mobile, easy e-commerce(世界中のモバイルユーザーに驚きを。ネット通販をもっと簡単に)」の頭文字をとってできたものとなっている。



2. 事業概要

同社の事業セグメントは、モバイル周辺アクセサリー等の企画販売を行うコマース事業と、EC事業者向けのバックヤードシステム「ネクストエンジン」を販売するプラットフォーム事業の2つのセグメントで構成されている。事業セグメント別構成比(2017年4月期)で見ると売上高の88.0%、営業利益の81.7%をコマース事業が占めており、現在の主力事業となっている。中期的には利益率の高いプラットフォーム事業を拡大していくことで、全体の収益性を向上させ事業規模を拡大していく戦略となっている。



(1) コマース事業

コマース事業では、モバイル(スマートフォン及び携帯電話)アクセサリーを主とした雑貨等の商品企画、仕入を行い、インターネット通販並びに大手雑貨量販店や家電量販店等への卸販売、海外向け自社ECサイトや海外のマーケットプレイスへの出店を通じて販売を行っている。



国内インターネット通販では自社運営サイトのほか、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazon、ポンパレモール、Wowma!などの大手マーケットプレイスにも出店し、販売を行っている。また、実店舗への卸販売先としては(株)ロフトや(株)東急ハンズ、(株)ヨドバシカメラ、ビックカメラ<3048>などの大手量販店に直接卸しているほか、商社経由での販売も行っている。海外では米国、韓国、台湾、中国、インドにて自社サイトを通じた販売を行っているほか、韓国子会社では実店舗への卸販売も行っている。



同事業における小売販売と卸販売の比率は2017年4月期で4:6の比率となっており、卸販売の比率が年々上昇傾向にある。これは自社企画商品の売上げを拡大していくに当たって、コスト低減と在庫リスクの軽減を図るには大量ロットをさばける卸販売先を確保しておくことが重要であるとの判断による。また、同社の主力商材となったiPhone専用ケース「iFace」の人気が高く、実店舗での売上げが増加していることも卸販売の構成比が上昇する要因となっている。なお、海外売上比率は現状1割以下とまだ低いが、「iFace」のブランド力を生かして海外でも今後拡大していく方針となっている。



2017年4月期の商材内訳については、自社企画商品が8割弱(スマートフォン用ケースが約6割)、仕入商品が2割強となっている。



以前は仕入商品が6〜7割を占めていたが、成長を図っていくためには自社企画商品を伸ばすことが重要と考え、2013年以降自社企画商品の開発に注力してきた。このうち主力商材である「iFace」については標準品で約2,600円だが、耐衝撃性や質感、デザイン性などで顧客から高い支持を集めて人気商品となっている。そのほかディズニーやムーミン等の人気キャラクターの商品化権を取得して企画販売するなど商品ラインナップの拡充を進めている。開発アイテム数は年間で少なくとも20〜30シリーズとなる。なお、生産については韓国の生産工場に委託している。



「iFace」については2016年3月に韓国企業から商標権を買い取った経緯もあり、韓国子会社を通じて仕入販売を行っている。海外子会社等との取引はすべて円建てで行っているため、為替変動による収益への直接的な影響はほとんどない。



(2) プラットフォーム事業

プラットフォーム事業は、EC事業者向けバックヤード業務(受発注、売上、在庫管理、顧客管理等)の自動化を実現したシステムである「ネクストエンジン」の事業となる。



サービス内容は、メイン機能とアプリケーション機能(拡張機能)があり、顧客のニーズに合わせてアプリケーション機能を使い分けることができる。また、顧客が独自で開発したアプリを「ネクストエンジン」上で販売できることも特徴の1つとなっている。「ネクストエンジン」のプラットフォーム上に、自社や他社開発を含めて様々なアプリを加えることで、プラットフォームの機能を拡充しているほか、2013年末からはAPI連携も開始し、他社システムとの連携もできるようになったことで、拡張性の高いプラットフォームとなっている。また、メイン機能については別のサービス名にてOEM供給も行っている※。



※GMOソリューションパートナー(株)の「ストックマネージャー」、GMOコマース(株)の「すごい!ネットショップ管理」





メイン機能の基本料金は月額1万円からとなっており、これにEC事業者の受注件数に応じた従量課金制を取っている。月の受注件数が400件までは従量課金は無料だが、400件を超えると1件当たり5〜25円の課金を行うことになる。例えば、受注件数が月400件の場合は従量課金は無料となり、1千件の場合は1.5万円、3千件の場合は5.5万円といった具合だ。現在の顧客当たり平均単価は基本料+従量課金で約3.1万円となっており、ここ数年は前年比200〜300円ペースで増加している。顧客であるEC事業者の売上成長によって従量課金収入が伸びていることが要因だ。また、アプリについては自社開発品と他社開発品に分けられるが、このうち他社アプリ品に関しては月額利用料の3割を手数料収入として売上高に計上している。アプリ機能で契約数の多いものとしては、ヤフオク自動出品機能やデータ分析機能等が挙げられる。ただ、同事業の売上高に占めるアプリ関連の売上げ比率は5%強であり、ほとんどはメイン機能からの収入となっている。



営業活動については、EC事業者向けのイベント・セミナー等への出展・参加を通じて見込み顧客を獲得し、営業提案を行っていくスタイルを基本とし、30日間の無料体験サービスを通じて成約につなげていく流れとなっている。このため、初期導入から30日間の無料体験でいかに顧客にその利用価値を理解してもらえるかが成約率向上のカギを握ることになる。現状は無料体験を利用する見込み顧客数が月間で150〜200件程度あり、このうち60件程度が成約する。成約率としては3〜4割とまだまだ低く、この成約率を上げていくことで契約件数も伸ばすことが可能と考えている。成約に至らない最も多い理由は、初期設定を含めて機能を使いこなせないことにある。このため、同社では初心者でもすぐに使いこなせるように初期設定を自動化できるシステムの開発や、操作が簡便となるUIの改良などに取り組んでいる。



同社の強みは、自身もEC事業者として「ネクストエンジン」を利用しており、ユーザー目線でシステムの改善点を早期に発見し改良につなげていることにある。こうした強みを生かしてメイン機能の契約社数は2017年4月末時点で2,642社、アプリ機能では978社とそれぞれ右肩上がりの拡大が続いている。



3. 競合について

コマース事業では参入企業が未上場企業も含めて多数ある中で競争環境は厳しい。競合大手としてはエレコム<6750>が挙げられ、実店舗を含めた売上規模は同社よりも大きく、同社も一部商材をエレコムから仕入れて自社店舗で販売している。ただ、インターネット通販での売上規模としては同社の方が大きいと見られる。



一方、プラットフォーム事業で競合するのは、アイル<3854>の「CROSS MALL(クロスモール)」となる。メイン機能では同社はほぼアイルと同様で、アイルの契約社数は非開示となっているものの、同社のほうが規模が大きいと見られる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)