■今後の見通し



1. 2018年3月期の業績見通し

能美防災<6744>の2018年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比5.9%増の101,000百万円、営業利益で同1.1%増の10,300百万円、経常利益で同0.2%増の10,450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.8%増の7,000百万円と増収、利益横ばいの予想だ。



2017年3月期は売上高が受注高よりも少なかったため、期末の受注残高が50,983百万円と5.4%増加した。事業別に期首受注残高の当期売上高に対する割合を見ると、火災報知設備は約3割、保守点検等は約2割に対し、消火設備は約9割であったがものが2017年3月期は10割を超える水準まで上がった。同社は、2018年3月期の事業別増収率を、火災報知設備で6.5%増、消火設備で10.5%増、保守点検等で0.5%減のほぼ横ばい、その他で4.0%増の計画を立てている。高水準の受注残高に裏打ちされた予想と思われる。受注活動については、メヌマ研究・PR実験棟が稼働する下期に一層拍車がかかるだろう。収益面では、追加工事獲得の有無が影響すると思われる。



2. 小規模病院向けの消火剤噴霧自動消火システム「SPlash α」

消防関係法令の改正により、病院・診療所等のスプリンクラー設置義務基準が変更された。以前は、病院においては延べ面積3,000m2以上、診療所等は同6,000m2以上が義務付けられていた。2016年4月より、一定の病院・有床診療所等においては、原則として、延べ面積にかかわらず設置が義務付けられた。



高齢者の火災による被害が、年々増加している。特に、自力歩行が困難な高齢者は、素早い避難が難しい。総務省消防庁によると、住宅火災における年齢別死者数は、65歳以上の割合が2002年の52.9%から2012年は66.6%へ上昇した。



同社は、法改正に合わせて、2016年4月に消火剤噴霧自動消火システム「SPlash α」の発売を開始した。医療・福祉施設向け防災システムは、延べ面積が1,000m2未満向けには水道連結型スプリンクラーの「SPlash」を、1,000m2から3,000m2向けには消火剤噴霧自動消火システム「SPlash α」を提案している。小規模医院・福祉施設にとって、一般的なスプリンクラー設備の設置は、非常電源、流水検知装置、ポンプ、水槽が必要なためコストがかかる上、既存の設備への負担が大きい。「SPlash α」は、消火剤ボンベを使用した自動消火システムのため、大掛かりな設備が不要で、設置負荷もが小さく、導入しやすい。消火設備の配管は、既設天井裏に小口径の樹脂管を設置するため、配管加工時の騒音軽減や作業時間の短縮が図られ、入院患者への負担を減らすことができる。ソファーやクッションは、鎮火後に再燃することがあるが、同システムは断続放射の機能により、限られた消火剤で確実に消火する設計が施されている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)