■事業概要



2. 日本トリム<6788>の医療関連事業

先端医療分野では、戦略的持株会社である連結子会社のトリムメディカル ホールディングスの下に、民間さい帯血バンクで国内シェアトップのステムセル研究所を擁する。2017年に入って、ヒト組織由来細胞の製品開発を行う新会社を立ち上げ、また再生医療などに関連する医薬研究用機器及び医療関連機器の企画・開発・製造・販売を行うストレックスと資本・業務提携をすることを決定した。



2017年3月期の医療関連事業の売上高は、前期比1.3%増の832百万円であった。総売上高に対する比率は5.5%とまだ小さい。売上高の内訳は、遺伝子関連事業が19百万円、同58.7%減、再生医療関連事業が807百万円、同7.0%増、電解水透析及びMGO測定が5百万円、同75.0%減であった。同事業部のセグメント利益は、前期の-35百万円から30百万円へと黒字転換した。



(1) 再生医療関連事業

2013年9月に、民間さい帯血バンクトップのステムセル研究所を買収して進出した。2017年3月期の再生医療関連事業の売上高は約807百万円、営業利益は160百万円であった。2018年3月期はそれぞれ970百万円と210百万円を見込んでいる。



ステムセル研究所は、テーラーメード医療や再生医療に関わるステムセル(造血系幹細胞)の受託管理業務を行う。同子会社は、保管数が民間のさい帯血バンクで市場の95%以上のシェアを持つ最大手になる。保管数は、2017年3月末現在で40,382名となり、3年間で9,250名増加した。現在の保管施設の収容能力は、9万人分ある。利用料金は、採取時の分離費用が16万円、10年間の保管費用が5万円、合計21万円である。10年後に更新する場合は、更新費と10年間の保管費用で7万円となる。



日本における年間出生数に対するさい帯血の保管率は0.3%と、米国の7.0%、韓国の12.0%と比べて極めて低い。同子会社は、さい帯血保管に関する啓蒙活動を行っている。



さい帯血に含まれる幹細胞は脳性まひの治療等、再生医療分野で注目されている。2014年11月に「再生医療等の安全性の確保に関する法律」が施行され、再生医療分野におけるさい帯血の臨床試験の道が開けた。同子会社の細胞処理センターは、厚生労働省より特定細胞加工製造許可を取得した。再生医療を実施する医療機関からさい帯血の調製を受託することが可能になり、ビジネスの幅が広がる。



高知大学では、ステムセル研究所の協力も得て、国内初の自家さい帯血を使用した小児脳性まひの臨床研究に取り組む。2016年12月に、再生医療安全性確保法に基づき、厚生労働省に医療計画を提出した。同研究所がさい帯血を保存する7歳未満の子どもに対して行う治療の安全性と運動機能の回復などの効果を検証する。



同社グループは、胎盤などから採取した細胞を利用した医薬品を開発する子会社ヒューマンライフコード(株)を設立した。



(2) 電解水透析及びMGO測定

2007年に東北大学との産学共同ベンチャー、トリム メディカル インスティテュートを設立し、電解水透析用システムの販売やブドウ糖酸化分解物測定に取組んでいる。電解水透析では、2012年に開始した電解水透析による5年間の予後調査が2016年末に終了し、その成果を、6月中旬に開催された日本透析医学会学術集会・総会で発表された。



全国の透析関連施設は、2015年末時点で4,321施設、131,000床であった。電解水透析装置は、2017年3月末時点で13病院、245床に導入されている。2017年3月に、電解水透析室を設置し、本格的な営業に乗り出した。2018年3月期の売上高は、約100百万円を見込んでいる。



(3) 中国における日本式病院運営事業

中国における糖尿病の患者数は1.4億人以上、予備軍を含めると2.4億人以上と言われており、同社は慢性期疾患治療病院運営事業に参画する。第1号となる北京での病院開業にむけて着々と準備を進めている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)