■今後の展望と課題



ジオマテック<6907>の現時点における収益基盤は、FPDに関連するビジネスが全体のおよそ3分の2を占めており、ディスプレイ産業への依存度が高い。そのため、この分野の市場動向に収益が左右されやすく、中長期的な視点でみると、ディスプレイ産業以外で安定した収益基盤を構築する必要がある。



同社は創業来、大きな産業サイクルの影響を受けてきた。逆風が吹くたびに潤沢なキャッシュフローで乗り切っていたが、今後は風に頼らず自身で能動的に厳しい環境に対処する、言わば、攻めの経営に転じた。それは、これまでほとんど投じていなかった広告宣伝や販売促進活動に予算を計上するようになったことからも伺える。



現在、同社を取り巻く収益環境は、スマートフォンの需要こそ拡大基調にあるが、ひと頃に比べて成熟化しており、楽観視できない。スマートフォンはOLEDが本格採用され出していることも脅威となる材料だ。一方では、力を注いでいる車載向け薄膜加工の案件が増加しているほか、OLED向けタッチパネルの増加が収益機会となっている。こうした点を踏まえ、ディスプレイを堅持しつつ、車載向けと新たな製品・分野への販売展開と技術開発力の強化に取り組む。



既存事業については、汎用性の高い自動化、半自動化による生産性の向上と低コスト化などに努め、同時に、新規事業については、事業ポートフォリオの高付加価値製品群の比重を高め、薄膜技術の応用をディスプレイ産業一極から幅広い分野に広げていく。益率が高い高付加価値製品や試作品に注力し、同時に取引先を拡大させる構えだ。



具体的には、塗装では出せない鮮やかな色が特徴となる加飾膜は、腕時計などへ採用。今後は車載や建材向けへの展開が期待されている。また、透明でありながら電気を通し発熱する透明ヒーターは、電車のフロント窓や監視カメラなどで採用、新たに開発したドーム型の透明ヒーターは、北海道など寒冷地での高速道路の監視カメラ用として試験中である。



そのほか、 透明導電膜、金属膜、加飾膜、金属反射膜、光学多層膜、反射防止膜、赤外線・紫外線カット膜、遮光膜、撥水・親水膜、薄膜熱電対など多種多様な技術を幅広い産業分野で応用を進める。



最近では、人が近づくと反応する静電容量型近接センサーや、円筒内部への成膜(コーティング)技術を開発したが、今後も「試作から量産まで」をモットーに、関連する市場や製品の技術・知識の融合により、新しい技術を構築する考えだ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)