■業績動向



1. 2017年3月期業績

飯野海運<9119>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比12.2%減の83,320百万円、営業利益が同18.8%減の6,591百万円、経常利益が同33.3%減の5,105百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.2%増の3,885百万円だった。外航海運業における円高影響、ドライバルクキャリア減船の影響、市況低迷の影響、不動産業における東京桜田ビル解体準備に伴う稼働率低下の影響などで減収となり、売上総利益が減少して営業減益だった。



全社ベースの売上総利益は同9.6%減少したが、売上総利益率は16.1%で同0.4ポイント上昇した。販管費は同1.4%増加にとどまったが、販管費率は8.2%で同1.1ポイント上昇した。経常利益は営業外収益での持分法投資利益の減少(2016年3月期1,715百万円、2017年3月期309百万円)も影響した。



親会社株主に帰属する当期純利益は特別損益が改善して増益だった。特別利益合計は3,776百万円(2016年3月期633百万円)だった。笹塚センタービル売却で固定資産売却益が増加した。特別損失合計は5,027百万円(2016年3月期4,022百万円)だった。ドライバルクキャリア事業の構造改革の一環として、不採算船の用船解約に伴う用船解約損失及び未竣工船の譲渡に伴う減損損失を計上した。



2. セグメント別業績

セグメント別(連結調整前)に見ると、外航海運業は売上高が同13.5%減の63,012百万円で営業利益が同30.3%減の2,626百万円、内航・近海海運業は売上高が同9.7%減の8,059百万円で営業利益が同50.5%減の180百万円、不動産業は売上高が同6.3%減の12,249百万円で営業利益が同5.0%減の3,786百万円だった。



外航海運の市況については、オイルタンカーは秋口から堅調に推移したが、新造船の流入やOPEC(石油輸出機構)の減産の影響で年明けから再び軟化傾向となった。ケミカルタンカーはプロダクトタンカーのケミカルタンカー市場への流入などで軟化傾向となった。LPGキャリアは新造船大量竣工で低調となり、LNGキャリアもスポット市況が低水準だった。ドライバルクキャリアは2016年前半の歴史的低水準から脱却し、2016年後半から回復傾向となった。



このような事業環境下、オイルタンカーや大型ガスキャリアでは支配船腹を長期契約へ継続投入し安定収益を確保した。また、平均燃料油価格も低下(2016年3月期281米ドル/MT、2017年3月期257米ドル/MT)した。しかし、為替が円高(平均為替レート2016年3月期1米ドル=120円61銭、2017年3月期1米ドル=108円93銭)で推移し、ドライバルクキャリアの減船の影響や、ケミカルタンカー、プロダクトタンカー、ドライバルクキャリアの市況低迷の影響を避けられず、減収減益だった。



内航・近海海運業は、内航ガス輸送は老齢化したエチレン船1隻を処分した影響があったが、効率的な配船や石油化学系ガスの中・長期契約を中心に採算を確保した。近海ガス輸送は新造船の流入圧力が低下して市況が底打ちしたが、本格的な収益回復に至らなかった。



不動産業は、西新橋一丁目再開発事業始動に向けた東京桜田ビル解体準備に伴う稼働率低下が影響したが、主力の飯野ビルディングを中心におおむね順調に稼働した。スタジオ関連事業もおおむね稼働が順調だった。また、期末には笹塚センタービルを好条件で売却した。



なお、全社ベースの営業利益増減(15.3億円減益)分析では、増益要因がガス2.1億円、オイル2.6億円、減益要因が為替10.1億円、ケミカル船6.0億円、内航・近海1.8億円、不動産2.0億円、その他0.1億円としている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)