■今後の見通し・中長期成長戦略



4. 2018年3月期予想

飯野海運<9119>の新中期経営計画の初年度となる2018年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比4.0%減の80,000百万円、営業利益が同24.1%減の5,000百万円、経常利益が同21.6%減の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.8%減の3,700百万円としている。前提となる為替レートは1米ドル=110円、燃料油価格は370米ドル/MT(補油地:シンガポール)としている。



海運業においてドライバルクキャリアの運航隻数が減少(短期用船除く)すること、ケミカルタンカー市況の軟化を見込んでいること、不動産業において前期末の笹塚センタービル売却や西新橋一丁目再開発事業による東京桜田ビルの解体で稼働棟数が減少することが影響し、減収減益予想である。為替1円変動による感応度(影響額)は営業利益段階で約64百万円の見込みとしている。また、期中に不動産業でターゲットエリア内のビルの一部を取得する見通しだ。



全社ベースの営業利益増減(16億円減益)分析は、増益要因がガス6億円、減益要因がケミカル船市況11億円、ケミカル船その他4億円、バルク他1億円、不動産6億円としている。



営業外では受取配当金の増加や借入金減少による金利負担軽減を見込んでいる。また、特別利益では前期計上の笹塚センタービル売却益が剥落するが、一方で前期の特別損失に計上したドライバルクキャリア関連の構造改革費用も剥落するため、親会社株主に帰属する当期純利益の減益は小幅にとどまる見込みだ。



なお、海運市況については、ドライバルクキャリアの市況は2016年前半の歴史的安値で底打ちした可能性があるが、先行きを読みにくいため、ケミカルタンカー市況とともに本格上昇は2019年3月期以降と見込み、2018年3月期は保守的な想定としている。



5. 海運業と不動産業を両輪とする成長シナリオに変化はなく中期的な収益拡大を期待

海運業と不動産業を両輪として永続的な安定成長を目指すシナリオに変化はない。海運業ではケミカルタンカーのシェア拡大を目指し、2019年3月期以降は世界経済の拡大に加えて、米州発のシェール由来カーゴの本格化による市況への好影響も期待されている。不動産業ではエリアターゲット戦略を加速する。中期的に収益拡大が期待される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)