■事業概要



1. コンストラクション・マネジメントとは

コンストラクション・マネジメント(以下CM)とは、米国において普及した建設生産・管理システムである。具体的にはコンストラクション・マネージャー(CMr)が、技術的な中立性を保ちつつ、発注者の代行者または補助者となって発注者側に立ち、基本計画作成や工事発注方式の検討、設計者選定支援、設計マネジメント、施工マネジメント等各種マネジメント業務を通じたコスト管理や工事進捗管理などを行う発注者支援サービスのことを指す。明豊ファシリティワークス<1717>はCM事業(発注者支援事業)を専業とした国内の先駆け的な唯一の上場企業である。



また、同社サービスの契約形態は「ピュアCM方式」と「アットリスクCM方式」の2通りに分かれている。「ピュアCM方式」とは同社と施主がCM業務委託契約(マネジメントフィー契約)を結ぶ方式で、設計や施工会社との契約は施主が直接行う格好となる。同社の売上高に計上されるのはマネジメントフィーのみとなり、売上原価としてマネジメントに関わるコストなどが計上される。



一方、「アットリスクCM方式」とは、同社が施主に代わって施工会社と直接、工事請負契約を結ぶ方式のことを言う。売上高はマネジメントフィーに工事管理フィー、建設工事の実費額(コスト)が加算されることになる。売上原価にはマネジメントフィーや工事管理フィーにかかる社内コストと、施主が承認した建設工事の実費額(オープンブック方式)が含まれることになる。工事実費額は売上高と売上原価に同額で計上されるため、この部分に関して同社の利益は発生しない。このため、売上高総利益率で見れば「アットリスクCM方式」のほうが低くなる。



どちらの方式を選択するかは、施主側の意向によって変わるため、事業全体で見た場合には「ピュアCM方式」による契約率(または収入)が上昇すれば売上高が減少し、逆に売上総利益率は上昇する傾向となる。このため、同社では経営指標として売上高ではなく、売上総利益と経常利益をベースに収益管理を行っている。



2. 「明豊のCM」の特徴

同社は企業理念に「フェアネス」と「透明性」を掲げ、プロが供給側に偏在するなかで、施主側に立つことに徹底した発注者支援をメイン業務としている。CM方式の最大のメリットは、一般的な一括請負方式と比較して、発注プロセスと工事項目別コストを発注者(施主)と可視化された中で共有し、複数の選択肢の中から顧客が納得する最適な方法を選択、実行できることにある。同社では、20数年にわたる数多くの事例から得られた実勢コストを社内でデータベース化しており、需給バランスが崩れている現在の建設業界にあっても、発注者側に立って適正な費用の査定ができることを強みとしている。



「明豊のCM」方式では基本計画や、建築、電気・空調・情報通信・AV機器などの設備工事に至るまであらゆる分野で専門家を社内に配置し、顧客側に立った適正な基本計画づくりやコスト管理・査定を行っている。このため、過大に見積もられた費用があれば元請け業者に指摘し改善させる、あるいは分離発注を行って直接施工業者へ発注することで、余剰なコストを圧縮している。これら手法により、顧客の予算を上限(CAP)に、管理された予算内での「プロジェクトの早期立ち上げ」にも貢献するなど、顧客目標を確実に達成していくことで、顧客から高い信頼を獲得している。



3. 同社の強み

CM事業者、特に大規模工事に対応するために必要となるのは、各工程において、施主側に立って設計要件の整理やコスト管理・審査ができる専門家、工期管理などトータルマネジメントができる人材、大手施工会社や設計事務所などとの交渉においても対等に渡り合える経験とノウハウを持つ人材などになる。



同社の人材は、建設会社や施工会社、設計事務所など実際の現場を経験した人材を中途採用により厳選して獲得しており、建設プロジェクトにおける基本計画策定からコスト見積り・工期管理においてのプロフェッショナル集団と言える。CM事業を先駆けて展開してきたことで、業界内でのブランド力も向上しており、こうした専門的なスキルを持つ人材を多数そろえていることが同社の強みとなっている。



また、社員一人ひとりが経営理念である「フェアネス」と「透明性」を心掛け、顧客からの信頼を獲得してきたことが、同社の成長原動力になっている。社員数225名(2017年3月末)の企業規模において、新規顧客の開拓、特に大規模案件の開拓は一般的に困難ではあるが、同社は既存顧客のうち9割近くが鉄道会社やメーカー、金融機関、学校・医療法人、地方自治体を含めた大企業や公共体で占められており、新規顧客もその大半を既存顧客からの紹介によって獲得している。また、直近6年間の年間受注高の約2/3は既存顧客からのリピート受注によるものとなっている。こうした状況は、顧客満足度が高くなければ決して成し得ないことであり、顧客からの信頼性の高さの裏付けとなっている。同社ではリピート受注だけで年間の損益分岐点を超えることを当面の目標としている。



こうした信頼関係の構築に関しては、顧客だけでなく利害関係者となる元請けの建設会社とも進んでいる。最近では、着工後における施工者からの改善提案など、施主側が理解し難い専門的な検討事項についても、同社が間に立って分かりやすく顧客に説明することで、スムーズに話が進むといった点が高く評価されている。利害関係者からであっても真に顧客の役に立つ提案には真摯に向き合う「フェアネス」「透明性」の基本方針が、顧客に対してだけでなく、すべての関係者に対して実践されている証左と言える。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)