■中長期の成長戦略



1. 成長戦略の柱は「◯◯×IT」

オプティム<3694>のビジョンは、IoT/AI/Robot分野への投資を強化し第4次産業革命の中心となる企業となることである。基本戦略としては、あらゆる産業と同社の持つIoT/AI/Robotテクノロジー・ノウハウを融合させる「◯◯×IT」により、ITの力で新しい産業基盤を創造することである。◯◯には様々な業界が入るが、直近で進捗が著しいのが、農業・水産業、医療・介護、建設などの業界である。また、2017年5月に同社は佐賀県と「第4次産業革命実現に向けたAI・IoT活用推進の包括連携協定」を締結しており、行政サービスに関連する様々なテーマがITと結びつく可能性がでてきた。



2. 行政サービス分野での「◯◯×IT」の取り組み:佐賀県とのAI・IoT包括連携協定

2017年5月29日、同社は佐賀県と「第4次産業革命実現に向けたAI・IoT活用推進の包括連携協定」を締結した。スローガンは「第4次産業革命を“佐賀”から」。進め方としては、下記のとおり。



ステップ1:佐賀県内各所から、活用可能データを集積

ステップ2:オープンデータ、AI、IoTを活用した産業イノベーション、人材育成

ステップ3:“佐賀”をトライアルフィールドとして活用促進



まずは、佐賀県と同社で事務局を設置し、県内外の企業とも連携する体制を整える。どのようなテーマがAI・IoT活用の対象になるかは未知数だが、道路・橋などのインフラ整備や観光振興における活用など、新たな可能性は大きそうだ。



3. 水産業分野での「◯◯×IT」の取り組み:佐賀有明海ノリ養殖における産官学6者間連携

2017年3月、同社及び佐賀県、佐賀大学、佐賀県有明海漁協、農林中央金庫、NTTドコモの6者は、ノリ養殖におけるIoT/AI/Robotの活用を行う6者間連携協定を締結した。ドローン(飛行機型、ヘリコプター型)やICTブイなどのIoT機器を活用し、取得されたビッグデータをAIにより解析し、ノリ養殖の品質及び収量の向上、病害対策、海苔漁家の作業軽減などの課題を解決することを目的としている。同社の役割としては、IoTプラットフォームの提供及びドローンやAI等の先進テクノロジー提供が中心となる。農業におけるドローン活用の実証実験に成功した同社ではあるが、水産業は対象範囲が広いため新たに飛行機型のドローンを導入するなど、新たなチャレンジを行う。



4. 医療分野での「◯◯×IT」の取り組み:佐賀大学とメディカル・イノベーション研究所設立

2016年12月22日、同社は佐賀大学と未来型医療の共同研究を推進するために包括的な連携を行い、IoT/AI等の最新のテクノロジーを活用した研究を行う「メディカル・イノベーション研究所」を設立した。この研究所では、「いのちをつなぐメディカル・ネット 〜Net for Life〜」というコンセプトの下、1)未来型医療の提案、2)医療資源の有効活用と効率的な医療体制の構築、3)実行型IoT技術の導入、を活動方針として研究を進める。既に、具体的な2つのテーマで研究がスタートしている。1つ目のテーマは「AIによる画像診断支援」、2つ目が「緊急車両やドクターヘリにおけるスマートグラスの活用」である。



「AIによる画像診断支援」においては、臨床画像データをAIに画像解析させることで、「緑内障」、「糖尿病網膜症」、「加齢黄斑変性」の早期発見・治療を目指す。佐賀大学が持つ過去の臨床画像データを匿名化した上で、OPTiM Cloud IoT OSのAIを用いて深層学習による機械学習を行い、診断を支援する試みだ。将来的には集積された臨床ビッグデータを活用することで、眼底画像から新たな疾患(心筋梗塞、脳血管障害やアルツハイマー型認知症など)の発症予測や、モバイル機器による簡易診断で早期発見を行うなど、新しい診断・治療手法の創出を目指す考えだ。



上記2つの取り組み事例では、IoTのみならずAIを高度に活用したソリューションが求められており、同社が担う技術領域も広がっている。OPTiM Cloud IoT OS などのIoTプラットフォームの完成度が高まった現在、「◯◯×IT」は各業界分野で有力プレーヤーを巻き込みながら、スピーディに力強く推進されるようになっている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)