■成長戦略とその進捗



トーセイ・リート投資法人<3451>は、分配金水準の維持・向上のため、資産規模を拡大し長期的に安定する運営基盤確立を図る方針である。当面の運営目標として資産規模500億円の早期実現を目指すとともに、中期的な資産規模として1,000億円をイメージしている。



外部成長戦略、内部成長戦略、財務戦略として以下を掲げている。



1. 外部成長戦略

1)スポンサーパイプラインの活用、2)独自の取得ルートの拡充、3)柔軟な投資機会の模索により、高利回り物件の取得と差別化されたポートフォリオの拡充を目指す。特に、投資機会が豊富で、かつ小規模ならではのパフォーマンスが追求できるボリュームゾーンへの積極投資を通じてスケールメリットを享受し、安定性と高利回りの両立を図る戦略である。利回り目標として、償却後のNOI4%台半ば〜後半を追求する方針に変更はない。



現在のスポンサーパイプラインの状況は、2017年6月15日に2物件に係る優先交渉権を取得したことにより合計5物件を確保している。予定取得価格は合計70億円程度のもようであり、500億円の目標も射程圏内に入ってきた。なお、優先交渉権物件については、現在、スポンサーによるリニューアル工事等を実施中である。また、今後の物件取得についても、東京経済圏エリア(都心部から30km圏内を目安)にフォーカス(更なる深堀り)して、情報収集に取り組んでいる。



2. 内部成長戦略

グループによる運用力を最大限に活用し、1)きめ細かいリーシング活動、2)顧客(テナント満足度)の向上、3)コストパフォーマンスに優れた改修を通じた物件競争力の維持・向上により、高稼働率を維持するとともに、賃料改定時におけるアップサイドを追求する戦略である。



3. 財務戦略

引き続き、有利子負債については、保守的なLTV(45%〜50%の範囲内)を維持し、固定金利運営を行うことを基本としつつ、一定額の変動金利調達による低金利のメリット享受など、市場金利動向の変化に合わせた柔軟な財務戦略との両立を目指している。また、資産規模500億円の実現には、円滑なエクイティファイナンスの実施が必要になると考えている。さらに、500億円到達後の課題として、1)資金調達手法の多様化への取り組み、2)格付取得・無担保化による信用力向上、3)資金調達コストの低減化と安定化、4)資産入れ替えに伴う売却益等の活用を挙げている。



弊社でも、同社が特化する対象市場には投資機会が豊富にあるうえ、取得競合が比較的少ない(参入障壁が高い)ことから、潜在的な成長力は高いと評価している。また、資産規模1,000億円に向けては、トーセイ以外の取得ルートの確保や地方大都市圏への参入の可能性にも注目している。



一方、リスク要因としては、他REITと同様、稼働率の低下や賃料の下落等があげられるが、前者については、物件やテナントの分散が図られているうえ、規模拡大に伴ってさらに安定性の向上が期待できる。また、後者についても、同社の対象物件(ややグレードの劣るクラス)は、賃料の大幅な値上げが難しい半面、値下げのリスクも限定的である(最上級のクラスに比べて賃料の変動率が小さい)と考えられる。したがって、リスク・リターンの関係から判断して、リスクも相対的に低い水準を維持できる可能性が高いとみている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)