■業績動向



1. 2019年3月期通期決算の概要

極東貿易<8093>の2019年3月期通期の決算は、売上高67,972百万円(前期比9.5%増)、売上総利益8,875百万円(同8.3%増)、営業利益1,080百万円(同33.0%増)、経常利益2,023百万円(同31.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,276百万円(同13.0%減)と増収減益となった。



連結売上高では、基幹産業(鉄鋼、電力など)の旺盛な設備投資を背景に、重電設備関連事業と計装システム事業が大幅な売上高増(それぞれ前期比+43億円増、+15億円増)となった。一方、中国経済の減速(中国国内総生産GDPは前年比6.6%と1990年以来28年振りの低水準)の影響を大きく受け、同社の中核事業の内、ねじ関連(ヱトー)と樹脂・塗料が期初計画値を大幅に下回ることになり、最終的には、連結売上高期首見通しの70,000百万円を下回ることとなった。



また、連結営業利益では実績1,080百万円と前期比は大きく上回るものの、計画1,300百万円に対して実質1,080百万円と下回り、前述のねじ関連、樹脂・塗料に加えて、粗利(売上総利益)が最盛期の1/3となった資源開発機器が足を引っ張った。



2. 2019年3月期事業セグメント別決算

(1) 基幹産業関連部門

重電設備事業は、鉄鋼・化学プラントの設備投資が活況で大口案件にも恵まれ、売上高19,819百万円(前期比4,276百万円増)、売上総利益1,311百万円(同391百万円増)となり大幅増収となった。鉄鋼関連事業は、国内外向けとも堅調に推移したことで、売上高1,595百万円、売上総利益204百万円の増収増益となった。また、資源開発機器事業は、メインの海洋資源探査関連の海洋エネルギー・鉱物関連プロジェクト予算縮小が続き、さらに物理探査機や地震計なども受注が落ち込み、売上高1,374百万(前期比326百万円減)、売上総利益302百万円となり、売上高・売上高利益とも最盛期の約1/3まで縮小した。検査装置事業は、第4四半期に納入が集中したことで、売上高2,003百万円、売上総利益489百万円と増収増益となった。この結果、基幹産業関連部門は、売上高24,937百万円(前期比20.6%増)、売上総利益2,331百万円(同30.0%増)となった。



(2) 電子・制御システム関連部門

航空電子事業は、ボリュームが期待されている自動車用軽量ケーブルが今期から一部納入開始、一方、バイオマス発電関連の納入は一部来期へずれ込み、売上高2,529百万円、売上総利益346百万円で増益減益。電子機器事業は半導体関連部品が堅調、さらに、今期よりドイツ現地法人の連結子会社化で、売上高1,864百万円、売上総利益492百万円と増収増益となった。計装システムも火力発電所向けの大口案件の納入で、売上高8,173百万円(前期比1,470百万円増)、売上総利益566百万円と増収増益となった。この結果、電子・制御システム関連部門は、売上高12,568百万円(前期比26.6%増)、売上総利益1,405百万円(前期比15.2%増)となった。



(3) 産業素材関連部門

自動車向け樹脂・塗料事業は、北米では順調に推移したが、中国では中国経済の減速と自動車販売不振の影響で自動車部品メーカー(Tier1)向け塗料が大幅に落ち込み、2019年3月期は売上高11,407百万円(前期比1,169百万円減)、売上総利益1,187百万円と減収減益となった。複合材料事業は、好調であった炭素繊維関連資材が価格競争の影響で収益が抑えられ、売上高2,686百万円、売上総利益435百万円と増収減益となった。食品関連事業は、設備関連が売上伸び悩みも、関連副資材の値上げ効果で利益を押し上げ、売上高899百万円、売上総利益167百万円と減収増益となった。その結果、産業素材関連部門は、売上高14,994百万円(前期比6.1%減)、売上総利益1,791百万円(同1.4%増)となった。



(4) 機械部品関連部門

ねじ関連事業は、ヱトーの商材の売上拡大が期待されたが、売上高14,558百万円(前期比108百万円増)、売上総利益も3,043百万円と売上高、売上総利益とも微増にとどまった。これは、中国経済減速の影響を受け中国市場向け日系大手建設機械やロボットメーカー向けの売上拡大が鈍化したためである。ばね関連事業は、サンコースプリングの基幹製品「定荷重ばね」は前年同期並に推移したものの、ぜんまい・他製品の売上高が減少し、売上高915百万円、売上総利益302百万円と減収減益となった。この結果、機械部品関連部門は、売上高15,473百万円(前期比0.2%減)、売上総利益3,346百万円(同2.0%減)となった。



3. 財務状況

財務状況で特筆すべきことは、手持ち資金が手厚いことである。現金及び預金8,741百万円に加え、投資有価証券8,154百万円を保有し、さらに含み益もあるようで、今後のM&A展開へ強力な武器と言える。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)