■業績動向



2. 2019年11月期上期決算の概要

サムティ<3244>の2019年11月期上期の業績は、売上高が前年同期比3.3%増の47,827百万円、営業利益が同53.0%増の13,941百万円、経常利益が同61.9%増の12,803百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同59.9%増の9,044百万円と増収増益となり、過去最高業績(上期ベース)を更新した。また、通期予想に対しても売上高はほぼ予想通り、各段階利益では高い進捗率に達している。



売上高は、好調な不動産市況を追い風として「不動産事業」が順調に拡大。特に、都内を中心に外資系ファンド等からの投資需要が強い「S-RESIDENCE」シリーズのほか、新たに注力しているホテルなど、自社開発物件の販売が好調であった。また、ホテルの新規開業等に伴う収入増により、「その他の事業」も大きく拡大している。一方、「不動産賃貸事業」が減収となっているのは、保有物件の売却を積極的に進めたことが理由であり、一時的な要因として捉えることができる。



利益面では、販売価格の上振れやホテルなど利益率の高い開発物件の売却により原価率が大幅に低下したことから、営業利益率が29.1%(前年同期は19.7%)に大きく改善。その結果、増収効果と合わせて大幅な増益を実現した。



また、今後の成長につながる仕入れの状況についても、開発用地20物件(想定売上高約574億円/取得価額約215億円)、収益不動産26物件(取得価額約201億円)を取得しており、今後の取得予定物件を含めて、順調に進捗している※。



※通期予算に対する進捗率(取得金額ベース)は開発用地が86.1%、収益不動産が50.2%となっている。





財政状態は、2018年10月に実施したライツ・オファリングや物件売却による自己資金に加え、借入金を有効に活用し、開発用地や収益不動産を積極的に取得したことから、「販売用不動産」及び「仕掛販売用不動産」、「有形固定資産」が増加し、総資産は前期末比18.7%増の192,808百万円に拡大した。一方、自己資本も内部留保の積み増し等により同11.7%増の68,748百万円に増加した結果、自己資本比率は若干低下したものの、35%以上の水準を確保している。また、有利子負債も長期借入金を中心に前期末比29.3%増の115,332百万円に増加したが、ネットD/Eレシオ※は1.04倍の水準に抑えており、資産拡大を図りながらも健全な財務体質を維持していると言える



※ネットD/Eレシオ=(有利子負債−現預金)÷自己資本





各事業の業績は以下のとおりである。



(1)不動産事業

売上高は前年同期比2.1%増の42,743百万円、セグメント利益は同54.5%増の14,845百万円と増収及び大幅な増益を実現した。そのうち、開発流動化が「S-RESIDENCE」シリーズ10棟(前年同期は11棟)や自社開発ホテル3棟(前年同期は実績なし)の売却などにより大きく拡大。特に、外資系ファンドからの強い投資需要を背景とした販売価格の上振れや大型ホテルの売却が業績の伸びに寄与したと言える。一方、再生流動化については8棟(前年同期は21棟)にとどまったが、下期に向けて増加する見通しのようだ。また、投資分譲が減収となっているのは、販売戸数が93戸(前年同期は195戸)と減少したことが理由であるが想定内。開発物件については、1棟での購入ニーズが強く販売効率や採算性が高い開発流動化の物件として売却していることが背景にある。アセットマネジメントは、SRRの運用残高の拡大に伴って安定収入である運営及び管理手数料は順調に底上げされているものの、一時的な取得手数料が前年同期比で減少したことから減収となっている。



利益面では、ホテルなど利益率の高い開発物件の売却により大幅な増益を実現し、通期予想に対しても高い進捗率となっている。



(2)不動産賃貸事業

売上高は前年同期比11.4%減の3,203百万円、セグメント利益は同12.2%増の1,174百万円と減収ながら増益となった。保有不動産は高稼働を維持しているものの、保有物件の売却を積極的に進めたことから、一時的に賃料収入が減少した(但し、想定内)。期末の保有物件数(固定資産)は72棟(前年同期末は82棟)となっている。



(3)その他の事業

売上高は前年同期比122.6%増の2,106百万円、セグメント利益は5百万円(前年同期は42百万円の損失)と大幅な増収により黒字化を実現した。「エスペリアホテル博多」などの巡航稼働に加え、「エスペリアイン日本橋箱崎」及び「エスペリアイン大阪本町」のオープンにより、ホテル事業が大きく拡大している。



3. 開発計画(パイプライン)の状況

「S-RESIDENCE」シリーズ及び投資分譲の開発状況は、2019年竣工分が9棟(514戸)、2020年竣工分が28棟(1,764戸)、2021年竣工分が22棟(1,402戸)、合計59棟(3,680戸)と順調に積み上がっている。また、ホテル・オフィス開発は、2020年度開業分が4棟、2021年度開業分が3棟、2022年度開業分が1棟となっている(詳細は後述)。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)