■今後の見通し



1. 2020年3月期業績見通し

TOKAIホールディングス<3167>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.8%増の200,800百万円、営業利益が同8.5%増の14,170百万円、経常利益が同5.9%増の14,040百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.9%増の8,230百万円と期初計画を据え置いている。継続取引顧客件数は第3四半期以降にLPガス事業における商圏買取りやその他事業での顧客開拓を強化していくことで前期末比10万件増の300万件の達成を目指すが、第2四半期までの進捗がやや遅れており、今後のM&Aの進展状況次第となる。



費用面では顧客獲得維持コストの積み増しや「ABCIR+S」関連の投資費用、エンジニアを中心とした人材の積極採用による人件費の増加などが見込まれるが、保守的に計画に織り込んでいるものと思われる。このため、LPガス事業の需要期となる冬場の気温が平年並みで推移すれば、利益ベースで会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。参考までに、第2四半期までの通期業績計画に対する進捗率は売上高で46.3%、営業利益で38.8%となっており、過去3年間の平均進捗率(売上高45.3%、営業利益28.9%)に対して営業利益は上回るペースで推移している。



主要事業の業績見通しについては以下のとおり。



(1) ガス及び石油事業

ガス及び石油事業に関しては顧客件数の拡大や仕入コスト減少等により増収増益となる見通し。LPガス事業の顧客件数は前期末比56千件増の684千件を見込んでいる。増加分の内訳は既存営業エリアで32千件増、新規営業エリアで23千件増となり、それぞれ商圏買収を進めながら顧客を獲得していく。第2四半期末では既存エリアで3千件、新規エリアで8千件の増加にとどまっているため、下期は商圏買収を加速し計画達成を目指す考えだ。なお、新規営業エリアに関しては、2019年4月に三重県津市で営業を開始したのに続き、2020年3月期第4四半期から愛知県愛西市に進出する予定となっている。また、都市ガス事業を開始した群馬県下仁田町にもLPガス利用者が若干いるようで、これら顧客の獲得も進めていく。新規営業エリアの顧客件数は、2019年3月期末の27千件から2020年3月期は50千件、2021年3月期は70件に拡大する計画となっている。なお、LPガスの原材料価格が今後変動する可能性があるものの、2021年3月期までの仕入れ分(家庭用のみ)については前期水準を下回る価格で予約を終えており増益要因となる。



一方、都市ガス事業については顧客件数で前期末比5千件増の61千件を計画している。ただ、この5千件の増加分は2020年4月より事業譲受により営業を開始する秋田県にかほ市の顧客分となるため、売上に寄与するのは2021年3月期からとなる。2020年3月期の売上高については原料費調整制度による販売単価の上昇に加えて、群馬県下仁田町の約1千件分(1.4億円程度)が増収要因となる。



(2) 情報及び通信サービス事業

情報通信サービス事業は1ケタ台前半の増収増益となる見通し。コンシューマー向けについては顧客件数で前期末比1千件減の1,003千件(内訳は従来型ISP等で35千件減の384千件、光コラボで18千件増の345千件、「LIBMO」で21千件増の62千件、モバイルで5千件減の212千件)を見込んでいたが、2020年3月期第2四半期末で前期末比19千件減(内訳は従来型ISP等で16千件減、光コラボで3千件減、「LIBMO」で3千件増、モバイルで2千件減)と想定よりも光コラボと「LIBMO」の契約数が下回っており、通期でも1ケタ台の減収が続くものと予想される。利益面では顧客獲得維持コストの抑制により前期並みの水準が見込まれる。なお、モバイル事業のテコ入れ策として、従来、郊外型で展開していた併売店をショッピングモール等の集客が見込める立地に移設し、「LIBMO」の販売やiPhoneの修理サービス等と組み合わせ、多様なサービスを提供できる店舗に変えていくことで収益力の向上を目指していく。



一方、法人向けについては引き続きクラウドサービス市場の拡大を追い風としたデータセンター需要の増加、並びにシステム開発需要の拡大等により通期でも2ケタ増収増益が見込まれる。



(3) CATV事業、アクア事業、建築・不動産事業

CATV事業は、携帯キャリアとの連携によるセット販売施策により、顧客件数で前期末比27千件増の1,090千件を見込んでいる。2020年3月期第2四半期末で前期末比13千件増とほぼ計画通りの進捗となっており、業績は前期比で1ケタ台の増収増益となる見通しだ。4K/8K放送に対応した光化投資(前期比3億円増の58億円)をグループ各社で進めていく計画となっており、前期までのような減価償却費の減少といった増益要因がなくなるため、利益率も前期並みの水準が見込まれる。



アクア事業は、主要都市における大型商業施設等での店頭実演販売により、顧客件数で前期末比11千件増の167千件を見込んでいる。2020年3月期第2四半期末で3千件の増加にとどまっているため、第3四半期以降は顧客獲得コストを積み増して、計画達成を目指す方針となっている。このため、売上高は顧客件数増により前期比1ケタ台後半の増収となるが、利益面では横ばい水準にとどまる見通しだ。



建築・不動産事業では2019年9月に日産工業を新たに子会社化したことに伴う上乗せ分が見込まれる。日産工業の2019年2月期業績は売上高で2,046百万円、営業利益で197百万円となっており、この半分程度の寄与が見込まれる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)