■今後の見通し



1. 2020年9月期の業績見通し

学研ホールディングス<9470>の2020年9月期の連結業績は、売上高で前期比1.7%増の143,000百万円、営業利益で同12.8%増の5,100百万円、経常利益で同11.5%増の5,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同44.3%増の2,800百万円となる見通しだ。売上高については高齢者福祉事業をけん引役に増収が続き、営業利益は教育分野の構造改革による収益改善効果により増益を見込んでいる。親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、前期と比べて特別損益や税負担率が改善することなどにより大幅増益となる。



2018年11月に発表した中期経営計画「Gakken 2020」の業績目標値に対しては、高齢者福祉事業の伸長により売上高で3,000百万円、営業利益で100百万円の増額となり、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては税負担率の上昇により500百万円引き下げている。



なお、既述のとおり2020年9月期より一部の事業会社でセグメント移管を行っている。具体的には、学研メディカル秀潤社、学研メディカルサポート他1社で展開する医学看護出版事業を「医療福祉サービス事業」から「教育コンテンツ事業」に、また、文理を「教育コンテンツ事業」から「教育サービス事業」に移管している。



医学看護出版事業については、eラーニングに関する制作力と営業ノウハウを教育コンテンツ事業全体で共有することで新規事業の創出を推進すること、並びに「学研版地域包括ケアシステム」を教育面から支援し、医療福祉サービスセグメントとの融合を推進することが目的となっている。一方、文理に関しては学習塾向け教材の開発・販売や子会社の(株)ビーコンで行うアセスメント事業の強化を図ることを目的としている。アセスメント事業とは、塾の生徒を対象に模試を実施し、その採点処理や結果の分析・評価を行うサービスで、従来の知識偏重型の模試ではなく、思考力、判断力、表現力を重視する模試を志向している。





教育分野は構造改革の推進により収益力が回復、医療福祉分野は積極投資により事業拡大に取り組む



2. 事業セグメント別の見通し

(1) 教育サービス事業

教育サービス事業の売上高は前期比14.0%増の34,500百万円、営業利益は同33.5%増の1,200百万円となる見通し。文理の移管によるプラス影響(売上高4,500百万円、営業利益200百万円)を除けば、売上高は同0.9%減、営業利益は同11.2%増益となる。



学研教室事業については、前期に引き続き英語コースやプログラミングコースなどの受講促進を図ることで安定成長を目指す。一方、進学塾事業については不採算校舎の整理を進めることで減収となるが、創造学園など好調な進学塾の運営ノウハウをグループで共有すること、並びにコスト削減に取り組むこと等で、収益性の改善を図っていく。



(2) 教育コンテンツ事業

教育コンテンツ事業の売上高は前期比10.4%減の26,500百万円、営業利益は同495.2%増の750百万円となる見通し。文理の移管によるマイナス影響(売上高4,500百万円、営業利益200百万円)と、医学看護出版事業が加わることによるプラス影響(売上高3,000百万円、営業利益350百万円)が含まれている。



出版事業の売上高は不採算分野の見直しを継続することで減収となるものの、前期に計上した学習参考書の在庫評価減3億円がなくなることもあって増益に転じる見込みだ。出版事業以外では、「TGG」の損失額が稼働率向上と運営プロセスの最適化に取り組むことで縮小する見込みとなっている。なお、2020年2月1日付でアニメ関連事業※をイード<6038>に売却することを発表している。



※学研プラスが1981年に創刊したアニメ専門月刊誌「アニメディア」、月刊声優専門誌「声優アニメディア」及び月刊「メガミマガジン」の発行、不定期のムック発行及びWebメディアの「超!アニメディア」の運営。事業売却後も出版物の販売については引き続き学研プラスで行う。





(3) 教育ソリューション事業

教育ソリューション事業の売上高は前期比4.8%増の20,000百万円、営業利益は同93.9%増の700百万円となる見通し。少子化の影響で幼児教育事業は伸び悩むものの、学校教育事業で小学校向けに保健、道徳の2教科の教科書販売が開始され、増収増益要因となる(前期は中学校向け道徳1科目のみ)。



(4) 医療福祉サービス事業

医療福祉サービス事業の売上高は前期比1.5%増の59,000百万円、営業利益は同21.2%減の2,350百万円となる見通し。医学看護出版事業を除いた前期実績との比較で見れば、売上高は同6.4%増、営業利益は同6.3%減となる。売上高は高齢者福祉事業の拠点数拡大により増収基調が続くものの、利益面では新規開設に伴う投資費用や人件費増により減益で計画している。ただ、人件費については保守的に見積もっており、運営が順調であれば上振れする可能性が高いと弊社では見ている。



拠点の新規開設については、サ高住で17拠点(前期は11拠点)、グループホームで7拠点(前期はなし)を計画しており、サ高住は総戸数で前期末比15.7%増の7,470戸に拡大し、入居数も同17.4%増の6,969戸を目指す(入居率は前期末の91.9%から93.3%に上昇)。一方、グループホームの入居率は前期末の97.4%から97.0%と若干低下するが、これは新拠点の開設時期が下期に偏重することが要因となっている。



子育て支援事業についても、保育園で新たに2拠点を開設するほか、学童保育の運営受託も前期末比で8件増を見込んでおり増収が続く見通しだ。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)