■今後の見通し



1. 2021年2月期業績の見通し

システムインテグレータ<3826>は2021年2月期の業績見通しについて、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を鑑みてレンジ形式で発表している。売上高は前期比4.3〜9.8%増の4,750〜5,000百万円、営業利益は同2.8〜13.3%増の680〜750百万円、経常利益は同2.8〜13.3%増の683〜753百万円、当期純利益は同4.0〜14.5%増の477〜525百万円を見込んでいる。



新型コロナウイルス感染症拡大の直接の影響については小さく、足元の需要は堅調に推移しているが、リーマンショックを超える景気の減退を想定し、従来の「攻め」の経営から「守り」の経営にスタンスを切り替え、人材採用や開発費等を抑制した計画となっている。人員については前期に29名増員したが、今期は15〜20名程度の増員に抑える方針だ。研究開発費も同様に前期の47百万円から抑制する。また、2021年春を目途にベトナムに開発拠点を開設する予定であったが、こちらも2022年以降に先送りする。人件費については増加するものの、市場環境がさらに悪化した場合でもその他の経費を抑制していくことで増収増益を目指す方針だ。なお、レンジの上限については中期経営計画「Break2018」で掲げた業績目標値(売上高5,200百万円、経常利益753百万円)とほぼ同水準となる。





ERP・AI事業とE-Commerce事業の拡大が続く見通し



2. 事業セグメント別見通し

(1) Object Browser事業

Object Browser事業は売上高で前期比5.6%増の810百万円、営業利益で同1.2%減の322百万円を見込んでいる(会社計画のレンジ上限値、以下同様)。売上高は「OBPM」や「SI Object Browser」シリーズ、「OBDZ」の拡販を進めていくことで増収を図る。このうち、「OBPM」については販売戦略のクラウドシフトを鮮明にしていく。2021年2月期より、200ライセンス以下の販売についてはクラウドのみとするほか、200ライセンス超のユーザーについてもクラウドサービスでの契約を推進する。また、ライト版については、一部競合する商品もあることから価格戦略の見直しを検討している。オンプレミスからクラウドサービスへの過渡期となるため、利益面では一時的にマイナス要因となる。



「OBDZ」については、ユーザーからのフィードバックにより、随時、機能の改善に取り組んでおり、製品力をさらに強化していくことで導入社数の拡大を図っていく。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響についてはまだ出ていないものの、今後、顧客企業で投資削減の動きが出てくれば、販売面で影響を受ける可能性がある。



(2) E-Commerce事業

E-Commerce事業は売上高で前期比8.6%増の900百万円、営業利益で同2.9%増の211百万円を見込む。EC市場については拡大基調が続いており、同社の受注活動においても新型コロナウイルス感染症拡大の影響は出ていないもようだ。営業利益率が低下する計画となっているのは、前期に採算の良い案件が多く出た反動による。引き続き大規模化するECサイトのリニューアル案件を中心に受注を獲得し、増収増益を目指していく方針だ。



(3) ERP・AI事業

ERP・AI事業は売上高で前期比10.7%増の3,225百万円、営業利益で同31.7%増の241百万円を見込む。ERPについては受注から納期まで1年半程度の期間を要するため、2021年2月期の売上げについては豊富な受注残を背景に好調が続く見通しとなっている。一方、受注面では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で顧客企業が投資を先送りするケースが出てくることが懸念され、事態がより深刻になれば2022年2月期以降の業績にマイナスの影響が出る可能性がある。2008年のリーマンショックの際には、1年後に売上高が2〜3割落ち込んでおり、今回も2022年2月期に一時的に収益が落ち込むリスクがある点には留意する必要がある。ただ、既述のとおり企業のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みは今後も続くことから、中期的に見ればERPの需要は年率10%程度の成長が期待できることに変わりない。



「AISI∀-AD」については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で商談などが一旦止まっているものの、外観検査工程を自動化することで、人手不足が解消されるほかヒューマンエラーによる不良品の発生リスクもなくなるため、潜在的な需要は大きいと見られる。新型コロナウイルス感染症拡大によって、製造業の国内回帰の動きが拡がってくる可能性もあり、今後の動向が注目される。



(4) その他

「TOPSIC」の売上高は前期比54.8%増の65百万円となり、営業損失はその他開発費の抑制もあって24百万円に縮小する見通しだ。「TOPSIC」については開発費をかけてサービスメニューの拡充に取り組む計画となっており、2022年ごろには導入社数も一段と拡大し、業績面でも本格的に貢献してくるものと予想される。また、2020年10月に第3回の「PG BATTLE」開催も決まっている。オンラインでの大会となるため、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も受けないものと思われ、前年以上の盛り上がりが期待される。



IT業界を中心にエンジニアの人手不足は現在も続いており、採用費が増大するなかで簡単・迅速にプログラミングスキルを判別できる「TOPSIC」の潜在需要は大きいと見られる。今後増加が見込まれる外国人エンジニアの採用や外注先企業等のスキルを判別する際にも「TOPSIC」を活用できる点も大きく、将来的に第4の収益柱として成長することが期待される。なお、学校など教育機関向けも大きな市場で、販売ネットワークを持つ商社とパートナーを組んで取り組んでいるが、学校側のITリテラシーが十分でないこともあり、普及するのは時期尚早と同社では考えている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)