■サーバーワークス<4434>の今後の見通し



2. 成長戦略

企業のクラウドサービス利用率はまだ5割に達しておらず、特に、大企業においては部分的にクラウドを導入しているものの、全面移行している企業はまだ少ない。ただ、働き方改革や人手不足などを背景に、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みが活発化するなかで、企業の情報システムもオンプレミスからクラウドへのシフトが続くものと予想される。また、公共分野においても政府が2020年10月より運用を開始する予定の「政府共通プラットフォーム」にAWSの採用を決定するなどクラウド化が進行しており、公共分野のクラウド化も含めてパブリッククラウドサービスの市場は今後も年率20%以上の高成長が続くものと予想される。



2021年2月期は新型コロナウイルスの影響で伸び率が一旦鈍化する可能性はあるものの、2ケタ成長ペースは変わらないものと見られ、同社においても引き続き市場平均を上回る成長を目指していく方針だ。また、長期的には営業利益率も10%程度の水準まで引き上げていくことを目指している。リセールの売上総利益率が10%台前半の水準と推定されることから、営業利益率で10%を目指すためには、売上拡大に加えて自社開発サービスの拡充を進めていく必要があると見られる。



自社開発サービス「Cloud Automator」は現在、ジョブ自動化、構成レビュー、インベントリ、マルチアカウントなどの機能を提供している。今後も顧客ニーズの高い機能の拡充を進め運用コストの削減に貢献することで、他のAWSパートナーとの差別化を図り、契約件数の増加によって収益性向上を図っていく方針だ。また、SRE部門を組織化したことで、エンタープライズ系ITシステムなどをターゲットに大規模マイグレーション(移行)プロジェクトの獲得も積極的に推進していく。



そのほか、「働き方改革×セキュリティ」「テレワーク」をキーワードとしたソリューションとして、AWSが提供する仮想デスクトップサービス「WorkSpaces」の提案に注力し、どこでも仕事ができる環境(テレワーク)と高いセキュリティを低コストで実現したいというニーズに応えていく。仮想デスクトップとは、WindowsやLinux等の OS やアプリケーションソフトをサーバー上に集約して管理し、サーバーにアクセスする端末は比較的処理負荷の低い仮想デスクトップ用のクライアントアプリケーションのみを実装する構成となる。実際に稼働する OS やアプリケーション、データはサーバー側で実行・保存され、その実行画面データのみを端末側に配信し利用するサービスとなる。データはクライアント端末で保存しない運用となるため、端末を社外に持ち出す際の情報漏えいリスクを低減させ、在宅勤務やリモートワークをセキュアに行うことが可能となる。



同社は「WorkSpaces」の国内認定を初めて取得し、2013年より販売を行ってきた。まだ導入件数は少ないものの、テレワークに対する関心の高まりを受け、問い合わせも増加している。今後、認知度向上に向けた取り組みも強化していく方針で、リセール売上げの拡大に寄与するものと期待される。なお、「WorSpaces」の利便性を向上させるソリューションとして、2020年4月に「Cloud Automator」で「WorkSpaces」を起動するアクションの機能を追加した。「WorkSpaces」は仕様上、ユーザーの起動操作から操作可能な状態になるまで時間がかかるため、スムーズに利用したい場合は、事前に手動で業務時間の設定が必要となっていた。これを「Cloud Automator」で自動化する。



なお、同社は2018年7月にNTTコミュニケーションズ及びNTTデータと資本業務提携を締結している(出資比率は2社ともに4.3%)。NTTコミュニケーションズについては、クラウドサービス事業者として自らサービスを提供しているほか、オンプレミスとクラウドのハイブリッドクラウド環境や、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなど複数のクラウドサービスをシームレスに利用できるマルチクラウド環境を提供している。AWSの導入において高い技術力とノウハウを持つ同社と組むことで、ハイブリッド・マルチクラウド環境のソリューション力を一段と強化することが業務提携の狙いとなっている。NTTコミュニケーションズが抱える顧客企業の中でAWSの導入を希望する企業に対して、同社がその導入を支援している。2018年12月より協業がスタートし、リセール売上高の拡大に貢献している。



一方、NTTデータとは2017年11月より協業をスタートしているが、さらに関係強化を図ることを目的に資本業務提携を行った。NTTデータもAWSのプレミアコンサルティングパートナーの1社で、エンタープライズ系の構築・運用管理等で実績を持つが、今回の資本業務提携により、新たにサービス・アプリケーション・プログラム等の共同開発を進めていく。また、公共分野や超大企業におけるAWSの大規模クラウド導入案件も共同で進めていくことにしている。まだ具体的な実績はないものの、受注すれば規模も大きくなるため今後の動向が注目される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)