■要約



日本調剤<3341>は調剤薬局の大手で、同事業の売上高では業界第2位を誇る。自社グループで後発医薬品の製造販売も行っており、メーカー機能を有しているところが特徴となっている。さらに、医療従事者を対象にした人材派遣・紹介事業も展開し、これら主要3事業をバランスよく伸ばしながら収益拡大を目指している。



1. 2020年3月期は調剤薬局事業がけん引して増収増益で着地

2020年3月期の業績は、売上高で前期比9.3%増の268,520百万円、営業利益で同12.8%増の7,593百万円と増収増益で着地した。医薬品製造販売事業が薬価改定の影響で減益となったものの、調剤薬局事業と医療従事者派遣・紹介事業が好調に推移した。調剤薬局事業は店舗数の拡大と処方箋単価の上昇により売上高で前期比10.7%増、営業利益で同12.4%増となった。新規出店数は65店舗(うち、M&Aで30店舗)と過去最大規模となり(期末店舗数は650店舗)、既存店舗の売上高も処方箋単価の上昇により前期比7.7%増となった。また、医療従事者派遣・紹介事業については売上高で前期比2.8%減収となったものの、薬剤師及び医師の紹介案件が大きく伸長したことにより、営業利益は同25.2%増となった。



2. 2021年3月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し増収減益で計画

2021年3月期の業績は、売上高で前期比8.7%増の291,813百万円、営業利益で同14.3%減の6,504百万円と増収減益を見込んでいる。新型コロナウイルス感染拡大の影響が調剤薬局事業、医療従事者派遣・紹介事業で出ており、4月の状況が6月まで続くことを前提とした業績予想となっている。特に調剤薬局事業では、受診控え等により直近の状況において処方箋枚数が前年同月比で2ケタ減と大きく落ち込んでいることが響く。同社では同要因により第1四半期は売上高で40億円弱、営業利益で20億円強のマイナス影響が出ると想定している。医療従事者派遣・紹介事業についても需要が短期的に冷え込んでおり、下期以降の回復を見込む。このため、これら2事業については通期で前期比1割前後の減益で計画している。一方、医薬品製造販売事業については新型コロナウイルス感染拡大の影響は少なく、2020年6月に売上インパクトの大きい新製品の販売が開始されることもあり、増収増益の見通しとなっている。



3. 3つの事業をバランスよく拡大していく成長戦略は順調に進展

同社は2018年4月に『2030年に向けた長期ビジョン』を発表し、2030年に売上高として1兆円、営業利益の内訳として調剤薬局事業で50%、残りの事業で50%とバランスの取れた収益構造に変革していくことを事業拡大のイメージとして掲げた。成長戦略として、調剤薬局業界では、「自力出店」と「M&A」、「門前薬局」と「ハイブリッド型薬局」といったようにバランスを重視した出店を進めていく方針となっている。また、人材育成による対人業務の取り組み強化や、ICT活用による患者の利便性向上及び業務効率の改善を進めることで収益力を強化し、成長を目指していく考えだ。一方、医薬品製造販売事業では自社承認品目の増強と生産性の高い新工場での増産により売上拡大と収益性向上を図り、医療従事者派遣・紹介事業では主力の薬剤師事業に加えて医師紹介事業も積極展開していくことで成長を目指す方針だ。2020年3月期まではこれらの成長戦略は順調に進捗している。新型コロナウイルス感染拡大の影響は短期的には業績面でマイナスだが、一方で、調剤薬局事業におけるM&Aの機会が増加する可能性もあり、今後の動向が注目される。



■Key Points

・調剤薬局事業はM&Aを含め過去最大の新規出店を実施、既存店の処方箋単価上昇効果もあって2ケタ増収増益に

・2021年3月期は第1四半期まで新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くことを前提に、増収減益で計画

・『2030年に向けた長期ビジョン』ではバランス重視の経営により飛躍的な業容拡大を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)