■nmsホールディングス<2162>の今後の見通し



2. 2021年3月期のアクションプラン

2022年3月期を最終年度とする中期経営計画を立てていたが、世界経済の様相が一変してしまった。IMF(国際通貨基金)は、4月14日発表の「世界経済見通し」において、2020年の世界経済成長率(実質GDP伸び率)をマイナス3.0%と1月の見通しから6.3ポイントの大幅な下方修正をした。世界金融危機の影響を受けた2009年(マイナス0.1%)を超え、「(1930年代の)大恐慌以来の経済悪化」となる可能性が高いと評した。



日本のモノづくりは、「人材不足」「サプライチェーンの国内外バランス強化」「製造業のファブレス化」に直面し、大転換期を迎えている。同社グループは、「人材ビジネス」×「モノづくり」の強みを最大化させて、アフターコロナに向けた戦略を積極展開する。HS事業は、人材リソースの多様化と新たなスキームの確立、EMS事業は製造業のファブレス化と生産地域の多様化、PS事業は「電動化」「省エネルギー」と高効率ニーズの高まりに対応することで、顧客の課題及びニーズに対応する。各事業会社は自社の商品・役務サービスの提供にとどまらず、グループ内で情報共有と業務連携を強めることで、課題解決のための独自のソリューションを提案する。



米中貿易摩擦は激化の一途をたどっており、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりリスク分散の重要性が再認識された。国内生産への回帰があれば、同社グループのEMS事業及びPS事業の国内生産拠点が対応する。



国内では、2020年4月に「同一労働同一賃金」の適用が大企業から始まったが、大企業はコロナ禍に巻き込まれて取り組みが遅れている。中小企業は、1年遅れの適用となる。同制度の導入は、賃金や福利厚生において正規社員と非正規社員との間の不合理な待遇差を解消することを目的としている。一般的に、非正規社員の賃金が正規社員よりも3割程度低い。新制度の導入は、派遣先及び派遣元企業にとってコストアップ要因となる。同社のHS事業は、グループ内製造受託インフラとノウハウを顧客ニーズに合わせて提案・提供していく。



ウィズコロナの状況下では「3密」回避が求められ、モノづくりの現場でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が進行する。同社グループは、米国及びメキシコを拠点とする子会社が販売や物流とのやり取りをネット化している。東京のオフィスは、2020年の東京五輪開催期間に向けてテレワークの準備をしていた。緊急事態宣言の発出により実施が前倒しになったが、ペーパーレス化を実現し、社員の6〜7割が在宅勤務でも業務が回ることを確認した。外資系企業と電子サインによる契約を行っており、「脱ハンコ」も問題はない。HS事業は、国内では400事業所、海外でも200事業所で活動しているため、コロナ対策のモノづくり関して多種多様な知見を収集することができるだろう。製造現場では、省力化、省人化、自動化のニーズが高まる。人手を要する組み立てや検査工程において、派遣サービスから業務請負へ移行すると見ている。同社グループは、HS事業だけでなくEMS事業及びPS事業を含めグループを挙げて省力化及び自動化に取り組んでいる。高解像度カメラを用いて、目視で行っていた検査工程の大幅な工数削減と安定した品質管理を実現する省力化装置の製造・販売に参入した。従来の人材サービス生産ライン請負に加えて、生産ライン診断・検証や省力化装置の設計・製作・導入の複合提案をする。ベトナムや中国で引き合いが増加しており、タイにおいても省力化装置事業を展開する。構内作業の請負では、顧客企業に省力化投資を促すが、生産性改善の果実を顧客と同社でシェアするようにしている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)