■ウェーブロックホールディングス<7940>の業績動向



2. 事業セグメント別の動向

(1) インテリア事業

インテリア事業の売上高は前期比6.4%増の9,693百万円、営業利益は同27.5%増の922百万円となった。同社グループ製品の掲載点数が増加したサンゲツの中級品見本帳FINE(2019年5月発売)及び量産品見本帳SP(2019年6月発売)が期を通して順調に市場に伸長したことを受け、サンゲツ向けの売上高が前期比7%増と伸長したことが増収要因となった。新たに量産品見本帳に掲載された、機能量産品と呼ばれる撥水、抗菌、ストレッチといった付加価値のある製品の販売好調が牽引。業界全体の壁装材出荷数量は前期比1.7%減であったことからすると、引き続き同社は壁装業界において競争力を維持しているものと考えられる。



営業利益の増益要因は、値上げ効果※も含めた増収効果で130百万円、製造効率の改善効果で130百万円となり、物流費用等の増加50百万円を吸収した。また、四半期ベースの業績推移を見てもすべての四半期において増収増益となり、会社計画に対しても売上高、利益ともに超過するなど順調に推移した。



※2018年秋に原材料費上昇分の売価転嫁を実施しており、2020年3月期は通年で値上げ効果が寄与した。





(2) マテリアルソリューション事業

マテリアルソリューション事業の売上高は前期比0.4%減の16,200百万円、営業利益は同21.9%増の1,120百万円となった。営業利益の増減要因を見ると、アグリソリューション分野の減収により41百万円の減益となったが、粗利率の高い商材の増収効果で132百万円の増益、パッケージソリューション分野の利益率改善で91百万円の増益となった。



分野別の動向で見ると、リビングソリューション分野は前シーズンより取引が本格的に開始した大手ホームセンター向けの販売が好調に推移し、第4四半期においても3月の需要期シーズンインに出荷が好調だったことで増収増益に寄与した。



ビルディングソリューション及びインダストリアルソリューション分野は、相対的に粗利率の高い防煙垂壁用の高透明不燃シートの販売がショッピングセンター向けで好調だったほか、サッシメーカー向け防虫網、工場向け間仕切りシートも堅調に推移し、利益率の上昇要因ともなった。



パッケージングソリューションは原材料費上昇分の売価転嫁が進んだほか、2019年3月期の後半より取り組んでいる収益性改善施策(受注の選択と集中、生産体制の再構築)が奏功し、収益率が大幅改善した。



アグリソリューションについては国や地方自治体からの補助金事業案件の減少や、台風等による自然災害、長梅雨や暖冬等の天候不順による需要の減少により販売が苦戦し、減収減益となった。



なお、四半期ベースで見ると第3四半期の営業利益が大きく落ち込んでいるが、これは2020年3月期より従業員の賞与に充てるインセンティブプランを導入しており、これに関する引当金75百万円を計上したことが主因となっている。同プランでは、通期の営業利益予算を相当程度額超過した営業利益を計上する場合に、その一部を従業員の賞与に充てるといった内容となっており、当期はそれに該当したことになる。通期会社計画に対する実績は売上高で0.6%未達となったが、営業利益は11.0%超過した。



(3) アドバンストテクノロジー事業

アドバンストテクノロジー事業の売上高は前期比12.0%増の4,001百万円と増収となったものの、営業利益は同73.6%減の80百万円と大幅減益となり、事業別の営業利益では唯一会社計画を下回った。



主力の金属調加飾フィルムは、国内向け車両パーツ加工やインド・東南アジアの自動二輪向け、利益率の高い北米市場向けの販売が伸長したものの、ここ数年成長を続けていた中国向けが、米中貿易摩擦の長期化や排ガス規制強化の影響により第3四半期まで低迷していたことに加え、第4四半期には新型コロナウイルス感染症の影響で販売先工場の稼働が停止したこともあり、売上高が前期比で落ち込んだ。営業利益についても売上減に伴い48百万円減少した。



また、PMMA/PC2層シートも売上高、営業利益ともに前期比で大きく下回り、営業利益については損失を計上した。これは主用途先である中国スマートフォン筐体向けで販売量が減少したことに加えて、特定顧客向けで品質問題が発生し、それに伴う滞留在庫の評価減を実施したことや、品質改善のための試作費用及びクレーム費用等を計上したことが要因だ。販売量の減少とこの品質問題に関連した費用で178百万円を計上している。同社が出荷している筐体向け2層シートの下流工程におけるハードコーティング後の耐久試験で1〜2割程度の比率で割れが発生したようだが、現在は割れ対策品の開発は完了している。



こうしたなかで増収となったのは、仕入販売商品であるフラットパネルディスプレイ用拡散板が第4四半期に入って韓国向けに急伸したことが挙げられる。韓国ディスプレイメーカーの中国にある取引先工場が新型コロナウイルス感染症の影響で第4四半期にストップしたことで、急遽、同社の韓国子会社を通じて台湾メーカーから拡散板を仕入れることになった。売上寄与は大きかったが、仕入販売品のため利益率も低く営業利益への影響は軽微にとどまった。



四半期ベースの業績推移で、第4四半期に売上高が急伸しているのは拡散板の仕入販売増によるもので、営業利益が損失となっているのはPMMA/PC2層シートの品質問題によるものであることがわかる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)