■業績の動向



2. 部門別・グループ会社別の動向

(1) 個別指導部門

個別指導部門では「城南コベッツ」ブランドの個別指導塾(小中高及び高卒生対象:1講師につき生徒数2名)を、直営とFC方式で展開しているほか、2018年より開始した新業態として「城南予備校DUO」(小中高及び高卒生対象:1講師につき生徒数最大10名)の直営教室を「城南コベッツ」に併設する格好で展開している。「城南予備校DUO」は、プロの講師による学習指導とAI教材を組み合わせた効率的な学習プログラムを提供している。AI教材による教育サービスは競合他社も導入し始めているが、城南進学研究社<4720>はプロ講師によるアクティブラーニング形式の指導やマンツーマン指導などのメニューを組み合わせることで差別化を図っている。



2020年3月期の売上高は前期比3.7%減の2,033百万円となり、内訳は直営が同4.3%減の1,726百万円、FCが同0.1%増の307百万円であった。第3四半期までは直営、FCともに堅調に推移していたが、2020年2月以降、首都圏で新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより受講生が減少し、第4四半期の売上高が前年同四半期比12.6%減と大きく落ち込んだことが響いた。



2020年3月期末の教室数は「城南コベッツ」の直営が前期末比横ばいの54教室、FC教室が同8教室減の201教室となった。FCについては不採算教室の整理が進んでおり、1教室当たりの平均生徒数や生徒当たり売上単価は上昇しており、収益力は改善している。また、新業態の「城南予備校DUO」は同7教室増の14教室に増加した。生徒数は校舎によって30〜100名とばらつきがあるものの、おおむね順調に推移しているようだ。



同社は今後も個別指導については基幹事業として、成長を推進していく方針となっており、「城南コベッツ」の教室移転リニューアルによる利益率向上に取り組んでいくほか、新業態となる「城南予備校DUO」の併設を進めていく戦略となっている。中期的には「城南コベッツ」の直営54教室すべてに「城南予備校DUO」を併設していく方針で、「城南予備校DUO」の生徒に対して弱点科目については「城南コベッツ」で補強する。また、「城南コベッツ」でもAI教材を順次導入していくことで、効率的な基礎学力の向上を図るとともに、講師不足という課題を解消し、新たな個別指導塾のスタイルを確立することで、売上高の最大化を目指す戦略となっている。



(2) 映像事業部門

映像事業部門では、大手予備校・河合塾のフランチャイジー(FCオーナー)として「河合塾マナビス」(高校生対象)の校舎を積極展開しており、2020年3月期の売上高は前期比8.8%増の1,373百万円と増収基調が続いた。映像授業はビデオオンデマンド方式で授業を視聴するため、生徒自身の都合とペースに合わせて勉強を進めることができる点が好評で、市場は依然として拡大基調にある。同社はそこに予備校運営で培った指導ノウハウを組み合わせることで、さらに高い評価を得ており、生徒数の獲得に成功している。具体的には、同社は予備校でチューター経験のある人材が指導しているのに対して、競合FCは小・中学生向けをメインとした学習塾が多く、受験対策や進路指導等のノウハウに関して差が出ているものと思われる。個別指導部門では第4四半期に新型コロナウイルス感染症の影響で売上高が減少したが、映像授業部門では逆に、前年同四半期比18.4%増と好調に推移した。生徒数の増加だけでなく、2020年3月に学校の一斉休校が実施されたことで、生徒当たりの受講科目数や受講時間が増加したことが要因と見られる。



2020年3月期末の校舎数は前期末比1校増の23校となり、FC事業者の中で運営校舎数第2位のポジション※となっている。今後は30校体制の構築を当面の目標として校舎を拡大していく方針だが、仮に新規校舎が開設できない場合でも、既存校舎における定員充足率の向上や生徒当たり売上単価の上昇等により成長基調を維持できるものと考えられる。



※2020年3月末の「河合塾マナビス」の校舎数は335校(うち、FC校舎数274校)。



(3) 予備校部門

予備校部門は基幹事業であった「城南予備校」を中心に、「城南医志塾」「城南AO推薦塾」を展開してきたが、事業構造改革の一環として、2020年3月期末までに「城南予備校」の全校舎を閉校、事業を収束させている。この結果、売上高は前期比45.4%減の952百万円と大幅減収となった。



「城南予備校」については、少子化の進行や大学受験におけるAO入試導入などの影響により、校舎当たりの生徒数減少が続き、今後も多人数による講義形式での事業を継続していくことが困難と判断し、2018年3月期より段階的に事業規模の縮小を進めてきた。校舎数では2018年3月末の9校から、2019年3月末に6校体制となり、2020年3月末で全校舎閉校となった。なお、閉校した予備校については「城南予備校DUO」へと再編成している。2020年3月期までに事業収束のため校舎を閉校してきたことで、業績面でマイナスの影響が出たが、結果的にはこうした経営判断は正しかったものと評価される。事業を継続していれば新型コロナウイルス感染症の影響により、2021年3月期の業績は大きなダメージを受けていた可能性があるためだ。なお、「城南医志塾」(1校)、「城南AO推薦塾」(2校)については継続する。



(4) デジタル教材・幼少教育部門

デジタル教材・幼少教育部門では、乳幼児を対象とした育脳教室「くぼたのうけん」(直営7教室)、英語が学べる学童保育「放課後ホームステイ E-CAMP」(1教室)、算数に特化した個別指導塾「りんご塾」(1校)、「城南ルミナ保育園」(1園)に加えて、2019年11月に吸収合併した(株)ジー・イー・エヌの英語スクール「ズー・フォニックス・アカデミー」(乳幼児、小学生を対象、直営・FC合計で19校)が含まれる。また、デジタル教材については「デキタス(Web学習システム)」「デキタス・コミュ(Web演習システム)」を学校・学習塾向け等に提供している。



2020年3月期の売上高は、期中に「ズー・フォニックス・アカデミー」が加わったこともあり、前期比36.6%増の429百万円となった。既存事業だけで見ても、幼少教育が同5.0%増の261百万円、デジタル教材が同50.1%増の65百万円とそれぞれ順調に成長している。



幼少教育部門では、「くぼたのうけん」の直営教室が前期末比横ばいの7教室となり、売上高も横ばい水準にとどまったが、2018年3月期より本格展開を開始したソリューション事業(「くぼたのうけん」の教育ノウハウを外部の教育機関(幼稚園、保育園等)に提供するサービス)で、新たに8園と契約(全25園)したことが増収要因となった。ソリューション事業については、同社と同様にくぼた式育脳法を「クボタメソッド」として展開してきたリトルランドを2019年1月に連結子会社化しており、メソッドの統合を図り「ワン・くぼた」を実現している。



また、デジタル教材部門については2019年9月に、経済産業省の「未来の教室」(学びの場)創出事業における実証事業に採択され、同年10月より神奈川県横浜市立鴨居中学校で学力支援を必要とする生徒(不登校または一般クラスにて授業を受けられない生徒、著しく学習に遅れが生じている生徒)を対象に、Web学習システム「デキタス」を使った個別最適化学習の取り組みを2020年2月まで実施した。5ヶ月間の短期間ではあったものの、「デキタス」の活用により生徒の学習意欲が向上する※といった導入効果が確認されており、高い評価を受けている。さらに、このことが横浜市教育委員会から注目され、横浜市内の中学校8校で「デキタス」が採用された。



※19名の生徒(うち、15名は不登校または長期欠席傾向のある生徒)のうち、8名が定期的に学ぶようになり学習意欲が向上した。



「デキタス」「デキタス・コミュ」については、子会社の久ケ原スポーツクラブでも導入し、利用者数が増えているほか、(株)ティップネスで運営する児童用スポーツクラブ「ティップネス・キッズ」や海外子女教育振興財団等にも導入されており、着実に利用者数が増加している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)