■今後の展開



マンション開発において「土地を制する者がすべてを制する」(中村利秋(なかむらとしあき)代表取締役社長)と言われるなかで、ファーストコーポレーション<1430>は本格的に土地開発の専任部隊を置き、良質な土地を確保している。そこにデベロッパーと協調しながら良い建物を建てていく──そうした形で事業を進めているが、現実に造注方式の大元となる建設用地の確保が着実に進んでいる。



これまでの業績一服は、コロナ禍による一時的な悪化要因のほか、用地確保が厳しかったことが理由として大きい。ホテルとの競争激化が沈静化しながらも、なお、地権者は強気な状況にあり、この面での環境は引き続き厳しいものとなっている。



ただ、土地取引に関しては、かつてがそうだったように、潮目が変わるとがらりと様相が変化する特徴があり、それを待っている段階だ。用地確保がスムーズになるとともに、造注方式の案件が再び増えるようになれば、収益が再び上向くことが期待できるようになる。その意味でも、良質な土地がいかに手当てできるかが、当面の課題となるのは語るまでもない。



また、今後の成長を考える上で注目できるのが、健常シニア用のマンション、いわゆるアクティブシニア向けのマンションだ。高齢者向けのマンションというと、多くの業者が介護付きのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)で展開し、アクティブシニア向けを手掛ける業者は少ないが、同社はこの分野で先行している。



シニア向けは、そもそも通勤仕様ではないため、駅前立地でなくて良い。さらに、温泉やジムなど付帯設備の建設で単価がアップできるなど、利益面でも期待できる案件だ。大型の案件である東京都八王子市のプロジェクトも、アクティブシニア向けマンションとして共同事業で行う。



大型案件の中には、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。これまでもいくつか実績があるものの、今後もデベロッパーと組む案件が多くなっていくものとみられる。これらは収益の下支え効果をもたらしそうだ。



顧客となる取引先も増加した。2019年5月期は28社だったのが、2020年5月期には31社に拡大。取引先には、(株)アーネストワン、東京建物(株)、日本土地建物(株)、日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急阪神不動産(株)、東急不動産(株)(東急不動産ホールディングス<3289>)といった大手の著名デベロッパーが多く名を連ねている。今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。





再開発事業が開花すれば収益は再び上昇基調に

さらに、同社は、再開発事業に注力している。この分野では、現在、JR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に事業施行者として参画している。また、工事の入札にも参加し落札した。ここでは、地上27階建の施設を建設するなど、同社にとって大きな案件。今期の9月の着工予定となっている。このプロジェクトで高層建築の実績を構築でき、今後のタワーマンションへの展開に強力な武器となるだろう。新たな収益源として貢献することが期待できそうだ。



前橋駅のプロジェクトについては、2023年10月の工事完了を見込んでおり、これから業績に貢献することになる。また、再開発に関しては、横浜エリアにも再開発予定用地の一部を取得。そのほかにも地方都市の再開発事業に参画するための布石を打っており、将来的にこれらの再開発ビジネスが開花すれば、同社の収益は上昇基調を確実なものにすると思われる。その意味で、前橋のプロジェクトに対する期待は大きい。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)