■今後の見通し



1. 2020年12月期の業績見通し

GMOペパボ<3633>の2020年12月期の連結業績は、売上高で前期比7.3%増の9,600百万円、営業利益で同5.8%増の829百万円、経常利益で同0.2%増の837百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同横ばい542百万円と期初計画を据え置いている。ただ、第2四半期までの進捗率は売上高で55.8%、営業利益で75.2%と高進捗となっていること、7月以降も「minne」「SUZURI」などのEC関連サービスは好調を持続していることなどから会社計画を上回る可能性は高いと弊社では見ている。



ただ、2020年12月期第2四半期のEC関連サービスの急拡大は、緊急事態宣言下での特需的な要素もあったと会社側では考えており、2021年12月期以降の高成長持続を確かなものとするため、第3四半期以降にプロモーションを強化する予定にしている。今後、市場環境に大きな変化が無ければ通期の営業利益は13〜14億円程度まで伸びる可能性があるが、各種プロモーション施策等の投資を実行することで、11億円前後になるものと弊社では予想している。なお、同社はリモートワーク体制を継続中だが、業務への支障は出ていない。採用についても居住地を問わず、多様な人材の採用を開始しており、採用力の強化につながる取り組みとして注目される。





EC関連サービスは2021年以降の成長を見据えたプロモーション施策を実施

2. 主要事業の見通し

(1) ホスティング事業

ホスティング事業は、売上高で前期比1.2%増の4,539百万円、営業利益で同2.9%増の1,405百万円となる見通し。第2四半期までの進捗率は売上高で50.8%、営業利益で50.6%と順調な進捗となっている。下期についてはレンタルサーバーサービスの「ロリポップ!」で顧客獲得増加のための全プランリニューアルを2020年8月に実施している。具体的には、サーバーのストレージについてHDDからSSDに完全シフト※1し高速化を実現したほか、ストレージ容量や独自ドメイン数などのスペックを大幅に向上させた。リニューアルに合わせて初期費用の無料キャンペーン(2020年12月末まで)を実施中のほか、注力中のハイスピードプランについては月額料金の大幅な引き下げ※2も実施した。このため、下期は顧客単価が低下する可能性もあるが、契約件数の増加によって上期並みの収益は維持できるものと予想される。



※1 エコノミー、ライト、スタンダードプランは従来、HDDを使用していたが、今回SSD化したことでデータの読み込み、表示速度が大幅に改善する。

※2 初期費用は従来3千円から無料に、月額利用料は契約期間によって従来比17~50%の引き下げを実施。





一方、「ムームードメイン」はドメイン契約の更新率の状況次第だが、レンタルサーバーの新規顧客が増加すれば契約件数も増える可能性がある。また、利益面では為替が上期の108円/米ドルに対して直近は105円/米ドル程度で推移していることから増益要因となる。



(2) EC支援事業

EC支援事業は、売上高で前期比13.6%増の2,863百万円、営業利益で同24.1%増の1,088百万円の期初計画に対して、第2四半期までの進捗率は売上高で64.0%、営業利益で56.0%と計画を上回るペースで推移している。



主力の「カラーミーショップ」については、契約件数の増加に向けて認知度拡大を目的としたプロモーションを実施する予定にしているほか、アプリストアの拡充による利便性の向上に取り組んでいく。アプリストアについては2020年8月時点で29種類(無料アプリ含む)を揃えており、なかでも越境EC対応の「WorldShoppingBIZ for カラーミーショップ」や「Instagramショッピング連携」の利用率が高くなっている。2020年9月には卸売対応アプリの提供を開始し、BtoBのネットショップ事業者向けのサービス強化も図っていく。同社の基本戦略としては、事業拡大に意欲的なショップ(顧客)を獲得・育成していくことで流通金額を拡大し、顧客単価の上昇によって収益を拡大していく方針に変わりはない。



一方、「SUZURI」については期初計画で通期の流通金額を前期比1.5倍の12億円としていたが、前述の通り第2四半期までで10.1億円に達しており、また、8月のTシャツセールも好調な販売となっていることから、計画を大幅に上回ることが予想される。同社は第3四半期以降もSNSによるプロモーションを強化し、認知度を高めていくことで一段の流通金額の拡大を目指しており、人員体制についても現在の30〜40名体制からさらに増員(開発・営業人員)していく計画となっている。



(3) ハンドメイド事業

ハンドメイド事業は、売上高で前期比3.6%増の1,660百万円、営業利益で同54.7%増の146百万円の期初計画に対して、第2四半期までの進捗率は売上高で61.2%、営業利益に関しては154.8%と既に超過している。7月も流通額は前年同月比で2ケタ増と好調を持続している。同社では年末のギフト需要に向けたプロモーションを計画しているほか、継続的な新規獲得のためのプロモーションなども検討しており、プロモーションコストは前期の271百万円から増加する見込みとなっている。



なお、ハンドメイド事業では収益基盤を強化するため、オフラインイベントの開催等による集客支援サービス、法人の取り込み、オウンドメディアによる広告収入の獲得など「収益の複層化」に取り組んでいるが、このうちオフラインイベントの開催については新型コロナウイルスの影響でストップしている。そのほかの2つの施策についても徐々に実績が上がり始めているが、まだ全体の収益に与えるインパクトは軽微であり、今後もより一層強化していく方針となっている。



(4) 金融支援・その他事業

金融支援・その他事業の売上高は前期比61.2%増の536百万円、営業損失は136百万円(前期は135百万円の損失)を計画している。ただ、第2四半期までの進捗率は売上高で37.1%と唯一、50%を下回っている。前述した通り、「FREENANCE」の利用者数が新型コロナウイルスの影響で減少し、売上高の増加ペースが計画を下回っていることが主因だ。フリーランスの事業環境は景気動向の影響を受けやすいため、同社では市場環境が好転するまでプロモーションについても抑制する意向を示している。なお、7月の利用者数については前月比で若干回復しているが、市場環境を考えると、本格的な回復は2021年以降になるものと予想される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)