■要約



1. 会社概要

Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業、非金融事業などを有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)前社長のもと、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に2019年12月期の資産合計は7,000億円超の規模に拡大している。2019年3月期には東南アジア金融事業及び投資事業において大幅な営業損失を計上して不良債権の抜本的処理を断行し、業績回復への道筋を付けた。今後は、2020年3月に就任した江口譲二(えぐちじょうじ)新社長のもと、アジアでの金融3事業を中心に着実な成長を図る方針である。



2. 2020年12月期第2四半期の業績概要

同社では、海外子会社の増加に伴い、前連結会計年度(2019年12月期)より決算期を3月から12月に変更したことで、2019年12月期は9ヶ月決算となった。2020年12月期第2四半期の営業収益は36,809百万円(前年同期(2019年4月〜9月)比502百万円増)、営業利益は689百万円(同344百万円減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益442百万円(同698百万円増)と、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴い経済活動が停滞するなか、堅調な業績を維持し、親会社の所有者に帰属する四半期利益は黒字転換した。セグメント別営業利益では、日本金融事業は2,230百万円(前年同期比40百万円減)で、保証・債権回収ともに堅調であった。また、韓国及びモンゴル金融事業も3,710百万円(同548百万円減)と、資産内容の改善を反映して安定した利益を確保した。一方、再建に向けて改革を継続している東南アジア金融事業では、2,894百万円の営業損失(前年同期は934百万円の損失)となり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた。



3. 2020年12月期の業績見通し

同社では2020年12月期業績について期初予想を修正し、営業収益78,511百万円、営業利益1,731百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失1,531百万円を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症拡大の影響や不動産事業の売却に伴い営業収益は期初予想から大きく減少するものの、営業利益は期初予想をやや上回る見通しだ。同感染症の影響については、東南アジア、特にインドネシアでは大規模な社会活動制限に伴い営業活動が停滞しているものの、韓国や日本では大きな業績リスクは顕在化していない。以上から、日本金融事業は2,930百万円、韓国及びモンゴル金融事業では5,835百万円と、引き続き安定的な利益を見込む。他方、東南アジア金融事業では、2019年8月より傘下に収めたカンボジアの優良銀行JTrust Royal Bank Plc.(以下、JTRB)の利益が1年間フルに貢献するものの、損失幅は3,423百万円との見通しを据え置いている。同社では、今後も各事業のモニタリングを行い、必要に応じて業績予想の見直しを行う考えだ。なお、配当については前期並みの年間1円を予定している。



4. 中長期の成長戦略

同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保する一方で、中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指している。そのために、日本金融事業では保証商品の拡充、債権買取の強化でトップライン積み上げを推進し、韓国及びモンゴル金融事業では引き続き現在のビジネスモデルを維持することで、連結業績を支える考えだ。一方、懸案の東南アジア金融事業では、足元では新型コロナウイルス感染症拡大に伴い経済環境が悪化しているため、当面はその影響を注視する意向だ。江口新社長は安定志向で着実な利益拡大に取り組む方針であり、選択と集中によりグループ全体の事業ポートフォリオの最適化を検討する考えだ。弊社では、同社グループは、長期的には東南アジア金融事業の改善を中心に、着実な業績回復を続けると見ている。



■Key Points

・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ

・2020年12月期第2四半期は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大のなか業績は堅調で、親会社の所有者に帰属する四半期利益は黒字転換

・2020年12月期は、当社連結子会社である株式会社KeyHolderによる株式会社ノース・リバーの連結子会社化に伴い同社業績を取り込む一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や不動産事業の売却を考慮し、期初の業績予想を修正。日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業を中心に利益を積み上げる方針

・新社長のもと、事業ポートフォリオの最適化を検討し、長期的には東南アジア金融事業の改善により、着実な業績回復を目指す



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)