■ウェルス・マネジメント<3772>の事業概要



1. グループ概要

同社グループでは、“快適な時間と空間づくりを通して、日本の魅力と文化を、「体験価値」として提供し、あらゆるお客様に感動と安定的な繁栄をお届けすることで、豊かな社会の発展に貢献する”ことを企業理念としている。長期的には訪日観光客がさらに増えると見込まれており、日本の魅力と文化をホテルという形に変えて、外国客の体験価値を高める、という思いを込めている。また、1)約束を守る集団、2)人も資産も「もてなす」会社、3)「体験価値」の創造とマネジメント、4)「やりがい」と「成長」という企業文化、の4つをCREDO(クレド:「信条」「志」「約束」を意味し、企業活動のよりどころとなる価値観や行動範囲を簡潔に表現した文言)として掲げている。これは、同社グループのビジネスにおいて、また企業人として大切にしていきたい“思い”を明文化したものである。



同社グループは、2020年3月期末では、同社と連結子会社7社及び関連会社3社で構成されるが、主要企業は3社である。投資事業を中心に担う親会社である同社、その100%子会社で不動産金融事業を担うリシェス・マネジメント(株)、同じく100%子会社でホテル運営事業を担うホテルWマネジメント(株)である。「不動産会社」「ホテル運営会社」「アセットマネジメント会社」の3つの機能を持つ企業グループとして、互いに補完しながら総合的に発展することで、顧客の期待に応えることを目指している。



同社グループでは、セグメントを不動産金融事業とホテル運営事業に分けて開示している。なお、同社では、不動産金融事業の売上高・利益については、2019年3月期は特別利益を、2020年3月期は持分法による投資利益を加算修正して、同事業の実質的な収益を捉えている。2020年3月期の売上高では、不動産金融事業が10,532百万円(前期比118.3%増)で全体の68.7%を、ホテル運営事業が4,807百万円(同148.8%増)で31.3%を占めている。一方、セグメント利益では不動産金融事業が4,701百万円(同11.1%増)に対して、ホテル運営事業は268百万円の損失(前期は79百万円の損失)を計上しており、ホテル運営事業の収益力強化がグループの課題と言える。



2. 沿革

同社グループは、1999年12月に、個人投資家向け金融市場関連情報の提供を目的とする金融メディア事業のドリームバイザー・ドット・コム株式会社として創業した。その後、経営再建に向けたリストラクチャリングを行い、2014年10月より現在の社名ウェルス・マネジメント株式会社に変更した。2015年3月に金融アドバイザリー事業から撤退、さらに2015年9月には新聞・出版・広告・IR事業から撤退し、リシェス・マネジメントによる不動産金融事業へと転換を図った。そして、2015年9月にはホテルWマネジメントの設立によりホテル運営事業を開始し、自己投資・共同投資を行う同社の傘下に、不動産金融事業とホテル運営事業の2つの主要子会社を持つ、現在のグループ体制が確立した。



同社は、2005年6月にはマザーズ上場を果たし、2016年8月には東証2部に市場変更した。2016年3月に第1次中期経営計画を発表し、2019年3月には現中期経営計画(2020年3月期−2022年3月期)発表して、1部上場基準を満たす基盤づくりを進めている。中期経営計画では、“資産循環型ビジネスモデル”の確立と、新規運営受託獲得活動の本格展開と既存ホテル運営事業の収益力強化を目指し、売上高や経常利益を4倍超に拡大する意欲的な数値目標を掲げている。



グループ設立時より、千野和俊(せんのかずとし)氏が代表取締役社長執行役員を務める。千野社長は約25年間、三菱地所<8802>グループに在籍し様々なプロジェクトに参画した後、三菱地所投資顧問(株)やリーマン・ブラザーズ・ホールディングスのグローバルファンドなどで、アセットマネージャーとしてファンドの運用や企業再生などを手掛けた豊富なキャリアを持ち、同社グループの更なる発展を指揮している。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)