■サイバーコム<3852>の今後の見通し



(3) 働き方改革

働き方改革として、ワークライフバランスの最適化では標準労働時間の1日当たり15分間短縮、残業時間の削減、有給休暇の取得推進、プレミアムフライデー+Oneの推進、定時退社の推進(Active WednesdayやEnjoy Friday等)などに取り組んでいる。また、多様な働き方を支える制度(在宅勤務の拡充、テレワークの推進、短縮勤務、育児・介護休業)の充実、サイバーコムキャリアアドバイザー制度(入社3年目までの社員をサポート)、オフィス環境の改善、モチベーションアップ施策(サイバーコムアワード表彰等)などにも取り組んでいる。



特に、ポストコロナにおいてもテレワーク体制が常態化すると予想されるなかで、オフィス改革や在宅勤務制度、人事評価制度の見直しについて、新たに取り組んでいく予定にしている。



(4) セキュリティ強化

開発現場の高セキュリティ化に向けて、クリーンルーム※の増設やセキュリティログ監視の強化、システムによる記憶媒体の利用制限などを行っている。また、外部からの脅威をブロックするサイバーセキュリティ対策の強化も実施している。



※クリーンルームとは機密性の高い開発プロジェクトを行うための専用ルームで、入室可能な人が制限されているほか、通信インフラネットワークも独立して整備されている部屋を指す。





(5) 戦略分野

今後の戦略分野としては以下のテーマに取り組んでいく方針となっている。



a) ソフトウェア開発事業

通信ソフトウェア開発では、次世代移動通信5G/ローカル5Gの技術者増強、交換機の仮想化対応、超小型モバイルIP制御対応、IoT技術領域の拡大などを挙げている。また、NTTとNECが2020年6月に資本業務提携を締結し、両社で5G以降の次世代通信網の共同開発を行うことを発表していることも、同社にとってはプラスとなる可能性がある。同スキームではNTTがNECに約644億円を出資し、NECは調達した資金をネットワーク関連の研究開発費に充当していくことにしており、付加価値の高い製品を開発することで世界シェアの上位を目指す考えだ。基地局に関してはファーウェイ、エリクソン、ノキアの3社で世界の7割強のシェアを占める寡占市場となっているが、ファーウェイについては米国を中心に先進国で調達を取りやめる動きとなっており、NECが6G基地局で世界シェアを獲得する好機ともなる。ここ数年は通信インフラの開発投資は低迷していたが、こうした動きを契機として、今後再び受注規模が拡大していく可能性があり、その動向が注目される。



一方、制御ソフトウェア開発ではニーズが拡大しているAI・RPA技術者の増強や、ロボット技術を応用した最先端分野への挑戦、車載システムにおける先進技術者の増強(CASE、MaaS)などに注力し、業務ソフトウェア開発では金融、公共システムの対応領域拡大やコードレス開発・自動化ツールによる効率化の実現、ECサイト保守運用の高付加価値化などに取り組んでいく方針だ。



b) サービス事業

SIサービスのうちサーバ/ネットワーク構築分野では、クラウドやIoT、仮想化といった多様化する情報プラットフォームへの対応力強化、構築系技術者の増強、サイバーセキュリティ技術、ネットワーク仮想化技術の高度化に取り組み、運用・保守分野では運用設計技術者の増強、RPA活用による効率化の推進を、評価検証サービス分野ではプロトコルを含む次世代通信規格への対応(5G、Wi-Fi6)やテスト自動化支援ツールによる効率化などに取り組んでいく。



また、自社プロダクトの開発面では、市場ニーズを捉えた魅力的な商品の開発や柔軟なカスタマイズ、多様な機能拡張、利便性向上など顧客視点に立った開発を進めていく。一方、販売戦略では展示会の出展やWeb広告、SEO対策などのプロモーション施策による認知度向上、アライアンスの推進、グループ会社連携などを通じて売上規模の拡大を目指していく。



今回の中期経営計画では具体的な経営数値目標は打ち出していないものの、人財投資など戦略的な投資も進めていくことを踏まえて、売上高は1ケタ台後半の成長、営業利益率は5〜6%台の水準を維持して増収増益を継続し、ROEで10%以上の水準を目標としている。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響によって国内景気や企業収益が悪化するなど、市場環境が大きく変化していることで、環境変化に対応して人財投資や事業戦略なども見直していくものと予想される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)