■事業内容



富士ソフト<9749>の報告セグメントは、SI事業、ファシリティ事業、その他の3つから成る。主力のSI事業はシステム構築とプロダクト・サービスに大別され、さらにシステム構築は組込系/制御系ソフトウェアと業務系ソフトウェア、プロダクト・サービスは狭義のプロダクト・サービスとアウトソーシングに細分化される。また、ファシリティ事業はオフィスビルの賃貸、その他はBPOサービス事業やコンタクトセンター事業、再生医療事業等を行っている。



1. 屋台骨である組込系/制御系ソフトウェア

SI事業のシステム構築区分に属する組込系/制御系ソフトウェアは、全社売上高の28.0%(2019年12月期)、同営業利益の33.5%(同)を占める屋台骨であり、セグメント利益率も全社ベースを上回っている。2020年12月期上期実績は、売上高が前年同期比4.3%増、営業利益が同38.9%増、セグメント利益率も7.2%(同1.8ポイント上昇)と順調であった。ただ、上期末の受注残高は前年同期末比3.5%増を確保しているものの、受注獲得ペースについては第1四半期(3ヶ月)の同8.0%増から第2四半期(同)は同5.3%減と減速傾向にある。



組込系/制御系ソフトウェアは、特定の機能を提供するために当該機器に組み込まれたマイクロコンピューター等で動作するソフトウェアであり、同社のテクノロジーは、自動車や携帯電話、TVやエアコンなどの家電製品、プリンター等のOA機器、ロボットや半導体製造装置の生産設備、信号機などのインフラ設備、CTやMRIといった医療機器など、多種多様な製品・機器で活用されている。



同社は、同領域で国内トップクラスの実績を蓄積しており、FA(Factory Automation)等の機械制御系や自動車関連に強みを有する。車載向けに限定すれば実質的にすべての国内完成車メーカーに納入しており、国内トップシェアを誇っている。



自動車産業におけるCASE(Connected:コネクティッド化、Autonomous:自動運転化、Shared/Service:シェア/サービス化、Electric:電動化)やAIやロボットによる生産性革命の流れは、同社にとって中長期的な収益機会と考える。とはいえ、コロナ禍を受けてCASE分野の増収率は2019年12月期上期の前年同期比43%増から2020年12月期上期は同12%増へと鈍化、足元で投資を抑制・延期する動きが見られることには留意しておく必要があるだろう。



2. 業務系ソフトウェア区分ではネットビジネス分野での取り組みを一段と強化

SI事業のシステム構築区分に属する業務系ソフトウェアは、全社売上高の28.8%(2019年12月期)、同営業利益の24.1%(同)を占める大きな柱である。2016年12月期は足踏み局面となったが、その後は3期連続で2ケタ増収増益を達成している。2020年12月期上期の増収率は前年同期比3.0%増と一段落するも、増益率は同26.3%増となり、セグメント利益率も同0.9ポイント改善した。一方、第2四半期(3ヶ月)の受注高が前年同期比18.9%減と落ち込んだことから、上期末の受注残高は前年同期末比4.6%減となっている。



同領域は、オーガニックな事業拡大に加え、補完的M&A戦略が奏功し、現在では、流通業、金融業、サービス業、製造業、ネットビジネス、社会インフラ、教育、文教、医療、公共機関など幅広い業種に対し、店舗・受発注システムや生産・販売・在庫管理などの基幹システム、勘定系システム、情報システム、ネットサービスといった様々なソリューションを、コンサルティングから開発、システム構築、サポートまでワンストップで提供できる体制を確立している。



国内ITサービス市場の主戦場に位置する業務系ソフトウェア領域については、1)オンプレミス(サーバー等のITシステムを自社内の設備で運用すること)からクラウドサービス利用へのシフト、2)「守りのIT(業務の効率化がメイン)」から「攻めのIT(事業の創造がメイン)」への進化、など既存プレイヤーにとって逆風になりかねない市場の構造変化が起こっている。この中にあって同社は、「変化はチャンスなり」の精神で積極的な人材投資による受託開発強化を明確に打ち出し、実行している。まさに、「挑戦と創造」という社是にふさわしい経営判断であったと考える。



この点、近年の業務系ソフトウェアの好調は、流通・サービス分野のeコマース化やデジタルコンテンツ分野の需要拡大、システムインフラ構築を中心とした分野における様々なデジタルトランスフォーメーション(DX)対応の加速、働き方改革をテーマとしたICT利活用の推進、といった時代の流れや市場構造の変化に応えるサービスを的確に提供した結果だと言える。



また、同社は既存プレイヤーにとって「不都合な真実」という一面を持つ「アマゾンエフェクト」(アマゾン・ドット・コムの急成長に伴い様々な市場で進行している混乱や変革などの現象)を直視した事業戦略を推進してきたわけだが、2020年1月には事業部を新設してネットビジネス分野での取り組みを一段と強化している。これまでの成果にコロナ禍による巣ごもり消費の拡大も手伝って2020年12月期上期におけるEC分野売上高(単体)は前年同期比20%増と高成長を実現、BtoC向けに加えBtoB向けの案件も好調であり、中長期的な成長トレンド持続が期待される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)