■要約



1. 事業概要

DDホールディングス<3073>は、首都圏をはじめ全国主要都市に多ブランド展開による飲食事業を主力とするとともに、ダーツやビリヤード、カラオケなどのアミューズメント事業、ホテル、貸コンテナなどの不動産サービス事業も手掛けている。保有ブランドの多様性を生かしたブランドマネジメント制とドミナント展開に特徴がある。特に、「VAMPIRE CAFE(ヴァンパイアカフェ)」「アリスのファンタジーレストラン」「ベルサイユの豚」など個性的な人気ブランドを創出してきたことや積極的なM&Aによる事業規模拡大、「わらやき屋」「九州熱中屋」「BAGUS(バグース)」などの高収益ブランドがこれまでの同社の成長を支えてきた。



2017年9月には持株会社体制へ移行し、株式会社DDホールディングスへと商号変更。「世界に誇る『オープンイノベーション企業』」を新たな経営理念に掲げ、グループ会社の理念・個性を尊重するとともに、オープンイノベーションによる相互補完と相乗効果により企業価値の最大化を図る方向性を打ち出している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響(以下、コロナ禍)により足元業績は大きく後退し、当面は経営合理化策に基づく事業基盤の強化に専念する方針であるが、同社の目指す方向性に大きな修正はなく、むしろ変革に向けた動きがますます重要なファクターとなってきた。



2. 2021年2月期上期決算の概要

2021年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比61.8%減の11,160百万円、営業損失が6,831百万円(前年同期は1,769百万円の利益)とコロナ禍により大幅な減収となり、各段階損益で損失を計上した。売上高は、緊急事態宣言に伴う休業及び営業時間短縮の影響により、とりわけ第1四半期での落ち込みが大きかった。緊急事態宣言が解除された第2四半期に入ってからも、コロナ禍の長期化に伴う営業時間の短縮や消費者心理の停滞、席の間隔をあけた店舗運営等の影響が継続しており、本格的な回復には至っていない。出退店については、すでに契約済であった8店舗を新規出店した一方、不採算店舗の35店舗を整理したことから、8月末の店舗数は462店舗(前期末比27店舗減)となっている。損益面では、売上高の急激な落ち込みにより、固定費負担(店舗家賃や人件費等)が重荷となり、大幅な営業損失に陥った。もっとも、不採算店舗の整理による改善効果は下期以降に寄与してくるものと考えられる。



3. 経営合理化策の推進

同社では、コロナ禍に伴う環境変化や業績悪化への対応を図り、持続的な成長を果たしていくため、7月15日付けで経営合理化策を含む、今後の経営方針を決議した。特に、あらゆる経済環境下においても企業活動を継続していくための財務体質強化と、中長期的な成長に向けた収益力向上を重視した経営方針に転換することが急務であると判断し、1)グループ会社の見直し、2)固定費等を含めた一般管理費等の削減、3)不採算店舗の退店、4)人員の適正配置に取り組んでいる。



4. 第三者割当による新株予約権の発行

同社は10月26日、第三者割当(割当先はモルガン・スタンレーMUFG証券(株))による新株予約権の発行(第6回、第7回)を決議し、10月30日に当該新株予約権の発行に係る条件決定決議を行った。資金調達予定額は合計約28.4億円(第6回、第7回ともに条件決定時の行使価額ですべて行使された場合)にのぼる。足元のコロナ禍による業績悪化を早期に解消し、事業基盤及び財務基盤の安定化を実現するとともに、着実な事業成長を追求していくことが本件の目的である。



5. 今後の方向性

同社は、業界を取り巻く環境変化等を踏まえ、前期(2020年2月期)より3ヶ年の中期経営計画をスタートさせた。既存事業の強化・拡大に加え、ブランドポートフォリオの拡充、スケールメリットの追求等により、高収益体質への転換や将来利益の創造などに取り組んでいる。足元ではコロナ禍の影響を受け、事業基盤及び財務基盤の安定化に専念する方針であるが、業界の枠を超えたイノベーションの推進等により、環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現していく方向性に大きな修正はない。特に、コロナ禍に伴う「新たな生活様式」の定着に鑑み、コア事業の業績回復と並行して新規事業の準備を順次開始していく構想を描いている。



■Key Points

・2021年2月期上期の業績はコロナ禍の影響を受けて大幅な減収となり、損失計上となった

・経営合理化策の推進により、業績悪化の早期解消と着実な成長を実現するための収益体質の強化に取り組む

・2021年2月期は下期での一定の回復を見込むものの、通期でも減収及び損失計上となる見通し

・同社ならではのイノベーションの推進により、環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現していく方向性に修正はなく、新サービスやマーケットの創出にも取り組んでいく



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)