■業績動向



1. 2020年9月期通期業績

メディネット<2370>の2020年9月期通期の業績は、売上高が前期比26.1%減の783百万円、営業損失が926百万円(前期は1,008百万円の損失)、経常損失が836百万円(同995百万円の損失)、当期純損失が842百万円(同795百万円の損失)となった。細胞加工業において、コロナ禍の影響により取引医療機関におけるインバウンド患者数が減少し、減収となった。損益面では、減収等により売上総利益は291百万円(前期比27.2%減)となったが、販管費は1,217百万円(同13.6%減)となったことで営業損失は縮小した。2019年9月期に実施した事業構造改革の徹底・強化による経費削減に加えて、コロナ禍の影響で研究開発活動が一時中断となったため、研究開発費が減少した。また、投資事業組合運用益79百万円、貸倒引当戻入額20百万円等により、経常損失幅は縮小し改善した。





2021年9月期は不確実性を折り込まず、細胞加工業において黒字化見通し

2. 2021年9月期通期の業績見通し

2021年9月期通期の業績は売上高が前期比3.4%増の810百万円、営業損失が1,775百万円(前期は926百万円の損失)、経常損失が1,762百万円(同836百万円の損失)、当期純損失が1,768百万円(同842百万円の損失)を見込んでいる。



細胞加工業においては、現時点で中国や韓国などのインバウンド患者数の回復時期が不透明で需要回復分は+αと見ており、2021年9月期事業計画はこうした不確定要素を除外した計画となっている。規制動向(中国や韓国の海外渡航時の陰性証明書)を注視しながら、インバウンド患者の需要回復分はその都度、折り込む予定である。



細胞加工業は、再生・細胞医療に取り組む製薬企業、大学、医療機関、研究機関等から受託製造する特定細胞加工物における細胞種を拡大し、需要を取り込んでいく。また、同社は“フロー型バリューチェーンビジネス”を構築し、再生・細胞医療のコンサルティング、細胞培養加工施設の運営管理、細胞加工技術者の派遣・教育システムの提供といった特定細胞加工物を取り扱ううえで必要な一連の知見やノウハウを提供し、売上強化を図る。一方、費用面については、新型コロナウイルス感染症に対する自家樹状細胞ワクチン開発を始め、再生医療等製品事業の早期の収益化を目指し、開発パイプラインの拡充や開発体制の強化を図るための研究開発費が増加する見込みである。



3. 財務状況と新株予約権発行などについて

2020年9月期末の財務状況を見ると、資産では、現金及び預金が3,643百万円(前期末比2,240百万円増)と2017年9月期末の2,536百万円を大幅に上回り、現金及び預金が手厚くなり研究開発資金が潤沢になったと言える。そのほかに売掛金が118百万円減少し、建物(純額)99百万円減少等で資産合計は前期末に比べ2,165百万円増加した。一方、負債合計は前期末に比べ50百万円減少した。主な減少要因は、買掛金の減少27百万円、未払金24百万円減少である。純資産合計は、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金2,820百万円増加、その他有価証券評価差額金232百万円の増加等により、前期末に比べ2,216百万円増加した。



4. 資金調達

同社では2020年9月期に第三者割当増資(新株予約権の発行・行使)を通算4回実施し、資金2,942百万円を調達した。これまで第三者割当増資で実績のあるマッコーリー・バンク・リミテッドによる新株予約権を第14回(行使価格修正事項付)、第15回(行使価額修正選択権付)、第16回(行使価格修正事項付)、第17回(行使価格修正事項付)と発行した。第14回、第15回、第16回は行使を完了し、第17回は現在行使中である。第17回新株予約権は、現在最優先で取り組んでいる新型コロナウイルス予防を目的とした自家樹状細胞ワクチンの開発資金に特化した第三者割当であり、2021年中を目指し治験スタートさせることが喫緊の課題となっている。なお、同新株予約権がすべて行使された場合、2020年6月末現在の同社発行済株式総数に対する希薄化率は、13.35%となる。



また、ほかの新株予約権の使途は、2019年から取り組んでいる開発パイプラインの各テーマの研究や臨床研究に充てられる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)