■今後の見通しと中期経営計画



2.中期経営計画「PEERS TRIPLE GEAR」

(1) 中期経営方針

中期経営方針として、ピアズ<7066>は「NEW NORMAL ACCELERATION-いつかの未来を、いつもの日々に」を掲げ、変化の時代に新たな価値をいち早く伸長させていくことを経営ミッションとし、クライアント(BtoB)、カスタマー(BtoBtoC)、コミュニティ(地域、業界、団体)のサクセスにコミットして社会の全体最適を実現する「CCCサクセス企業」を目指すとともに、事業領域の拡大とガバナンスの強化を図り、企業価値の向上に全力を傾注していく方針を明らかにした。



(2) コアコンピタンス

同社のコアコンピタンスは、常に時代や市場の変化を先読みして、ピンチをチャンスに変える組織力にある。既存の慣習に囚われず、現場から収集した情報を基にビジネスプランニングしたものを、他社リソースも活用しながら低コストで開発し、ビジネス化までをスピーディーに行う。たとえ、そのビジネスが上手くいかなかったとしても、ナレッジノウハウとして蓄積している。また、経営陣の高い営業力と、すべての管理職がプロフィット、コスト、リスクコントロールを徹底して行う高い経営管理能力を有していることで、創業以来15年間黒字経営を継続(安定したフリー・キャッシュ・フローを創出)する強固な利益体質を構築していることも強みとなっており、これらを基盤として、新規市場・新規事業へと展開していく。



(3) 事業方針

今後の事業展開について、通信業界とその他業界で分けると、通信業界向けに関しては既存のセールスプロモーションや研修、オペレーションコンサルティングを中心に展開しつつ、新たにオンラインコンシェルジュや採用支援、教育支援「jishuu」などのサービスも展開していく。また、通信業界、その他業界の両方で展開している事業として、キャッシュレス導入支援やリモートワーク支援、成長ベンチャー向けの組織活性化コンサルティング「エンパ!」、eスポーツ関連(イベント企画・広告代理業)などがあり、その他業界向けに展開している事業として、営業スタッフ育成支援サービス「ノゾケル」や、セルフオーダー決済システム「ZEROレジ」などがあり、それぞれ今後事業規模を拡大していく計画となっている。



これらに加えて、Laboで新規開発している事業として、既に事業化を発表しているトレーニングAIの「mimik」のほか、携帯ショップ向けeラーニングシステム、店舗オペレーション分析AI、その他業界向けを対象としたコミュニケーションAIなどがあり、今後3〜5年でこれらを育成していく方針となっている。



現状の1st Gearから2ndGearまでは既存事業の足場固めを行いつつ、組織活性化コンサルティングサービスの「エンパ!」や営業スタッフ育成サービス「ノゾケル」、教育支援サービス「Jishuu」などITツールも組み合わせたソリューションサービスを上乗せし、2ndGearから3rdGearにかけては店舗DX事業における「ZEROレジ」をはじめとした各種ソリューションサービスの提供により成長を加速していく格好だ。そして3rdGear以降は、AIを活用した新規事業の開発と他社とのアライアンス・M&Aなども進めながら成長に弾みをつけていく構想を描いている。また、こうした事業方針を迅速に進めていくため、持ち株会社体制への移行も検討している。



店舗DX事業については、「ZEROレジ」の導入実績が徐々に出始めている。2020年8月より九州旅客鉄道<9142>グループ会社の(株)トランドールが運営する駅のパン屋で導入を開始し、現在7店舗(7駅)に導入されている。パンの事前注文から決済までスマートフォンアプリで完結するため、混雑時に店舗で待つことなくパンを受け取ることが可能となる。今後についてもテイクアウト業態の大手やスタジアムなどでも導入予定が決まっているようで、今後の収益貢献が期待される。同社はシステム導入の際の一時金とその後の流通額に対する手数料を得るビジネスモデルとなる。なお、ITツールは中国企業から導入して同社が日本版として提供している。そのほか、無人店舗ソリューションとなるバーチャル店舗の運営コンサルティングなども検討しており、顧客接点のDX化の潜在的なニーズは大きいと見ている。



新規事業としては、顔の表情や話し方などの営業スキルをAI分析によって向上させることを目指したトレーニングAI「mimik」に期待している。現在、ハウスメーカー等で試験導入しており、前向きな評価を得られているようだ。今後さらに改良を進めながら商用化を目指していく。また、5G×エンターテイメントを切り口としたソリューション提案で、カラオケルームを活用したライブ配信の企画・運営なども他社と提携しながら進めていきたい考えだ。



(4) 投資戦略

2020年9月期はコロナ禍の影響も勘案して現預金の確保を優先し、当初予定していた投資計画を見送った。2021年9月期以降は、引き続き市場の動きを注視しながらも、慎重かつ大胆に投資を行っていく予定にしている。投資額としては今後3〜5年間で10億円を予定している。主な使途としては、新規事業開発への投資、人材投資、オフィス投資、アライアンス及び資本業務提携などを挙げている。



新規事業開発への投資については、営業利益の10%程度を目安にLaboに予算配分していく計画となっている。また人材投資としては、事業拡大に備え、高い専門性を有するエキスパート人材の中途採用を強化していく方針で、現在はゼネラリストが大半を占めるが、今後はスペシャリストとエキスパートで全体の5割を占める人員構成にしていく方針となっている。新卒社員については年間10名程度の採用を継続する。



また、基幹システムの導入により間接業務にかかっていた時間を削減し、直接業務(収益につながる業務)の比率を高めていくことで収益性の向上を図っていく。オフィス投資については、一拠点集中型の大規模オフィスではなく、サテライト拠点を増やし、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を提供し、資本効率並びに生産性の向上につなげていく考えだ。



アライアンス戦略では、主に店舗DX事業、働き方革新事業、Laboの分野でのアライアンスに注力している。店舗DX事業では、各種小売企業や店舗現場向けテック企業、コールセンターやオムニチャネルなどとなり、働き方革新事業では人事コンサルタントやHRテック企業、コンテンツ保有企業やeラーニング企業などが挙げられる。また、Laboでは各種テック企業やエンターテイメント企業のほか大学・研究機関などとの提携も視野に入れている。



(5) 数値目標

今回、中期計画を発表するにあたって、業績目標については非開示とした。コロナ禍の動向が依然不透明なためだ。ただ、同社では今後3〜5年をかけて通信業界以外の他業界への横展開と新規事業の育成を進めることで売上高を大きく伸ばし、高成長を実現していくことで時価総額300億円企業になることを目標としている。当面は高成長実現のための経営基盤を構築する投資フェーズとなるため、利益を確保しつつ売上成長を重視した事業展開を進めていく方針となっている。今後も様々な企業との提携による積極的な事業展開が期待される。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)