■今後の見通し



1. 2021年3月期業績の会社計画公表値は保守的、社内的には1段高い目標を設定

テリロジー<3356>は2021年3月期の連結業績について、売上高が前期比3.2%増の4,180百万円、営業利益が同24.2%減の200百万円、経常利益が同30.6%減の200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同34.8%減の140百万円と増収減益見込みを公表している。なお、増収を見込みながら減益予想とする理由は、積極的な人員拡充による人件費増と自社製品の開発費増を織り込んでいるためである。また、「配当性向50%以上を目標」とする株主還元方針のもとで、2021年3月期末の配当は1株当たり5円を予定している。



今回の公表値は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮した保守的な予想と言え、後述するRadware事業の積み上がりも織り込まれていない。公表値は必達目標と位置付けであり、社内的には4期連続での実質2ケタ増収と減益回避を目指す一段高い目標が設定されており、2021年3月期上期の実績はその目標に沿った推移となっているように推察される。



同社は2021年3月期通期において4つの事業部門すべてでの増収を見込んでいる。2021年3月期上期における事業部門別四半期売上高の推移を見ると、ネットワーク部門とセキュリティ部門での順調な売上拡大が確認でき、モニタリング部門の上期減収は売上急伸があった2020年3月期第1四半期に対する反動によるところが大きく2021年3月期第2四半期単独では前年同四半期比66%増と反転していることも読み取れる。ソリューションサービス部門については、主力プロダクトの多言語リアルタイム映像通訳サービス「みえる通訳」が新型コロナウイルス感染症拡大の影響による訪日外国人旅行客の大幅減少という痛手を被り第1四半期、第2四半期ともに2020年3月期の水準を下回ったわけだが、在留外国人向けのサービスを充実させコロナ禍の環境下で各自治体の各種申請受付・窓口需要、病院窓口受付需要を新市場として掘り起こし2019年3月期に対しては遜色ない売上規模を確保している。



ネットワーク部門好調の背景としては、1)米国Infoblox製のDHCP/DNSアプライアンス(IPアドレス管理サーバ「Infoblox」)が買い替え期に入り、今後2年間ほどは国内で500台程度納入済みの現行モデルからセキュリティ機能を備え付加価値が高められた新モデルへの買い替え需要発生が見込まれる、2)テレワーク等の導入による企業内でのWi-Fi利用やGIGAスクール構想が推進されるなかでクラウド型無線LAN「米国Extreme Networks(旧Aerohive)」製品の導入が堅調に推移している、ことなどがある。また、2021年3月期から販売を開始した「Radware」製品の顧客巻取りは順調に推移、前1次代理店がロードバランス機能製品のみの取り扱いであったのに対し同社はセキュリティ機能製品も付加しての取り扱うため、単なる巻取り以上の案件獲得が期待されるだろう。



セキュリティ部門では、サイバー攻撃や不正アクセスの増加を受けてネットワークセキュリティ案件やサイバースレットインテリジェンスサービスが堅調に推移している。具体的には、1)産業制御システムのセキュリティ対策が喫緊の課題となるなかで「Nozomi Networks」が国内電力会社4社からの受注を獲得するなど市場からの関心が高まっている、2)サイバーテロ等に関する情報を収集分析する「KELA」サイバースレットインテリジェンスサービス及びサプライチェーン/グループ企業のサイバーリスクを可視化する「BitSight」リスクスコアサービスが引き続き堅調、「KELA」については5年で7億円規模の中央官庁大型案件を受注している。



モニタリング部門では、自社製品/サービスであるパケットキャプチャ製品「momentum」の官公庁向け大型受注が売上計上されたわけだが、その他案件の受注活動も堅調に推移している。また、ネットワークのパフォーマンスモニタリング製品「SevOne」が国内金融機関向けの追加案件を受注、同社開発の運用監視クラウドサービス「CloudTriage」については既存主要顧客向けの受注活動に注力している。



ソリューションサービス部門については、「みえる通訳」の在留外国人や、ろう者対応等による需要掘り起こしが奏功し、自治体や金融機関、医療機関による同サービスの導入が加速している。また、通訳サービスで培った経験を翻訳サービスの提供につなげるなどの収益源の多様化や「Zoom」などの遠隔会議サービスと同社が抱える豊富なソリューションとの連携、自社開発のRPAツール「EzAvater」のパッケージ化による需要拡大、5G時代を見据えたDIYサポート(顧客自らがトラブルを解決)である「TechSee」の販売強化などが、今後の注目点として列挙できる。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)