■業績動向



1. 2021年3月期第2四半期の業績

エヌ・シー・エヌ<7057>の2021年3月期第2四半期の業績は、売上高3,211百万円(前年同期比2.9%減)、売上総利益767百万円(同1.5%減)、営業利益131百万円(同1.2%増)、経常利益150百万円(同4.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益105百万円(同8.2%増)だった。同社は10月29日の時点で2021年3月期第2四半期累計業績予想を修正しており、売上高は3,214万円(前回予想比3.7%増)、売上総利益は767百万円(同6.9%増)、営業利益は131百万円(同87.7%増)、経常利益は150百万円(同118.3%増)、親会社に帰属する四半期純利益105百万円(同160.4%増)にそれぞれ上方修正していた。コロナ禍の影響を多く見積もって業績を予想していたわけだが、売上高、売上総利益は前年同期比で減少しているものの、利益面は前年同期を上回る実績を上げている。



2. 事業セグメントとセグメント売上高

2021年3月期第2四半期における住宅市場環境としては、新設住宅着工戸数が7月は前年同月比11.3%減、8月は同9.1%減、9月は同9.9%減と低調に推移した。コロナ禍の影響により、開催を予定していたセミナーの中止や営業活動が制限されるなど、先行き不透明な状況が続いている。このような経営環境のなか、木造耐震設計事業における住宅分野では、4月以降、コロナ禍の影響を大きく受けていたが、構造計算出荷数が8月以降順調に回復した。また、SE構法出荷数においてもほぼ前年並みとなり、第2四半期における住宅分野の売上高は2,779百万円(前年同期比0.9%減)となった。一方で大規模木造建築(非住宅)分野においては、2010年10月に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されており、住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加しているが、コロナ禍の影響で公共工事等の工期が延長しており、売上高は269百万円(同23.4%減)と前年同期を大幅に下回る結果となっている。その他の売上高については、新規事業、住宅ローン事業、BIM事業の進捗により161百万円(同8.4%増)と、前年同期を上回っている。



大規模木造建築(非住宅)分野の落ち込みについては、住宅であれば現場は2名から3名の工事職人によって進捗するが、大型建物になると数十人単位の現場となる。そのため、コロナ禍による自粛、感染予防対策が進むなか、特に大型工事については全国的に進捗が遅れている状況となった影響であり、受注または需要が減少しているというわけではない。



3. 第2四半期におけるコロナ禍の影響

同社はまず、受注が行われると先に構造計算を行う。建物の構造計算が先に行われ、確認申請という作業を経て、後に構造の出荷を行う。住宅であれば「上棟(棟上式)」というものとなるが、その時に同社の売上が立つことになる。構造計算の出荷において、4月や5月は、多くのハウスメーカー、工務店は自粛によって顧客と面談ができず、直接印鑑がもらえない状況に陥っている。政府が印鑑不要の施策を進めているが、まだ現時点では、建築請負契約においては印鑑が必要であり、直接面談して説明しなければならない。そのため、4月や5月は前年を大きく下回る結果となったが、自粛規制解除後は順調に推移した。また、構造計算の後に構造の出荷、棟上式となるが、現場としては非常に少人数で、感染症予防対策も十分に行いながら現場の進捗を図れることから、回復してきている。第2四半期における構造計算出荷数の前年同期比推移、SE構法出荷数の前年同期比推移における「ズレ」は、前半に構造計算、つまりは工務店やハウスメーカーの受注活動がかなり停滞したことによって構造計算の出荷が減ったこと、そして2ヶ月から3ヶ月後に、材料の出荷に影響が出たためである。構造計算出荷数(上期合計729棟、前年同期比87%)への影響は7月までで、8月以降は順調に回復している。SE構法出荷数(上期合計785棟、前年同期比97%)は、ほぼ前年並みとなっていることが分かる。



また、住宅業界の受注動向においては、(株)住宅産業研究所が発行している「週刊住宅エクスプレス」の中で発表されている上場会社の大手ハウスメーカー10社の受注状況によると、受注伸率推移(棟数)は2020年4月が前年同月比69%、5月が同70%、6月が同87%、7月が同93%と順調に回復しており、8月が同105%、9月が同107%となり、8月以降は前年を上回って推移しており、足元においても回復傾向が続いていると同社では推測している。そのため、同社においても、このような状況であると考えられる。



4. 販管費の状況

販管費は、コロナ禍の影響により営業経費が前年同期に比べて減少している。Webツールの活用も含め、販促・広告宣伝等の営業施策を必要に応じて適切に実行していることによるものである。セミナー形式等のプロモーションや直接面談するプロモーションは減ったが、広告宣伝などの取り組みについては一切手を緩めていない。同社には30名に及ぶ営業マンがいるが、リモート営業へ切り替えたことにより、多くの旅費交通費の削減を行うことができており、言い換えれば、コロナ禍によって営業の効率化が進んだと見られる。同社では従業員給与など人件費については減額をおこなっておらず、人件費は営業職員増も含めて増加させている。



5. 財務状態

資産合計は4,894百万円となり、前期末に比べ181百万円増加した。これは主に現金及び預金が166百万円、有償支給未収入金が17百万円増加したことによるものである。負債合計は3,022百万円となり、同157百万円増加した。これは主に電子記録債務が111百万円増加したことによるものである。純資産合計は1,872百万円となり、同24百万円増加した。親会社株主に帰属する四半期純利益が105百万円となり、配当金83百万円を計上した結果、純資産が増加した。これにより、連結ベースの自己資本比率は37.4%となっている。



キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは280百万円の収入となった。増加要因として税金等調整前当四半期純利益が140百万円、減価償却費が26百万円、仕入債務の増加105百万円、減少要因として法人税等の支払額21百万円によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは31百万円の支出となった。無形固定資産の取得による支出28百万円によるものだが、これはソフトウェアへの投資となる。同社は上場来、社内の顧客管理システムほか、多くのソフトウェアの投資を行っているが、2021年3月期上期及び下期においてもソフトウェアの投資には一切余念がない。財務活動によるキャッシュ・フローは83百万円の支出となり、配当金の支払額によるものである。現金及び現金同等物は、たな卸資産の増加や仕入債務の増加、無形固定資産の取得による支出のほか、税金等調整前当四半期純利益が140百万円であったこと等により、前期末に比べ166百万円増加し、2,773百万円となった。現金及び預金は2,874百万円で、同社の売上高からするとかなり高い保有率である。また流動資産も多いため、資産の固定化がされておらず、非常にフットワークの軽い経営ができる状況である。



(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)