■決算概要



1. 2021年3月期上期決算の概要

スペースバリューホールディングス<1448>の2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比8.3%減の34,109百万円、営業損失が73百万円(前年同期は787百万円の利益)、経常利益が前年同期比95.4%減の37百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比146.1%増の514百万円と減収及び営業減益となり営業損失を計上したが、想定の範囲内である。また、税金費用の減少(税効果の実現)により親会社株主に帰属する四半期純利益では大幅な増益となった。



2020年3月期において、日成ビルド工業の会計不祥事案に端を発する内部体制の強化に専念したことが影響し、建築工事に係る期首受注残高※に積み立て不足が生じたことから、「システム建築事業」及び「立体駐車場事業」が大きく落ち込んだ。特に、「システム建築事業」では、工場、倉庫、店舗の建築が低調に推移した。「立体駐車場事業」もコロナ禍の影響も重なり、商業施設関連の受注などが減少した。ただ、2021年3月期下期に向けて受注活動には復調の兆しが見られるようだ。一方、「総合建設事業」は大規模修繕工事による寄与、「開発事業」も大手コンビニエンスストアの開発に伴う賃料収入の積み上げ等により増収を確保している。



※2020年3月末の受注残高は、「システム建築事業」が前期末比8.2%減、「立体駐車場事業」が同40.1%減、「総合建設事業」が同35.3%減とそれぞれ減少していた(3事業合計では同24.4%減)。





利益面では、減収に伴う売上総利益の減少に加え、販管費が若干増加したことにより、営業損失を計上した。なお、販管費は、コロナ禍の影響により旅費交通費や接待交際費が減少した一方、人員の適正配置(人員増)に伴って人件費が増加したことで前年同期比48百万円増となった。また、前述のとおり、親会社株主に帰属する四半期純利益が大幅な増益となったのは、ホテル開発用地(京都市)の譲渡に伴って税金費用が減少(税効果の実現)したことが理由である。



財政状態については、売上減に伴う「受取手形・完成工事未収人金」の減少などにより、総資産が前期末比4.3%減の75,864百万円に縮小。一方、自己資本は内部留保の積み増しや「その他有価証券評価差額金」の増加※により同5.7%増の25,862百万円に拡大したことから、自己資本比率は34.1%(前期末は30.9%)に改善した。



※保有する投資有価証券(固定資産)の時価上昇に伴うもの





各事業の業績は以下のとおりである。



(1) システム建築事業

売上高は前年同期比7.6%減の17,978百万円、セグメント利益は同13.3%減の1,405百万円と減収減益となった。「販売事業」は事務所建築が堅調に推移したが、民間工事全般が弱含んだ影響もあり、工場、倉庫、店舗の建築が低調に推移し、同17.0%減の11,059百万円と落ち込んだ。一方、「レンタル事業」は学校施設の耐震化等に伴う仮設校舎は減少したものの、公共施設の大規模な改修工事が寄与したことで同12.7%増の6,918百万円と順調に伸び、収益の下支えに貢献した。



(2) 立体駐車場事業

売上高は前年同期比21.9%減の6,747百万円、セグメント利益は同70.3%減の135百万円と減収減益となった。「販売事業」は主に商業施設や時間・月極貸事業向けの受注が減少し、前年同期比22.8%減の3,737百万円にとどまった。「メンテナンス事業」についてもリニューアル工事が減少し、同25.1%減の983百万円と低調に推移。「駐車場運営・管理事業」についてもコロナ禍による外出自粛、商業施設の営業自粛などによる影響のほか、不採算物件からの撤退やホテル開発用地の売却に伴う運営駐車場の減少※等により同18.7%減の2,026百万円に減少した。なお、2020年9月末の運営・管理数(台数)は、駐車場が413件4,399台(前期末比71台純増)、駐輪場が79件13,196台(同515台純減)、海外の駐車場は298件127,089台(同3,403台純減)となっている。



※同社では、ホテル開発用地として保有する土地の一時的(開発に着手するまでの期間)な活用を図るため、駐車場の運営を行っていた。





(3) 総合建設事業

売上高は前年同期比5.8%増の8,666百万円、セグメント利益は同18.1%減の222百万円と増収ながら減益となった。鉄道工事や営繕工事が減少したものの、大規模修繕工事やマンション以外の建設工事が増加したことにより堅調に推移した。一方、利益面では、工事原価の高騰や収益性の高い工事種の減少等により減益となった。



(4) 開発事業

売上高は前年同期比15.8%増の200百万円、セグメント利益は同13.3%増の68百万円と増収増益となった。大手コンビニエンスストアやドラッグストアの開発を推進し賃料収入を積み上げたほか、コンサルティング業務による収入が増加した。



(5) ファシリティマネジメント事業

売上高は前年同期比30.7%減の516百万円、セグメント損失は73百万円(前年同期は118百万円の損失)と減収ながら損失幅は縮小した。商業施設の一時休業に伴う清掃業務の中止が影響し、減収となったが、収益性の改善に取り組んだことで損失幅は縮小した。



2. 2021年3月期上期業績の総括

以上により、2021年3月期上期業績を総括すると、過去の会計不祥事案への対応が期首時点の受注残高不足を招いたことに加え、コロナ禍の影響を一部受けたことから、業績面では大きく落ち込む進捗となった。しかし、あくまでも一過性の特殊要因が理由であり、構造的な受注環境の悪化や競争力の低下を示すものではないことに注意が必要である。一方、コロナ禍において、レンタル事業や商業施設の運用などストック型ビジネスが一定の収益の下支えとなっているところは評価すべきポイントと言える。また、会計不祥事案への対応に一定の目処が立ち、受注残高の積み上げにも勢いが戻りつつあるところは今後に向けて明るい材料となっている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)